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21.隠し要素



なんだかゴタゴタしてしまって、ギュルハの事が後回しになってしまったが、私が学園にギュルハを連れていきたいのだと、2人をなだめて話をし、ギュルハが猫に姿を変えられると言うことで、猫の姿で寮に連れていくことにした。


もちろん、2人には、ギュルハと会話ができることは伝えていない。なんだかまたややこしい事になりそうな気がしたから。



昼休み、ユーステアを連れて、ナンシーと食事をしながら、ギュルハを紹介し、昨日の兄様とレイモンドの騒ぎの話をした。


「婚約解消ですか?アンドレア様がそのように言われたのですか?」

「そうなの。もう、大騒ぎで、昨日は大変だったわ。」


すると、ナンシーは、俯いてかんがえこんでしまった。


「どうしたの?」

「ミレーニア様、落ち着いて聞いてください。」

「うん。」

「アンドレア様ルートには、隠し要素があります。それは、アンドレア様が悪役令嬢を婚約解消させようとするイベントです。」

「え?そうなの?それで、それがあると、何が起きるの?」

「アンドレア様が、悪役令嬢を妹として、大切にする事で、彼女が深く反省し、断罪は回避されます。」

「あら、良いじゃない。」


ナンシーは、首を横に振って、悲しそうな顔になる。


「このエンドは、このゲームの中で、最も厳しいものです。この隠し要素が発生すると、戦争が起きるんです。」

「戦争!?どこと?」

「今、国境で金鉱が発掘されていますが、金鉱を狙って、隣国のダレニアが攻めてきます。」

「ええーっと、アンドレアルートだったわよね?」

「よくご存知ですね。」

「ヒロインは、兄様を攻略するの?」

「攻略した場合、アンドレア様は、怪我をしますが死にはしません。攻略できなかった場合は……。」

「場合は?」

「アンドレア様は、死にます。」

「レイモンドは、兄様を助けないの?」

「いえ、レイモンド様も。この国が滅びる、最大のバッドエンドです。」


ええー?滅びる?国が?


「攻略した場合は、国は滅びないのね?」

「戦争で、大勢亡くなりますが、滅びません。」

「そう。」


恋愛で、ここまで運命が拗れるの?だけど、兄様が攻略されれば良いのよね?簡単じゃないの。


「ねぇ、ナンシー。兄様の事、どう思う?ううん。私の事、どう思う?私は、これから先もずっとナンシーと、家族のように暮らしていきたいと思ってるわ。」

「家族ですか?わ、私も、ミレーニア様の事は、凄く尊敬しています。」

「私、あなたにお姉様になって欲しい。」

「え?」

「前から思ってたの。私はじゃじゃ馬でしょう?兄様は、私と真逆の大人しい女性が好みなのよね。」

「わ、私は……。」


お、頬を染めている。いい感じかも。


「でも、私は、ヒロインではありませんから。」

「ヒロインなんか関係ないわ。私は、ナンシーだから、好きなの。」

「す、好き?」

「大好きな兄様と結婚するのが、ナンシーだと嬉しい。ナンシーも兄様の事、嫌いじゃないでしょ?」

「そ、それは、アンドレア様は、とても素敵で、私なんか。」

「ナンシーは、可愛いわよ。」


我が家にも遊びに来たことのあるナンシーを、兄様が好印象を持っている事は、気づいてる。

ただ、まだ恋愛には、結びついていない。

だから、ナンシーから、少しだけアプローチしてもらって、私が兄様の背中を押せば、もしかしなくても、上手く行くのじゃないかしら?



それから機会がある度に、さりげなく2人を近づけた。

少しづつ、2人の好感度が上がっていった。


私とレイモンドは、結局、婚約解消をする事はなかったが、距離感はおかしくなった。



今日は、王宮の彼の部屋でお茶を飲んでいる。


「ほら、これを食べてみて。」

「もしかして、レイモンドが焼いたの?」


ナッツを練り込んで、形よく丸めたクッキーが、焼き色も美しく皿に並んでいる。


「ああ、君のカフェのパティシエに習った。」

「いつの間に……。」


そして、私は、彼が差し出すクッキーを齧る。

サクサクして、香ばしくて美味しい。本当に器用な人だ。

私は、彼の膝の上で、マグカップ片手にモグモグとクッキーを食べる。見上げれば、満足そうな彼の顔。


あの婚約解消騒ぎから、触れ合うようになった彼。

それ以来、前より表情が増えた。今も私が食べる姿を、優しい目で見つめている。

贈り物を貢ぐばかりの人だったのに、今は、私に触れるのが楽しいらしい。


魔法が強すぎて、人に触れるのが苦手だった彼が、私には、触れても大丈夫と、やっと分かったみたいだ。

愛おしそうに、唇についたクッキーの粉を丁寧に指で拭う。

あまりに嬉しそうだから、やめて欲しいとも言えない。

でも、凄く恥ずかしい。彼の指が唇に触れるとドキドキする。

近くにある顔を見つめてしまう。


そう、私は、この変な男が好きになったみたいだ。


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