幸せ
2年後。
春吉:マナ、めっちゃ綺麗。
マナ:…へへ、ありがと。
今日は、私達の結婚式。
私は、柊真実から、南真実になった。
ちょっと名字と名前のバランスが悪い気がするけど、それがくすぐったくて、心地いい。
ぼんは、今日はポケットがないので、ふわふわ浮いている。
春吉:じゃあ、また後でね。
マナ:うん。
春吉さんは部屋を出ていった。
ぼん:んっきゅ。
マナ:ふふ、ぼん、私綺麗?
ぼん:んー。
マナ:おい。
私はぼんを睨んだ後、ぼんを手のひらに迎え入れた。
マナ:…ぼん、ありがとね。ぼんがいたから、変われたんだよ。ぼんと出会えて、本当に良かった。私、すごく幸せだよ。
ぼん:…んっきゅ!
ぼんは私に頬擦りした。
ぼん:どっぼ!
マナ:ん?
ぼん:…きゅ!
マナ:ふふ、何よ。
ぼんは、手のひらからふわふわと飛び立つ。
そして窓の外へ出た。
マナ:あっ、ぼん!そっちは外だよ!危ないから戻っておいで!
ぼん:…どっぼ!
マナ:…ぼん?
ぼんは、ニコッと笑い、ふわふわと飛んで行ってしまった。
マナ:ぼん!?ぼん!…ぼん…。
––コンコンッ。
スタッフ:失礼致します…真実様!?
式場スタッフが、泣き崩れている私に駆け寄る。
マナ:す、すみません…すごく、今日が嬉しくて…
久しぶりに、取り繕った。
スタッフ:そ、そうでしたか…。お化粧、直しましょうね。
マナ:…はいっ。
ぼんは、もう戻ってこないと悟った。
すごく悲しくて寂しい。
でも、きっと私が幸せになったから
ぼんは役目を果たして去っていったんだ。
だから、私はこの幸せを大切にして生きるよ。
それからしばらく経った冬。
マナ:美味しかったねー!あのお店!
春吉:そうだね!また行こっか!
今日はクリスマスイブ。
私は、夫の春吉さんと食事の帰り。
とても幸せに暮らしている。
マナ:…?
向こう側に、背中を丸めて俯きながら歩く若い女性。
不幸丸出し。昔の私を見てるようだ。
ふと、彼女のコートのポケットに目がいく。
白いふわふわが、モゾモゾとポケットの中へ入っていった。
マナ:…ぼん!
思わず声が出た。
春吉:ん?
春吉さんが、反応する。
マナ:あ…いや、なんでもない!
…そっか。次はあの子を幸せにしてあげるんだね。
マナ:…えいっ。
私は春吉さんのポケットに手を突っ込む。
春吉:ふふ、どしたの。
彼はポケットに手を入れ、私の手を握った。
マナ:へへ、今日はこーやって帰るっ。
私はぼんに想いを馳せながら、笑顔で家に帰った。
今度は、どんな名前をつけてもらうのかな。




