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黒き世界の理由

魔王アスペルハイムが生まれた場所である黒き世界に、いつしかネクソハイムという名が与えられた。


そしてネクソハイムは、循環の沈積物を捨てる場所であった。


すべての世界はネクソハイムを必要としていたが、その存在が知られることは望まなかった。


そのような理由から、徹底的に秘密として隠された世界である。


徹底した調査を通じて生命との縁がない場所が選ばれ、こうしてネクソハイムは廃棄の場所として利用されることになった。


循環の沈積物はネクソハイムをさらに深い黒で染め上げながら、純粋な黒き波動だけが存在する世界へと変えていく。


すべての世界からますます多くの循環の沈積物がネクソハイムへ送られ、ますます多くの循環の沈積物がネクソハイムに積み重なっていく。


そしてさらに時が流れると、循環の沈積物を捨てることは当然の権利であるかのように慣れ親しまれていった。


長い時が流れた後、ネクソハイムがただ循環の沈積物を捨てる単なるゴミ箱となった時代に、他の世界から一機の探査船がやって来る。


その探査船は他の世界に属する惑星のうち、地球から来たものであり、ネクソハイムの現在の状態を確認するために訪れたのだった。


探査船は初めて黒き世界ネクソハイムに光を照らした。


そしてネクソハイムに初めて光が存在した。


地球から来た探査船は、しばらくの間循環の沈積物の間を行き来しながらネクソハイムを見回した後、再び次元の彼方へと消え去った。


しかし闇に混じったその光は、まるで0と1のパルスのようにネクソハイムに響いた。


循環の沈積物に初めて光が価値を与えた時、アスペルハイムもまた目を覚ます。


誰一人として、単なる調査が黒き世界ネクソハイムに生命を呼び起こすとは思わなかった。


徹底的な調査と研究によってネクソハイムが選ばれたため、生命が文明の論理を超えることは予想できないことであった。


次元門が開き、循環の沈積物が流れ込む時、光もまた共に瞬く。


一つの次元門が閉じれば別の次元門が開き、そうしてネクソハイムには光のパルスが続いていった。


繰り返される光の瞬きは、心臓の鼓動のようにネクソハイムの中で脈打ち始める。


アスペルハイムが「瞬く」ということを理解するまで、どれほど長い時間がさらに流れたのかは分からない。


しかし他の世界から完全に捨てられた世界ネクソハイムに生命が育ち始め、徐々に生命の姿がはっきりとしていく。


黒き世界の住人たちは、光のないネクソハイムに適応し、必然的に独特な姿を持つようになった。


循環の沈積物が何であるかを知らなかった時でさえ、なお次元門は開き続け、光と共に循環の沈積物がネクソハイムへ流れ込んでいた。


そしてこの一方的な繰り返しが、ネクソハイムの住人たちに他の次元の存在と、次元門の向こう側にいる光の種族を先に知るきっかけを与えた。


ただし、ネクソハイムの住人たちが初めから他の世界に敵意を抱いていたわけではなかった。


再びネクソハイムへ通じる次元門が開き、光がしばし瞬いた後、循環の沈積物が入り込んでくると予想していた時、光の世界から一隻の探査船がネクソハイムに姿を現した。


ネクソハイムもある程度文明が発展しており、当時のネクソハイムの住人たちは探査船に似た移動手段を持っていた。


ナイトヘブンという名を持つその移動手段は、その姿が巨大な魚、あるいはクジラに似ていた。


探査船はネクソハイムの住人たちがナイトヘブンに乗って移動する様子を長い間観察していたが、両者の間で攻撃的な反応は起こらなかった。


むしろネクソハイムの住人たちはすでに光の種族を知っており、いつか訪れる出会いに対しても大きな期待を抱いていた。


ただし交流の方法が分からなかったため、誤解を避けるために先に行動せず、光の種族からの反応を待っていた。


探査船はその場に留まっていた。


ネクソハイムの住人たちは、探査船が自分たちを観察しているという感覚を受ける。


再び光が瞬き、次元門が開くと、異なる形をした探査船が何隻も姿を現した。


ネクソハイムの住人たちは期待に満ちた眼差しでナイトヘブンに乗り、探査船の周囲へ集まっていった。


そして問題が発生する。


探査船は突然ネクソハイムの住人たちに向けて光の網を投げ、ナイトヘブンごと丸ごと包み込み、素早く次元の彼方へと消え去った。


ネクソハイムの住人たちが驚く暇もなく、ネクソハイムの住人が誘拐されるという衝撃的な事件が発生したのである。


突然家族や恋人や子供を失ったネクソハイムの住人たちが途方に暮れている時、次元の門が開き、探査船が戻って来る。


しかも今回戻って来た探査船は、前回見た探査船よりもはるかに巨大であった。


ネクソハイムのすべての住人がそれぞれ武器を手に取り、巨大探査船の周囲へ集まる。


緊張が走り、探査船の前部が上下に開くと、光の中から黒い姿が動きながら外へ出て来始めた。


その姿を見ると、手に持っていた武器を下ろし、ネクソハイムの住人たちは嬉しそうに駆け寄って互いに抱き合う。


誘拐されていたネクソハイムの住人たちが戻って来たのである。


「私は地球人の科学者カルセオンです。私の声が聞こえますか?」


探査船から初めて理解できる言葉が流れ出る。


これがネクソハイムにおいて光の種族と交わした最初の会話であった。


その後、ネクソハイムの住人たちがカルセオンとの交流によって確実に知ることになった事実がいくつかあった。


自分たちが住む世界がネクソハイムという名を持つことを知る。


そしてネクソハイムに入って来た探査船たちは、確かに自分たちを誘拐したのであった。


しかし公式には、次元法によって知性体の存在する世界への誘拐および攻撃行為は禁止されている。


そのため、カルセオンと彼に協力する光の種族が尽力し、誘拐されたネクソハイムの住人たちを救出してネクソハイムへ帰還させたのであった。


自らをカルセオンと名乗った地球人の科学者は、ネクソハイムの住人たちに多くの助けになる。


そしてようやくネクソハイムの住人たちは、循環の沈積物が持つ意味も知ることになる。


しかし、だからといって何かが変わるわけではなかった。


ネクソハイムの住人が誘拐される事件は、その後も頻繁に起こった。


そして続く誘拐や不当な扱いに不満を抱くネクソハイムの住人たちも次第に増えていった。


それでもしばらくの間は、守ろうとする善行と破壊しようとする悪行が絶妙な均衡を保っていた。


しかし平穏がもたらす安逸の中でも、破滅の芽は徐々に育ち始めていた。


端的に言えば、光の種族はネクソハイムへ自由に訪れることができたが、ネクソハイムの住人が光の世界を訪れることは、すべての世界によって拒否されていた。


ネクソハイムでアスペルハイムという名が知られ始めたのも、その頃である。


アスペルハイムは光の種族が送った探査船を鹵獲し、その探査船から光の種族に関する多くの情報を知ることになる。


明らかになった真実に、ネクソハイムの住人たちは憤る。


光の種族が世界を繋ぐたび、その繋がりには黒き世界ネクソハイムの犠牲が前提とされていた。


次元を移動するたびにネクソハイムのエネルギーが消費され、文明が発展するたびに価値のない副産物がネクソハイムへ捨てられる。


光の種族が築いたユートピアの世界は、ネクソハイムを燃料として作られた世界であった。


光の歴史が輝かしければ輝かしいほど、その歴史に隠されたネクソハイムの影はさらに濃く深くなっていく。


アスペルハイムと彼に従うネクソハイムの住人たちは、一方的な犠牲に抗議しようとしたが、すべての世界を構成する基本的な秩序は、循環の沈積物をネクソハイムへ捨てることを前提条件として安定化していた。


しかし光の種族は妥協することができなかった。


光の種族が暮らす世界において、循環の沈積物はブラックホール級のマイナスエネルギーだったからである。


結局、アスペルハイムはネクソハイムで準備したブラックホール兵器をすべての世界へ向けて発射する。


ネクソハイムから放たれたブラックホールによって、光の種族が築いたすべての文明は消滅し、光の文明は容易く消え去るかのように見えた。


しかしアスペルハイムは、すべてをブラックホールで飲み込もうとした時、かすかな光に乗って別の次元へ旅立つ地球文明最後の光を目にした。


光を容認するつもりのないアスペルハイムは、その光さえも飲み込もうとしたが、自らの前に立ちはだかった地球人科学者と対峙しなければならなかった。


そしてそのわずかな足止めによって、ついに取り逃がしてしまう。


逃げた光を探すため、アスペルハイムは自らが破壊したすべての世界を隅々まで捜索し始めた。


長い時間を要することではあったが、アスペルハイムは執拗に探し続けた。


そしてついにアスペルハイムは、光が築いた新たな文明であるエノルの世界へ到達する。


妥協はない。


ネクソハイムの怒りがすべてを飲み込むことを期待しながら、アスペルハイムは次元門が開くと、あらゆる兵器を動員してエノルを攻撃した。


しかしエノルの世界はアスペルハイムの侵攻に備えており、すでにエノルの魔法秩序の中では、アスペルハイムとネクソハイムの黒き波動が入り込めないよう最大限の警戒がなされていた。


アスペルハイムが油断していたわけではないが、それ以上に強力なエノルの魔法抑止力によって、アスペルハイムは一瞬のうちに封印されてしまう。


エノルの魔法秩序がアスペルハイムと黒き波動の存在を否定したことで、エノルの世界に物理的干渉を及ぼすことができなくなったのである。


エノルの魔法秩序はアスペルハイムを封印し、その活動を拘束する。


アスペルハイムは自らが封印されると、ひとまず自分の配下たちを再びネクソハイムへ帰した。


アスペルハイムが油断していたわけではなかったが、アスペルハイムにとってもこの時は初めて魔法に接した状況であった。


ネクソハイムの黒き波動はエノルの魔法秩序によって拒絶されて押し返され、それは凄まじい破壊力を持つブラックホールであっても同じである。


その後アスペルハイムは、次元の狭間である封印石の中に閉じ込められ、エノルの世界、すなわち光の世界を見続けている。


アスペルハイムの目の前では、あれほど憎んでいる光の文明が再び発展していた。


魔王は、ネクソハイムの犠牲を前提とした不完全な世界であったがゆえに、すべてを消し去らなければならないと信じていた。


そして魔王は、エノルの世界をこのまま放置すれば、記憶は繰り返されるのだと今でも信じている。

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