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対練の意志

シルブラスが自分の気功を集め、まずベルマウルに向かって右拳を繰り出した。


たとえ武器を手に持っていなくても、気功の流れによって強化されたシルブラスの体術は決して軽いものではなかった。


ベルマウルがこれまで経験を積む中で培ってきた戦闘本能が、それを強く警告する。


ベルマウルは身を後ろへ引きながらシルブラスの拳をかわした。


「セラフィエル・ガーディアン。」


ベルマウルが魔法の呪文を唱えると、ベルマウルの前に輝く盾が浮かび上がる。


「気爆術(気功爆発術)。」


シルブラスは待っていたかのように、ベルマウルの魔法の盾の上に静かに掌を当てると、その掌に気功を圧縮し、一瞬で爆発させた。


「ドン!」


気功の力が炸裂すると、魔法の盾もガラス板が割れるように砕け散った。


盾が壊れると、ベルマウルは再び後ろへ下がり、シルブラスとの距離を確保する。


「シルペンダー。」


再びベルマウルが風の精霊を利用した防御魔法の呪文を準備する。


「ビュー ビュー。」


回転する激しいつむじ風がベルマウルとシルブラスの間を遮った。


「気断術(気功切断術)。」


だがシルブラスは自分の右手の手刀に気功を集め、シルペンダーを縦に切り裂く。


やはりベルマウルの魔法の呪文はシルブラスの気功に耐えられず、真っ二つになって呪文が解除された。


「学んだことを忘れたのか? それともそんな甘い覚悟で今まで生きてきたのか?」


シルブラスが問う。


依然としてシルブラスの体を包む気功は少しも乱れることなく白く輝いていた。


ベルマウルの右手が習慣的に腰へ向かう。


しかしベルマウルには今、剣がない。


ベルマウルはその事実に気付き、素早く周囲を見回して剣の代わりに使える物を探した。


だがシルブラスから剣を借りたいとは思わない。


それは魔族国の将軍としてベルマウルが守る最後の自尊心だった。


「まさか剣がないから不利な状況だと言いたいのか?」


「……」


シルブラスがベルマウルの見え透いた行動について聞く。


そしてベルマウルによく見えるようにわざと腰をひねり、自分が帯びている剣をベルマウルに見せた。


「どうやら剣を使う必要はなさそうだ。剣を借りたいなら言ってくれ。」


「言葉はありがたいが、本当に必要になったら頼むよ。セラフィエル・ガーディアン。」


ベルマウルはシルブラスの提案を断り、もう一度セラフィエル・ガーディアンを召喚して自分の前に配置した。


まずは防御に集中しながら、この状況を覆す方法を考えようとしている。


「剣士だからといって必ず剣だけを使わなければならないわけじゃないだろう。道具として主に剣を使うだけで、状況によっては別のものを使うこともある。剣士の本質は道具にあるわけじゃないからな。」


ベルマウルは考える時間を稼ぐため、見え見えではあるがとりあえず意地を張る。


「面白いだが、だからといって魔法の盾一枚だけで耐え抜けるほど甘い状況でもないだろう。一応将軍だし、それが役に立たないと分からないほど馬鹿じゃないだろう。」


シルブラスは自分の前に再び現れた魔法の盾を見て、呆れたような表情を浮かべる。


「悪いな。俺は少し頑固なんだ。根性だけなら魔族国でも五本の指に入ると思うぞ。」


ベルマウルは相変わらず意地を張るが、シルブラスの言う通り、気功術によって崩され続ける自分の魔法を立て直す方法がない。


原因はすでに分かっている。


それはベルマウルが現在剣を使えるかどうか、その以前の問題だった。


シルブラスの気功術に対してベルマウルの魔法の呪文が力負けしていることが問題だ。


幸い今はベルマウルに攻撃を知らせるという意味で、シルブラスは気功術を発動する前にその気功術の名を口にする。


だからベルマウルは、その気功術に対応する魔法の呪文を準備することができた。


ただ問題は魔法の強度だった。


ベルマウルが状況に適した魔法の呪文を探し続けている間に、シルブラスの気功術はすでにベルマウルへ有効打として命中している。


もし対練ではなく実戦だったなら、ベルマウルはシルブラスの相手にまったくならなかっただろう。


その恐ろしい真実を前にして、ベルマウルは唇を強く噛み締める。


個人的にシルブラスに負けることも問題だが、ベルマウルが魔族国竜騎士団を率いる魔族国の将軍であるという点から見ても、この問題の深刻さは非常に大きい。


「まだ魔法の呪文を探しているのか?」


ベルマウルが頭をフル回転させている音が実際に聞こえているのか、それとも拙い防御にうんざりしたのか、シルブラスがベルマウルを指摘する。


「さあな。」


ベルマウルはシルブラスの言葉を認めざるを得ない状況で苦笑した。


「悩みに悩み、慎重に慎重を重ねて魔法の呪文を探し続ける。次の一秒のために現在へ集中せず、その結果お前の現在は常に崩れ続けている。だが今を捨てたお前に、本当に未来はあるのか。生命の価値は現在から始まるものだと、草原がはっきりと教えてくれた。」


シルブラスは厳しく忠告した。


「バイソンたち……」


そしてシルブラスの助言によって、ベルマウルの悩みがついに解ける。


「そういうことか! セラフィエル・ガーディアン!」


ベルマウルが魔法の呪文を唱えると、ベルマウルの意志が闘志の糸となって魔法の呪文の中で血管のように伸び広がり、セラフィエル・ガーディアンの存在性をさらに強化した。


また、魔法の呪文を唱える時に、なぜか他人のものを借りてきているようだったその違和感も感じられない。


「イスカ・ロック。」


ベルマウルが連続して魔法の呪文を唱える。


やはり普段とは少し違う。


ベルマウルが召喚した光の槍は、空に召喚された瞬間からベルマウルの意志を持ち、すぐさまシルブラスを狙って降り注いだ。


「最初からそうすればよかったのだ。気合術(気功合体術)。」


シルブラスが微笑みながら、自分の体に気功をまとわせて気功防御壁を形成する。


「バン! バン! バン!」


意志を持って空から突き刺さる光の槍が気功防御壁にぶつかり、派手な音を立てながら弾かれている。


ベルマウルが笑う。


気功防御壁で魔法の槍は力なく弾かれているのではなかった。


槍が気功防御壁にぶつかるたびに、シルブラスの足は絶えず地面へめり込んでいた。


「てやっ!」


ベルマウルが気合を入れながら、シルブラスに向かってセラフィエル・ガーディアンを立てて体当たりを試みる。


「見事だ。」


ようやくシルブラスが満足したように表情を和らげた。


「ようやく一歩踏み出したな。おめでとう。草原での一歩は、その価値がなかなか大きいものだ。」


シルブラスがそう言うと同時に気功術を唱える。


「気強術(気功強化術)。」


シルブラスの気功が圧縮され、鎧のようにシルブラスを包み込む。


「ドカン!」


ベルマウルとシルブラスがそのまま激突してぶつかり合う。


そして今度は、ベルマウルの意志を込めた魔法の呪文セラフィエル・ガーディアンがシルブラスの気功に耐えた。


「やった!」


ベルマウルが喜びの歓声を上げる。


「だが油断だ。」


シルブラスが微笑む。


ベルマウルの頭に、その瞬間うっかり忘れていた事実が浮かんだ。


獣人族の基本体力が魔族より高いという単純な事実を見落としていたのである。


ベルマウルの魔法の呪文はシルブラスの気功に耐えているが、正面から獣人とぶつかり合ったベルマウルの体は、シルブラスより物理的に軽い。


「ぶーん~ ドサッ。」


その単純な物理現象によって、ベルマウルは次の瞬間、反動を受けて勢いよく弾き飛ばされた。


ベルマウルはそのまま地面に大の字になって倒れる。


「ははは!」


だがベルマウルは地面に横たわったまま大声で笑い始めた。


その様子を見ながら、シルブラスは自身の身体にまとっていた気功を解除した。


「ようやく一歩踏み出しただけで、そんなに気分がいいのか?」


シルブラスが笑い続けているベルマウルに聞く。


「もちろんさ!」


ベルマウルは微笑みながら大きく笑い、立ち上がった。


「続けられるか?この気持ちを今日のうちに完全に理解したい。」


ベルマウルは積極的だった。


「その前に、ひとまず食べるか?」


シルブラスの右手が向いた方向から、食事を用意した獣人がこちらへ走って来ている。


「グゥゥゥ。」


口より先に腹が答えると、ベルマウルは照れくさそうに笑いながら身構えを解いた。

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