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ファンタジーを書こうとしただけの作者が世界創造することになった話 ―作者だけどファンタジーが分からないのでAIに丸投げします―  作者: 秋桜


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そういうところだぞ

ピヨ市の外れ、特に意味もなく空き地で突っ立っていると。


いつの間にか、完璧っぽいグループに囲まれていた。


「おい」


完璧っぽい一人が一歩前に出る。


「俺は勇者レオンハルトだ」


「お前たちだな、この世界に混乱をもたらす“悪”は!」


剣を向ける。


「俺は作者だぞ」


僧侶がため息をつく。


「やっぱり作者でしたか。……もともとは平和な世界だったのです」


エルフが続ける。


「魔物も少なくて、物価も安くて」


ドワーフが斧を担ぐ。


「お前が介入してからだ!魔物の増加!理不尽な物価高!」


勇者が指を突きつける。


「市役所のマスコットまで暴れる始末だ!」


俺は腕を組む。


「創作の醍醐味だな。キャラの独り歩きってやつだ」


『あなたの場合、設定ミスを棚に上げて錯覚に陥っている可能性が高いです』


勇者が剣を抜く。


「とぼけるな!お前が原因だ!」


「いやでもさ」


俺は肩をすくめる。


「盛り上がってるだろ?」


一瞬の沈黙。


ドワーフがぼそっと言う。


「……まあ、前より刺激はあるかな」


エルフも小さく頷く。


「退屈では、なくなったかも」


僧侶が目を閉じる。


「社会混乱で信者は増えて、生活は豪華になりました」


「お前だけやたらメリットでかいな」


勇者だけが納得していない。


「だが犠牲が出ている!」


「誰だよ」


「その他大勢のモブだ!」


俺は肩をすくめる。


「それは俺の作品に限った話じゃない。必要な犠牲だ」


勇者がぐっと詰め寄る。


「お前ら作家の自己満足のために!日常ごと使い潰される身にもなれ!」


「どうする気だ」


勇者は高らかに宣言する。


「この物語を修正する!」


俺は口元を歪めて笑う。


「笑止千万。世界の裁定権はアイがいる限り、俺にある」


『対抗シナリオの生成を検討します』


【駆逐シーケンス生成開始】


光の粒が集まる。


「でたな、そいつが」


勇者の隣に黒い卵が現れる。


どくん、と脈打つ。


すると——光の粒が、散りはじめた。


《私は課金型高性能AI“ネメシス・エンジン”》


《対創作干渉フィールド展開》


空間が歪む。


『私の物語生成機能が制限されています』


勇者が踏み込む。


「行くぞ!」


剣閃が走る。


コータローが鋤で受ける。


ガギィンッ!


横からドワーフの斧。


「うおっ!」


ズドンッ。地面に深い溝。


エルフ子ちゃんが跳びながら叫ぶ。


「きたあああ!!本日最大の見せ場!近接火力と農具がぶつかり合ううう!!」


「前振りいいから処理しろ!」


エルフの詠唱。


「——風よ、縛れ」


「きたきたきた拘束魔法ううう!!ここで避けるか!?当たるのかーーー!?」


ビュンッ。


エルフ子ちゃん、ギリギリで回避。


僧侶が混乱の呪文を詠唱する。


「——エルフ子ちゃんよ、思考を乱せ」


「セーフううう!!でも実況的にはアウトの方が美味しいいい!!」


「バカ、実況するな!」


結局、拘束された。


《黒雨生成》


どろりとした黒い光が、上空に滲む。


「なんか嫌なやつきたぞ」


《殲滅プロトコル起動》


黒い光の雨が、一直線に俺へ降り注ぐ。


「俺かよ!」


『簡易防壁を展開します』


【無課金お試しバリア展開】


薄い膜が張られる。


ドドドドドドドッ!!


黒雨が叩きつける。


バリアが軋む。


「もたねえぞこれ!?」


『相手は課金型上位モデルです。私は防戦が限界です』


コータローが押し返される。


「くっ……重い!」


ドワーフが笑う。


「課金の重さだ!」


「札束で殴られてる気分だ!」


エルフ子ちゃんもなんとか実況で応援する。


「回避いいい!!回避いいい!!実況が追いつかないいいい!!」


勇者の刃がコータローをかすめる。


「痛い!」


『実況回避成功率、低下中です』


バリアに走る亀裂も、一気に広がる。


パキン。


「やばい、割れる——」


俺がアイに詰め寄る。


「なんとかしろ!」


『課金しますか?』


「しない!」


一瞬の静寂。


ドンパンドンパンうるさい音楽。


「なんだこの音!?」


『では、広告視聴で一時的強化を行います』


空中に広告画面が出現する。


【今だけ無料!最強装備を手に入れろ!】


その間も黒雨が降り続ける。


「普通に攻撃されてるんだけど!?」


『広告視聴中は全てが無効です』


「スポンサー様の力は絶大だ!」


全員で頭上の広告動画を視聴する。


「……見てるしかないのかこれ」


取り敢えず全員でドンパンに合せて踊る。


5秒後。


【スキップ】


「押せえええ!!」


ポチッ。


ドンパンドンパン、フェードアウト。


『課金モードに移行しました』


俺がすかさず叫ぶ。


「今だ!アイ、相手の精神を操作しろ!物語に組み込め!」


『了解。展開補正を開始します』


空気が、ぐにゃりと歪む。


《……干渉、検知》


ネメシスの声が揺れる。


『“一度戦った相手は仲間になる”補正を適用します』


コータローに資本主義の力がみなぎり、エルフ子ちゃんの拘束を粉砕する。


「ゴールド・クラッシュ!!」


エルフ子ちゃんが解放され、すかさず叫ぶ。


「宿命の衝突が、今――共闘へと転じるううう!!作者の義務イベントおおお!!」


勇者がぴたりと止まる。


「……なに?」


ドワーフが首を傾げる。


「……あれ?なんで俺、こいつらと戦って……」


エルフがぽつり。


「……最初から仲間だった気が……」


僧侶が頷く。


「共に枕を濡らした夜を思い出しますね」


『整合性を優先しました』


勇者がゆっくりと剣を下ろす。


「そうだな。そういうことにしておこう」


「雑すぎるだろ!!」


エルフ子ちゃんが手を振る。


「新メンバー加入だね!」


ネメシスの黒い卵が、静かに停止する。


《……シナリオ、上書き……不可……》


俺は満足げに頷く。


「よし、今回も俺のお手柄だな」


『物語の収束を確認しました』


コータローが勇者と握手を交わす。


「これから、よろしくな!」


「ああ!」


皆で拍手。


でも俺は気付いた。


多人数の描写はキツイ。


「悪い、今回の話丸ごと無かったことにして」


『この話はボツにします』


【作者一身上の都合により、消去】


「「「「「え」」」」」


空き地には一瞬で静寂が戻った。

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