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ふわふわポッケ  作者: いと
10/11

本当の私


それから半年後、南さんと恋仲になった。



南さんも、ぼんの姿は見えない。



でも、ぼんは南さんの頭の上が好きみたいで、よく乗っていた。

それがなんだか微笑ましい。



春吉:マナって、すごく優しい笑顔だよね。



ドライブデート中に寄ったサービスエリアの食堂で、南さんが言った。



マナ:え、そう?



春吉:うん。すごく好き。



マナ:…!



ボッと顔から火が出る。

南さんは、思ったことを口に出すタイプだ。



春吉:…ね、き、今日マナの家行ってもいい?



マナ:え゛。



春吉:もももちろん無理にとは言わないよ!



––家、今どんなだっけ…。

普段から綺麗にはしてるけど…

冷蔵庫は酒まみれ。缶のゴミも溜まってる。



マナ:えーと…



ぼん:どっぼ。



ぼんが南さんの頭の上からこちらを見つめる。



––今まで、私はなんでも彼の趣味に合わせて、彼が嫌な思いをしないように完璧な私を作ってきた。酒なんて飲んだことない、みたいな私を作って、気を遣って…



マナ:い、いいよ。ちょっと散らかってるけど…



春吉:ほ、ほんと!?やった!



––ちゃんと、私を見てもらおう。



マナ:ぼん、勇気くれてありがと。



私は彼に聞こえないよう、小声で言った。



ぼん:きゅ!





夜、私の家に着いた。



春吉:おじゃましまーす!



マナ:へへ…ど、どうぞぉ…。



緊張する。とても。

もしかしたら、今日、フラれるかもしれない。



春吉:え、綺麗じゃん!散らかってるって言ってたのに!



彼は剥き出しの空き缶のゴミ袋を見つけた。



––うっ。フラれる…



春吉:あ、マナお酒飲むの?



マナ:え?あ…うん。ビールが好きで…。



春吉:え、俺も好きだよ!じゃあ、今度一緒に飲み行こう!美味しいクラフトビールが飲めるとこ知ってるんだ。



マナ:…え?



春吉:え、嫌だった?



マナ:違う!あの…引かないの?



春吉:え?なんで?



マナ:こんな…酒飲みの女…。



春吉:え、むしろ好感!マナって、お酒飲まなそうだったし、むしろそういうの嫌いそうだったから。



マナ:こ…これがほんとの私…です。



春吉:そっか。うん、好き。



マナ:…ぅぅ…ありがとぉ…



春吉:えっ、なんで泣くの!?



私、こんな泣き虫だったのか。



マナ:…これから、一杯どっすか?



私は冷蔵庫を開けた。

ビールが6本。パック買い。



春吉:あははっ!いっすね、賛成ー!



私達は、缶ビールで乾杯した。



おつまみは、イカソーメン。


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