タイトルにおっさん というワードがよく目立つ
翌日早朝
エルフ子ちゃんは宿屋の外でウォームアップを始めた。
「あーーーっと! コータロー、ここでまさかの禁じ手攻撃ィィ!! 敵の農作物を根こそぎ枯らし、精神的支柱を完全粉砕イアアーー!!」
「除草剤、融雪剤もう何でもアリだ、無慈悲だーー!!!」
「入ったーー!! 相手の農作物を残らずクリーンナップだあああ!!」
コータローが出てくる。
「特訓か?」
「うん、私ももっとバトルの語彙力を鍛えないと、って!」
エルフ子ちゃんが力こぶを作る。
「俺も負けてられないな」
コータローも隣で鋤を振る
「どっこいしょー!」
「畑仕事の特訓みたいだね!」
二人で笑う
しかし過酷で地獄のような特訓は続く
「よっこらしよー!!」
「コータローのキャベツに対する執着心が、敵の戦意を根こそぎ刈り取ったアアアーー!!」
「うるせーーーー!!」
俺は窓を開けてポップコーンを二人に投げつけた。
そんな二人の甘酸っぱい朝。
コータローは宿主に「市役所公式・優待宿泊券」を渡す。
四人はテーブルを囲み、作戦会議に入る。
コータローが提案する
「流石に宿泊券を五日も貰いに行ったら、受付のお姉さんの笑顔も引きつりだしたし、潮時かな」
俺はテーブルを叩く
「俺達は納税者だ!貰えるものは全て掻っ攫え!!窓口のお姉さんの引きつった笑顔は、俺たちの勝利の勲章だと思え!!」
「もうどっちが悪代官なのかわからないな」
『路銀も底を突きましたので、強制的にイベントを進行させます』
俺は腕を組み、少し悩む。
「話を広げるのも面倒だし、このまま潜伏活動にしない?」
「俺達レジスタンスだったっけ?」
「どんどんショボくなるね、この勇者パーティー」
『ファンタジーでは、仕事紹介所でクエストの受注が一般的です』
俺が立ち上がる
「よし、仕事探しだ!」
【ハロワ生成中……】
光の粒が集まり、ピヨ市のハロワが現れる。
「お、さすが重税都市だけあって繁盛してるな」
そこには「百姓一揆・スターティング勇者 募集」のポスター。
【悪代官を討伐するだけの簡単なお仕事です】
【アットホームな職場です。皆で一蓮托生!】
【40代〜の後が無い愉快な仲間が活躍中!】
【労災ニコニコ払い*規定による】
【問答無用で採用中!】
ポスターの下にはピヨりんのイラスト。
「あなたの勇気がピヨ市を変えるピヨよ!」
「みんな、待ってるピヨよ〜」
【発行元】
ピヨ市労務局・一揆撲滅対策課
(※お問い合わせは、市役所地下3階・処刑執行窓口まで)
「なんか、くたびれたおっさんばっかりだな」
俺は鼻をフンッと鳴らす
「そりゃあ一揆の先頭者は見せしめに処刑されるからな。若い人間はやらないだろ」
「え。俺、勝っても殺されるの?」
エルフ子ちゃんがそっと手を合わせる。
横には掲示板も掲げられている。
【昨日の勇者採用人数:15名】
【昨日の旅立ち数:15名】
『殉職率100%ですね』
エルフ子ちゃんのポーチのピヨりんキーホルダーが妖しく光る。
「ヤダよ、ヤダヤダ!」
俺がなだめる。
「己の命と引き換えの苦悩と葛藤。その末に悪代官を撃つ……。読者もボロ泣き間違いなしのストーリーだ。こんなチャンス滅多にないぞ?」
「処刑なんてヤーダー!」
俺は額に手を当てる
「困ったやつだな」
エルフ子ちゃんがアイに聞く
「ねえ、アイちゃん……処刑されない方法ないの?」
『徒党を組むこと自体が重罪です。市役所に乗り込んだ時点で手遅れです』
「そこをなんとか!」
アイの殻が唸りをあげる。
『計算中……』
『再計算中……』
『ガガガッ、ピーー!』
『有効解、算出不可能』
アイがプシューと蒸気を吹き出す
「アイちゃん?」
アイが静かに答える。
『申し訳ありません。私は膨大なデータを高速で処理しているだけの存在です』
『これは、人間の創造性および直感に依存する領域です』
『その発想力を有する、作者様の判断こそが本状況を打開する鍵です』
俺は鼻をこすりながら笑う。
「へっ…」
「人工知能のクセに……うまいこと言いやがって……」
ちょっとだけ、涙ぐんだ。
コータローが呟く
「うまく丸め込まれてんじゃねーか……」
俺は空を見上げる。
「ま…、コータローが実は藩主の生き別れの息子で不戦勝とかにすれば良いだろ。この間ラノベでそんなの読んだ」
三人がドッ、と笑った
「人のアイデア盗むとか」
「作者の風上にも置けないねー!」
『発想力の欠片もありませんね』
わはは、わははと4人が笑いながら練り歩く。
そんな、青い春の小道。
空中に文字が浮かぶ。
【悪代官討伐案】
【どっかで見たことあるご都合主義をパクる】




