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ロデンミル前夜

マルジャルドが空中へ上がると、ルザド・クリルをはじめとする竜騎士団がビティアに丁重に挨拶した。


「姫様。ご無事で何よりです。」


竜騎士団を率いる将軍ルザド・クリルがビティアの傍へ飛んできた。


「本当に嬉しいです、ルザド・クリル将軍。直ちにドラカン部隊を率いてロデンミル内人国市民の避難を開始してください。状況が切迫しているので、多少強引な方法も許可します。ルクナスの門の向こうには外人国の兵士たちが待機しています。そこから先はロデンミル外人国の兵士たちに任せれば大丈夫です。」


ビティアはベルマウルではなくルザド・クリルに指示した。


「はい、姫様。仰せのままに。それと強引な方法とおっしゃいますと?」


ルザド・クリルは答えながら顔を向け、自分の質問の語尾をベルマウルの方へ向けた。


ルザド・クリルはビティアの意図を理解できなかったが、さすがにもう一度尋ねることができず、ベルマウルへ視線を向ける。


幸いベルマウルはルザド・クリルの視線の意味を読み取った。


「ノクティル。」


そしてベルマウルは自身のパートナーである竜にささやいた。


「グアアッ!」


するとノクティルは、架空の対象を口でくわえる動作と、前足でそっと持ち上げる様子を見せた。


「あ!」


幸い、ドラカン部隊に所属する竜騎士とそのパートナーの竜たちは皆、その動作を理解した。


「では、ドラカン部隊は救出作戦を開始してください。」


ビティアは笑いをこらえながら、状況が落ち着くと再び指示した。


「かしこまりました、姫様。ドラカン部隊は私に続け!」


ルザド・クリルはビティアに挨拶した後、ドラカン部隊を率いてロデンミル内人国の街へ降下した。


ドラカン部隊はロデンミル内人国の周辺を巡りながら、人々を襲う黒い啓示を制圧し、市民たちの救助を始めた。


ノクティルから学んだ通り、人々を傷つけないようにくわえたり、あるいは前足の両方で軽く持ち上げたりして、素早く空を飛んで移動し始める。


空へ飛び立つドラカン部隊に向かって、暴走したガーディアンたちが矢を放った。


しかし、竜は一人ではない。


竜騎士たちはパートナーの竜を守るため、自分たちへ飛んでくる矢を槍で打ち払い、魔法の呪文で盾を作り出して周囲に物理防御障壁を形成した。


「ランサー・トロチャス。」


別の竜騎士が即座に自らの槍へ魔力を付与し、ガーディアンの魔法コアに向かって突き出した。


魔法の呪文によって竜騎士の持つ槍先から、魔力で作られた複製の槍刃が鞭のように弾け飛び、そのままガーディアンの魔法コアを貫通し、再び戻って槍刃と一つになった。


攻撃を受けたガーディアンは力を失い、墜落して地面へ落ちた。


ドラカン・ナバレス竜騎士団の残り半分であるナバレス竜騎士団がビティアの周囲へ集まった。


「ナバレス部隊はベルマウル将軍の命令に従って行動してください。私たちは今すぐ移動し、ベルカザードと対峙します。」


ナバレス部隊所属の竜騎士団が丁重に礼を示した。


「ベルマウル。いつノクティルにそんな妙な芸を教えたの?」


言葉にはしなかったが、ルザド・クリルもベルマウルも、ビティアの目の前で見え見えの行動をしていた。


「ははは。実は母上の知らない息子の姿はたくさんあります。」


ベルマウルはそう言いながら、したたかに笑った。


「あ、そう? それじゃ後でゆっくり話を聞かせてもらおうかな。」


ビティアの言葉に笑っていたベルマウルの表情が凍りついた。


ロデンミル外人国で黒い波動の暴走によって黒い啓示がロデンミル全域に姿を現した瞬間、黒い啓示を斬りながらロデンミル外人国の都市の中へ前進する光の波が押し寄せ始めた。


精霊エルフ軍団シルヴァル・エルトゥアの進軍であった。


「光が街に入ってきている。」


光は最初、ロデンミル外人国の端で小さく輝く点だったが、やがて闇を押し払いながら外人国の市街地全域へと急速に広がっていった。


セルベインはすでにエルネド魔法秩序に権限を付与しており、エルフ軍団はエルネドの承認によってルミア・パドレア、闇を断つ光の剣魔法の使用権を継承していた。


セルベインほどの魔力を込めることはできなかったため下位互換に近かったが、それでも黒い啓示に対抗するには十分だった。


エルフ軍団の軍団長エラリアンとエルフ軍団は都市へ広がりながら、黒い魔力の浄化を始める。


エルフ軍団と魔族国竜騎士団、そしてロデンミル外人国の兵士たちが共に魔王への反撃を開始したが、その時にはすでにベルカザードは完成した後だった。


ベルカザードは黒い雷を噴き出しながら空にその威容を隠そうともせず、その姿だけで既に黒い啓示たちは過分な力を得ていた。


黒い啓示とモルジェルたちは、抑圧されていた意志から解放された感覚を存分に味わっている。


そしてその喜びによって、さらに狂信的に変貌していく。


黒い啓示が一体倒れるたび、その姿を見た二体のモルジェルが新たな黒い啓示となり、倒れた黒い啓示は闇の波動となってベルカザードの一部となり戻ってくる。


魔王の槍は、魔王の意志そのものであった。


昇天の儀式を経験し、またこの目で見ているモルジェルたちは、すでに大いに鼓舞されており、もはや自分の身体がどうなろうとまったく気にしていない。


彼らの頭にあるのはただ一つ。


「魔王様がまもなく復活なさる。黒い啓示様が昇天なさる。」


そう語り、また叫び、繰り返し、また歓喜しながら、モルジェルたちは魔王の祭典へと染まっていく。


「内人国所属の五つの塔はすでにベルカザードに吸収されたが、外人国の三つの塔は違う。」


水晶板を見ながら、ビティアがベルマウルに状況を説明する。


「すでに魔王の槍ベルカザードは完成したのではないのですか?」


ベルマウルは理解できなかった。


「いや、まだ完全な状態ではない。師匠の情報によれば、ベルカザードは現在、魔法的には完成しているだけで、物理的にはまだ完全な姿を備えていないそうだ。つまり存在の完成には物理的な結合も必要だということだ。」


ビティアは水晶板を注意深く見つめている。


「物理的な結合とおっしゃいますと?」


ベルマウルが首をかしげる。


「すべての塔が実際に接続されなければならないという意味。」


「どういう意味なのかよく分かりません。ただ、私たちにはまだ対処する時間があるということですね。」


ビティアの言葉に、ベルマウルはまだ時間があることに安堵する。


「そう。ロデンミル外人国から三つの塔が移動してベルカザードと合体する前に阻止できればな。」


「そんな巨大な塔が空を飛べるのですか?」


ビティアの言葉にベルマウルの目が丸くなる。


「私たちが何に乗ってロデンミルへ来たのか、もう忘れたの?」


「あ! アイテルノス。セルベイン様専用の宿所! なるほど、それなら理解できなくもありませんね。」


ビティアの言葉に、ようやくベルマウルは納得したようにうなずく。


「第五塔のエレブラン節石。それを破壊すれば第六塔との物理的な接続を防ぐことができる。」


「エレブラン節石ですか?」


「すべての塔には次の塔と接続するためのエレブラン節石が備えられている。すでに結合した状態では節が活性化してその姿が変わり、塔の中へ隠れるが、今は結合のためにエレブラン節石が塔の外側に露出している。」


「だからエレブラン節石なのですね。かなり重要な部分のようですが、簡単に破壊できるのでしょうか?」


ベルマウルが心配する。


「防御は堅固だろう。だが私たちには二つの機会があるじゃないか。一つはマルジャルドの黄獄ブレス。もう一つはあの魔法、エルセリオン。」


ビティアは右手の人差し指でベルマウルを指した。


「エルセリオンの魔法で魔王の剣ネビラクを真っ二つにし、イレルダン峡谷の姿まで変えてしまったじゃない。危機に陥った部下たちも救い、モルジェルも見事な魔法で撃退した。今や魔族国でベルマウルを知らないというのはありえない。ベルマウルは魔族の英雄だ。締めくくりにエルフの少女の心まで完全に虜にしたのだから、そちらの方でももうベテランだな。人気者の息子よ。私は息子を立派に育てたようだ。ほほほ!」


「はあ。アイオレン様はまったく純粋な意図ではなかったようですが。」


ベルマウルはアイオレンの顔が頭に浮かぶと、複雑そうな表情になった。


「フッ。」


マルジャルドが慈愛に満ちた笑みでベルマウルを見る。


「やれやれ。マルジャルド様まで私をからかうのですか。」


マルジャルドが自分の考えをベルマウルへ伝えると、ベルマウルは慌てて両手を振りながら否定した。


「よし。それじゃ行こうか。」


ビティアが笑う。


ナバレス竜騎士団はビティアに従い、ベルカザードへ向かって進み始めた。

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