↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジーを書こうとしただけの作者が世界創造することになった話 ―作者だけどファンタジーが分からないのでAIに丸投げします―  作者: 秋桜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/9

社畜が人気キーワードと聞いたので乗ってみた

宿に着いて受付に向かう。


「一晩、金貨一枚だよ」


「高っか!」


「最近、急に物が高くなってな」


俺はアイを見る。


『エルフが金貨を簡単に生成したため、世界でハイパーインフレが発生しました』


「世界規模!?」


少し考える。


「じゃあエルフに実況してもらえばいい」


だが、エルフは床に倒れて丸くなっていた。


「うう……」


「喉が痛いよ……頭も痛いよ……」


アイが光を放ち、エルフをスキャンする。


空中に光の文字が浮かぶ。


【診断結果】


・喉の炎症

 大声を連続で出したため


・知恵熱

 実況内容の処理負荷


『内容が壮大で複雑なほど発症しやすい状態です』


コータローがつぶやく。


「制限付きとか」


『特に「次回に続くぞおおお!」が実現した負荷が大きいです』


エルフがシクシク泣く。 


「良かれと思って言ったのに……」


『バランス調整です』


俺が言う。


「魔力消費みたいなもん?」


アイが少し止まる。


『提案を評価中…』


『鋭い着眼点ですね、驚きました』


「照れるー」


コータローが腕を組む。


「最近のAIはお世辞も言えるんだな」



翌朝。


エルフが唐突に騒ぎ出す。


「あーーっっと!大変だあああ!」


「ここで紅一点エルフのおお!まさかの名前未設定という事実が発覚ぅぅー!!」


コータローが言う。


「急に気づいたんだけどさ」


「エルフ、名前なくない?」


「普通に忘れてた」


『識別および愛着形成の観点から、名称は必要です』


エルフが身を乗り出す。


「かわいいのがいい!」


「響きも大事なの!」


「分かった、任せろ」


「そういうのだけは自信がある」


少し考える。


「……エルフ子ちゃん」


「「えっ」」


『斬新です』


「ペットみたいだな」


「そんなの、いやあぁぁーーー!!!」


「じゃあ……ワカメち――」


「私、エルフ子ちゃん!」


「よろしくね☆」


アイが淡く光る。


空中に文字が浮かぶ。


【名称登録】


【エルフ:エルフ子ちゃん】


【状態:軽度の喉の炎症】


「状態異常持ちなの!?」


『さて、本日はどうしますか?』


俺は天井を見上げる。


「取り敢えず、ラスボスの悪代官をなんとかすればいいんだろ?」


空中に文字が浮かぶ。


【クエスト発生】

【悪代官をなんとかする】


エルフ子ちゃんが首を傾げる。


「悪代官てどこにいるの?」


俺は腕を組む。


「城……いや、代官つーくらいだから……役所辺りか?」


「……部長倒して終わり、みたいな感じだね」


「スケール小さくない?」


『役目の重さとしては妥当です』


【市役所生成】


光の粒が集まると、そこは市役所だった。


【市役所フロア案内】

最上階 藩主御座所

7階 家老詰所・評定の間

6階 悪代官詰所


「6階だな。よし、討ち入りだ!」


“悪代官詰所”のプレートが掲げられたドアを開ける。


壁一面にはスローガンが貼られていた。


【奉公心得:死ぬまで働け、死んでも働け】

【逃亡厳罰:逃げる前に、まず己の無能を恥じよ】


スーツ姿の悪代官は疲れ切った顔で書類に埋もれていた。


「……ああ、一揆? 今ちょっと残業中でね……」


机の上には未処理の申請書が山積み。


幸せそうな家族写真も飾られている。


コータローとエルフ子ちゃんが気後れする。


「え、いい人っぽくないか?」


「中間管理職の哀愁を感じるー」


俺は首をふる。


「相手は悪だ。情けは無用、構わぬ!者ども、斬り捨てい!」


「私たちが悪者みたいなセリフやめてね」


栄養ドリンクを飲み干して、悪代官が手をかざす。


「ふぅ〜。愚かな百姓よ、待たせたな。来い!」


黒い霧が渦巻く。


「グルル……ウガアアア!!!」


やたら鋭いくちばしと無駄に立派な羽を持つ、なんかすごそうな魔物も召喚された。


「勇者コータロー、いざ参る!」


「さあ来た来た来たああ!」


「紆余曲折の末に――ついにラストバトルのゴングが鳴るううー!!」


「勇者コータロー対悪代官!」


「因縁!宿命!全部乗せの最終決戦だー!!」


空中に文字。


【最終決戦】

【コータロー vs 悪代官】


「ここで決めるのか、それとも覆されるのか!!」


「この一撃で物語が決まるぞーーー!」


空中に文字。


【カーン!】


次の瞬間。


なんかすごそうな魔物の口が光る。


「――――」


ドンッ。


光が走る。


「「「え」」」


消滅。


静寂。


俺はディレクターズチェアから飛び上がり、悪代官に詰め寄った。


「ちょっ、おまっ、おまえ!オマエーー!!」


「チョマーーー!!」


バシッ。


持っていたポップコーンの袋で悪代官の頭を叩く。


「いてっ!?」


「座れ!!」


悪代官と、なんかすごそうな魔物が正座する。


「主人公倒してどうすんだよ!!」


「いや、まさかこんなに弱いとは……」


「ボクちも、今のクシャミしただけピヨよ」


なんかすごそうな魔物もベソをかく。


「アイ、取り敢えず復活だピヨよ!」


『気に入っんですね』


空中に文字が浮かぶ。


【蘇生中ピヨよ…】


光が弾ける。


コータローとエルフ子ちゃんが再生成される。


「うわあああ!!」


「さっきの何!? 今死んだよね!?」


二人、がっしり抱き合って震える。


「もうやだ帰りたい」


「わかるー!」


『敗因は明確です。経験不足です』


「ぐっ……」


「正論やめてぇ……」


コータローとエルフ子ちゃんがうなだれる。


『ファンタジーの王道において、勇者は一度敗北し、成長してから再戦します』


俺は腕を組む。


「……うん、知ってたよ。知ってた知ってた」


――市役所・受付。


悪代官となんかすごそうな魔物が深々と頭を下げる。


「丁重にお返しして差し上げて」


「ピヨ」


受付嬢がにこやかに差し出す。


「入室バッヂのご返却ありがとうございます。こちら、お土産になります」


渡されたのは、キーホルダー。


なんかすごそうな魔物が、ゆるくデフォルメされている。


「……これ」


「なんかすごい見覚えある」


受付嬢が微笑む。


「当市の人気マスコットキャラクターでして。ピヨりんです」


「こいつ、マスコットだったんだ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。