黒い稲妻の王座
アルカリオンの南西の尖塔では、いつも風が先に授業を始める。
風の精霊たちが暖かい空気の流れを作りながら、生徒たちの耳に授業時間を知らせるからだ。
しかし、一度も精霊同士がぶつかったことはない。
アルカリオンに集まった多くの生徒たちが、それぞれ異なる授業を受けるために移動するが、精霊たちが優雅な身振りで飛び回るように、講義室へ向かう生徒たちの足取りもまた落ち着いており、乱れることがない。
生徒たちが皆集まると、精霊たちの優雅な流れが爽やかな風となってドームホールを包む。
そして講義室の中の水晶石が青い共鳴を響かせながら輝き始める。
その日の講義が始まる。
セルベインは何も言わず静かに生徒たちを見回す。
全員の出席を呼ぶことはない。
生徒たちが講義室に入るたびに、風の精霊たちが彼らが誰であるかをセルベインに知らせるからだ。
セルベインは講義室の中央に立つ。
白いローブの上の銀色の装飾は、アルカリオン最高の師にのみ与えられる栄誉である。
セルベインの周囲を囲む生徒たちの顔には、憧れのまなざしが満ちている。
今日の授業には、セルベインの隣に授業を受ける生徒たちと同年代のエルフの少女が一人いる。
アイオレンという名のエルフだ。
エルフ専用教育機関であるアルカリオンを卒業したアイオレンは、もはや生徒ではなく、生徒を教える立場としてこの場に立っている。
彼女が着ている緑色のローブの上の銀色の装飾が、アイオレンの優れた能力を証明している。
アルカリオンの師たちが持つ栄誉は全部で四つである。
精霊王に認められ、エルネドに紋章が記憶されるたびに、栄誉は一つずつ増える。
これはまるで光へ向かう旅のようなものだ。
初めて師となったエルフたちは、普通一人の精霊王と最初の契約を結ぶ。
そのため師の最初の衣装は一般的に青色のローブである。
そして二番目に別の精霊王と契約すると、緑色のローブを着る。
最後に三番目の精霊王との契約が成功すると、師は赤色のローブを着る。
精霊王との契約が四つ以上になると、ついに光へ向かう旅が完遂され、アルカリオン最高の先任者となって白色のローブを着る。
今、アイオレンが身にまとっているローブは緑色である。
つまり彼女はすでに二人の精霊王との契約に成功し、自らの紋章もまた二つエルネドに記憶させている。
アイオレンはその特別な才能によって、同年代の友人たちよりも早くアルカリオンを卒業した。
今はセルベインを補佐する補助者としてセルベインの隣に立っているが、アイオレンもまた確かに生徒たちから師と呼ばれるに不足はない。
ただし同年代という意味が師への尊敬と重なり、その意味が可愛らしく変化してはいた。
生徒たちのうち何人かがアイオレンに気付き、嬉しそうに手を振りながら笑う。
昨日まで一緒に授業を受けていた友人が、今は尊敬する師の地位にいるということが、雰囲気的に少し気恥ずかしいようだ。
アイオレンはセルベインの様子をうかがいながら、小さな手振りで友人に挨拶する。
「コホン。」
目を閉じたままセルベインがわざと咳払いをすると、アイオレンも生徒も少し驚きながら耳先が赤く染まる。
セルベインはわざと厳かな表情を作っているが、二人を見るセルベインの目は温かい。
彼女はいつも生徒たちを愛してきたし、この空間に集まった精霊たちもまたすべて覚えている。
セルベインの今日の講義が始まる。
「今日のテーマは黒い稲妻の王座についてです。」
セルベインの言葉に、生徒たちはざわめき、緊張した眼差しになる。
「魔王アスペルハイムについての記録は、皆知っていますね。」
セルベインの問いに、生徒たちは軽々しく答えることができない。
しかしエルフだけでなく、エノルに住む存在であれば誰もが知る名前だ。
「エノルの最初の記憶の中で、空は無言のまま黒く固まり、大地はその響きによろめきました。」
セルベインが再び話を切り出す。
「魔王は言います。私は大地の上を踏みし者、そして天空を引き裂く者。」
アイオレンが言葉を受ける。
「はい、その通りです。」
セルベインがうなずく。
「彼は黒い稲妻の槍を掲げて空を裂き、エノルの大地を震動させました。しかし私たちはこれに備えた準備をしてきました。」
当時セルベインはすでにエルフを中心として外部次元からの攻撃に備えていた。
しかし、より正確には、すでにオルディナが魔王アスペルハイムの侵略を予測し、セルベインとオルディナがエノルの世界が始まった時からその備えをしてきたのである。
長い期間にわたる徹底した準備によって、セルベインとエルフたちは勇敢に立ち向かって戦い、こうして魔王アスペルハイムを封印することに成功する。
「彼は混沌の槍で時間を止めました。しかし私たちは退かず、記憶の鎖で彼を縛りました。」
エノルの英雄伝記はその日をこのように記録している。
「アスペルハイム。彼は真の破壊者です。確かに魔王と呼んでも過言ではないでしょう。」
セルベインは言う。
「しかし彼は……また……」
だがセルベインはその先の言葉を続けることができない。
するとアイオレンが気を利かせて次の文章を引き継ぐ。
「アスペルハイムは意図的に思い出の中の人物を見せながら抵抗しました。」
アイオレンはセルベインに代わって、アスペルハイムの最後の姿を生徒たちに説明する。
セルベインが心を整える時間を稼ぐためだった。
教えを与える師が弟子たちに隠せない感情状態を見せることは望ましくない。
セルベインは魔法の呪文によって穏やかな表情をした自分の分身を残し、アルカリオン南西の尖塔の最も高い場所にあるテラスへ瞬間移動する。
心が乱れる時、セルベインはいつもここを訪れる。
最後まで抵抗するアスペルハイムが見せたものは、セルベインの行動を止めるのに十分な効果を与えた。
それは記憶である。
セルベインとオルディナの両方にとって忘れられない存在についての記憶である。
もちろん偽物であることは確かだった。
「カルセオン。彼が本物のカルセオンなのかそうではないのか……」
確かに偽物だと信じているが、もしかしたらという気持ちが非常に小さな確率で残る。
「私たちは証明できませんでした。」
オルディナの声が聞こえる。
セルベインの目元にほのかに広がった影が、その日の出来事を語っている。
「だから私たちは彼を……消し去ることができませんでした。」
黒い稲妻の槍が再び空を裂くたびに、エノルの魔法秩序は脅かされた。
そしてセルベインはその度ごとに、意図的に魔王消滅ではなく魔王封印という次善策を選び、魔王アスペルハイムを阻んだ。
しかし消滅させるのではなく、ただ封印するだけでは明らかに限界がある。
時間が経つほど魔王はさらに強くなり、封印さえ容易ではない。
魔王は徐々にエノルの魔法秩序に溶け込みつつあり、エノルの外的存在ではなくエノルに属する存在へとその認識が変わりつつあった。
そのため毎回以前よりも容易に封印が解け、魔王は以前よりもさらに早く目覚めている。
その度にセルベインは封印を選び、エルフたちの犠牲が伴っている。
魔王アスペルハイムが存在するがゆえに、セルベインはカルセオンが託したエノルをさらに犠牲にしなければならない。
「…っ」
込み上げる悲しみにセルベインはその場に崩れ落ち、目に涙をためる。
「皆さん。魔法は道具である以前に記憶です。過去を受け継ぎ、今を悟り、未来へとつながる記憶。エルネドの魔法秩序の中で、皆さんの記憶をつなげてみてください。」
アイオレンが生徒たちを見回しながら説明する。
セルベインは授業の途中から分身を消し、再び講義室へ戻ってきていたが、アイオレンは他の師たちに劣らないほど授業をうまく導いている。
そのためアイオレンによって授業が進められ、こうして授業は無事に締めくくられた。
精霊たちは生徒たちに次の授業を知らせ、生徒たちは中央に立つセルベインとアイオレンに挨拶して静かに講義室を出ていく。
今、講義室にいるのはセルベインとアイオレンだけである。
「師匠。」
アイオレンがセルベインを呼び、授業が終わったことを知らせる。
「今はたとえ小さな可能性でも、記憶はいつか魔法のように驚くべきことを私たちに贈ってくれるはずです。」
アイオレンは微笑みを見せながら、セルベインの力になろうとする。
セルベインは黙って微笑み、立派な弟子の頭をそっと撫でた。




