番外編 養成所での一幕 2
ある日の養成所の朝。走り込みの訓練に出る前、教官のユルグが訓練生たちに言った。
「今日からは、これを背負って走ってもらう」
彼の前には4つのリュックが置いてある。アカツキたちはそれぞれ自分の分を受け取る。
「わ、結構重たい…」
「そうか?軽いもんだろ」
「アカツキにはそうかもだけど、オイラたちには結構重いよ~これ」
「…中には何が?」
バンの質問に教官は一つうなずくと、
「新人冒険者の荷物と同程度の重りが入っている。大体子供一人分の重さといったところか」
「なるほど、子供一人分…」
「アカツキ。どうして私を見るの?」
「いや、何でもねえ!」
教官は一つ咳払いをして話を続ける。
「これに加え、各自訓練用の武器を持つように」
後ろに控えていたヴォルフィーネが、用意していた武器を訓練生たちに渡す。エナシェラは不安そうな顔をしている。
「これで、走るんですか…?」
「迷宮探索では、この格好で動きまわることになる。今から慣れていく様に。自分がどれくらい動けるか知っておくことで、探索のペースや休憩のタイミングも分かってくる。無理せずに取り組んでくれ」
「わ、分かりました。がんばります…!」
そんな彼女を見て一つうなずくと、教官は続ける。
「また、君たちが走っている途中、俺が妨害をする。うまく切り抜けるように」
「…それって、あの着ぐるみを着てアンタが襲ってくるってことか?」
怪訝そうなアカツキに、教官はこくりとうなずくのだった。
その次の日。訓練生たちは初日以来のひどい筋肉痛に苦しむことになるのだが、それはまた、別の話。




