↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/57

グラウムバルの演算者たち

ドワーフの職人たちが、ロデンミル市街地に散乱している8本の巨大な塔のうち、第1塔の前に集まっている。


エクスバークとドワーフの職人たちは、浮遊する魔法荷車の最初の荷車から装置を降ろし、第1塔への接続を終えたところだった。


荷車には、目の前の装置がまだ7基残っている。


もっと早く来られなかった理由も、これらの装置を安全に運搬するために最も安全が確保された道ばかりを進んできたからだった。


「塔のある場所へ行こう。」


ロデンミル城門の前まで迎えに来たアイオレンに、エクスバークは会うなり挨拶もなく、いきなりこう言った。


「あ……はい!」


アイオレンはとっさに反応し、一行を塔が横たわっている場所へ案内する。


「もし会った途端にエクスバーク様が先に何か要求されることがあれば、まずそれに従うように。」


セルベインに言われた通り、アイオレンはエクスバークの言葉に従う。


「これはひどく壊れているな……」


エクスバークが周囲を見回しながら言う。


「はい。塔が空から落下した際に損傷した箇所が多くあります。」


エクスバークの言葉にアイオレンが同意する。


「塔だけでなく、市内の状況も含めてだ。どうやらこの塔を早く片付けないと物事が進まなさそうだな。」


エクスバークは正確に現場の状況を把握した。


「第1塔はこれか?」


「はい。この塔で間違いありません。」


エクスバークの質問にアイオレンが答える。


「そうか。おい! この塔が1番だ。急いで取り付けろ。」


するとエクスバークは、後方で待機していた部下の職人たちに指示を出した。


部下の職人たちはうなずき、最初の浮遊車の固定装置を外し始める。


しばらくして、最初の装置の第1塔への接続が完了した。


エクスバークは水晶板を手に取り、装置を操作し始めた。


「エクスバーク様。この装置は何なのでしょうか?」


アイオレンが横から尋ねる。


「いい質問だ。じきに見れば分かるだろう。」


エクスバークは相変わらず水晶板を見ながらアイオレンに答える。


「よし。皆、下がれ。」


そして水晶板での操作を終えると、部下たちを退避させた。


「では、起爆してみるか。」


エクスバークはそう言うと同時に、ためらいなく水晶板を押した。


「ククククク……」


水晶板を押した途端、地面を揺るがす振動が鳴り始める。


「出力上昇中。同調効率安定。」


装置を監視している部下が状態を報告する。


「やはりセルベイン様の考えた通りだな。」


エクスバークが満足そうに笑う。


「一体どういうことなんですか?」


アイオレンがきょとんとする。


「ある意味では魔王に感謝しなければならない。」


エクスバークが意味深なことを言う。


「へっ? 魔王に感謝ですって?」


アイオレンはエクスバークの言葉についていけない。


「塔に黒い波動をこんなにも大量に残してくれたのだから、感謝しなきゃな!」


エクスバークの言葉が終わるのと同時に、横たわっていた塔がゆっくりと空中へ浮かび上がり始めた。


「ロデンミール塔管制所との接続魔法を確認。第1塔の誘導魔法信号に反応。アクノス魔法陣位置コード送信。第1塔コード承認。第1塔姿勢制御装置エラー確認。復旧機能再起動要求。起動成功。自動復旧機能有効化。」


第1塔の状態をドワーフの職人が次々と報告する。


ドワーフの職人の言葉通り、第1塔はゆっくりと高度を上げ始めた。


「どうしてこんなことが……。一体あの装置は何なのですか?」


アイオレンはあまりにも気になり、詰め寄るようにエクスバークに尋ねる。


「さあな。まだ名前を付けていないが、敢えて言うなら蓄光炉だな。黒い波動を吸収し、光属性の魔力へ変換するコンバーターだ。」


エクスバークは簡潔に答える。


「黒い波動を吸収して光属性の魔力へ変換する変換装置……コンバーターですか。そんな装置は聞いたことがありません。」


アイオレンは言葉の意味は理解できたが、そのような装置を見たことがなく戸惑った。


「状況を考えると、エルセリオン・コンバーター装置と呼ぶべきだろうな。」


エクスバークは、自分で考えた名前が気に入っている様子だ。


「えっ?! エクスバーク様がどうしてエルセリオン魔法をご存じなのですか?」


アイオレンは、エクスバークがエルセリオンを口にするとさらに驚く。


「ハハハ! やれやれ。セルベイン様は弟子に何も話しておられなかったようだ。イレルダン峡谷でベルマウル将軍が魔王の魔法剣ネビラクを真っ二つにし、峡谷の形すら変えてしまっただろう? そうだったな?」


エクスバークの視線は依然として水晶板に向けられている。


「はい。なかなか有名な話ですから。ドワーフ王国にまで噂が広まるのも当然です。」


その程度ならエクスバークも知っていておかしくないと、アイオレンは納得する。


「当時、我々のところに伝わったのはその噂だけではないのだよ。」


エクスバークが笑う。


「あ……それなら……」


そこでようやくアイオレンは何かに気付く。


「セルベイン様は、初めて見る魔法であるエルセリオン魔法をそのまま見過ごすようなお方ではない。素早くエルセリオン魔法から放出された光の欠片を集め、水晶封印石に収めて、すぐに我々のところへ調査を依頼されたのだ。まあ、確実に分かったことはほとんどなかったが、ただ一つだけ分かったことがあった。それがエルセリオン魔法の特徴だった。」


エクスバークはようやくアイオレンの方を向く。


ちょうどその時、第1塔は高く空へ浮かび上がり、横たわっていた姿勢を正して、アクノス魔法陣の第1塔の位置へと遠ざかっていくところだった。


「もしかして、黒い波動と関係があるのですか?」


アイオレンは後の話を察したかのように尋ねる。


「おお、さすがセルベイン様の弟子。賢いな。まさにその通りだ。エルセリオン魔法は黒い波動を吸収し、その力を光の魔力へと変える力を持っている。しかも十倍や百倍程度ではない。十分な量の黒い波動があれば、千倍、それ以上にさえ増幅できるのだ。」


「やはりそうでしたか。」


エクスバークの言葉に、アイオレンは理解したように頷く。


「何か思い当たることでもあるのか?」


アイオレンがあまりにも簡単に納得したので、今度はエクスバークが何があったのか気になる。


「以前、セルベイン様とともに魔族領の荒野へ出向き、ベルマウル将軍にエルセリオン魔法をもう一度使ってみるようお願いしたことがあります。」


アイオレンは昔の記憶を語る。


「そんなことがあったのか。結果は目に見えているな。」


エクスバークが笑う。


「はい。ベルマウル将軍のエルセリオン魔法は、その時は荒野では発動しませんでした。お話を聞いてみると、あの時は周囲に吸収できる黒い波動がまったくなかったからだったようです。」


アイオレンも笑う。


「そして今回、決戦兵器としてベルマウル将軍は自らの役目を果たした。」


「はい。見事に再びエルセリオン魔法をお使いになりました。」


アイオレンはエクスバークの結論に至る。


「それでも我々は、エルセリオン魔法についてまだ知らないことが多すぎる。エルフのエルネド魔法秩序における最高位攻撃魔法ルミア・パドレアと同じ属性だとは言われているが、実際にはまったく別系統の魔法でな。あっしまった! 口が滑った。これ以上は話せない。」


エクスバークは突然言葉を切る。


「はい、分かりました。これ以上はお話しにならないでください。」


アイオレンは右手の人差し指を立て、口元へ持っていく。


エクスバークがエルフ族の一級機密を、それも他種族の住む場所で口外することは許されない。


「さあ、仕事だ。仕事! 第2塔はどれだ?」


エクスバークは気を引き締め直し、再び仕事に集中する。


エクスバークの言葉に、アイオレンは笑みを浮かべながら第2塔を手で指した。


「二つ目の蓄光炉を設置する。皆、急げ!」


エクスバークの言葉に、部下の職人たちは二つ目の蓄光炉を第2塔へ運び始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。