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幕間 彼の地にて 1

 これは少し過去の話。

 ヴォルフィーネは、よく迷子になる子であった。ともすれば通い慣れた道ですら迷ってしまい、気づいたらどこにいるのか分からない。そんなこともしばしば。

 

 ある日、彼女は道に迷った先、ダークエルフの里の外れにある図書館にたどり着く。建物の中へ入り、扉を開いたその場所には、見渡す限りの本棚とそこに納められた膨大な書物があった。読めないものもいくつかあったが、それでも多くの本を読むことが彼女には出来た。

 中でも、見た事のない世界の冒険を描いた書物に彼女は惹かれた。光舞う大森林、急峻な山脈とそれを照らす壮大な夕焼け、海の底に鎮座する宮殿、氷の大地の果てにそびえ立つ神殿…彼女が夢中になって本を読んでいると、


「ここに居たのかい。探したよ、フィー」


 と、顔に大きな傷のある黒ずくめの大男が、いつの間にやら少女の近くに立っていた。


「とうさま!」


 読んでいた本を置くと、彼女は大男に飛びついた。娘を抱きとめると、大男は置いてある本を手に取った。


「ああ、こんなところにあったのか」

「このほんは、とうさまの?はじまりのぼうけんしゃ!ぼうけんのことが、いっぱいかいてある!」


 娘のキラキラした目を見て、大男は笑みを浮かべて尋ねる。


「そうだね。フィーはこの本面白かったかい?」

「とってもおもしろかった!」


 普段は大人しいヴォルフィーネがはしゃいでいる様子を微笑ましく思いながら、


「じゃあ、フィーは将来冒険者になるのも良いかもしれないね」

「ぼうけんしゃになったら、いろんなせかいがみられるの?」

「ああ、見られるとも」


 大好きな父親にそう言われて、少女はその胸に、将来は冒険者になって様々な世界を見に行きたい、という想いを抱いたのだった。





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