ロデンミル外人国の議政機関
ロデンミル外人国の議政機関で会議が始まろうとしている。
中央にある巨大な円形テーブルの上には、8つの水晶石が一定の間隔で配置されている。
これらの水晶石はロデンミルの8つの塔を意味しており、水晶石が置かれている順番に8人のロデンミルの賢者が座る。
今は水晶石のうち6番目、7番目、8番目の水晶石が光っているので、ロデンミル外人国の賢者3人だけがこの会議に参加していることを意味する。
1番から5番までの水晶石はすべてロデンミル内人国の賢者を意味するが、光っている水晶石は一つもない。
会議室の扉が開き、セルベインが入ってくる。
セルベインの後ろには、エルフの権威を象徴する白いフードを被ったアイオレンが影のように付き従う。
セルベインが入ってくると、中央の会議テーブルが動く。
水晶石たちが椅子とともに移動し、12時の方向に水晶石のない席が生まれる。
「ロデンミル外人国の三人の賢者様、お久しぶりです。」
セルベインが笑顔で挨拶する。
「ロデンミル外人国の三賢者がセルベイン様にお目にかかります。」
3人のロデンミル外人国の賢者たちはすぐに席から立ち上がり、同時に頭を下げた。
「ええ。お会いできて嬉しいです。お掛けください。」
そう言いながらセルベインは12時の方向に新しく作られた席へ行って座る。
アイオレンはセルベインの右後ろへ行って立つ。
「本題から始めましょう。ロデンミル外人国の魔力事情はどうですか?」
セルベインが尋ねる。
「塔の機能は正常ですが、依然として魔力供給量の不足が問題です。」
6塔の賢者が口を開く。
「都市全体を12区域に分け、魔力供給に優先順位を適用しています。」
8塔の賢者が言う。
「辛うじて都市機能を維持してはいますが、実質的には限界です。」
7塔の賢者の言葉だ。
「もはやこれ以上、応急処置では駄目です。アクノス魔法陣を稼働させなければなりません。それ以外に実質的な代案はありません。」
6塔の賢者が強く主張する。
セルベインは自分の前にある水晶板を持ち上げて操作する。
セルベインの操作に従って、会議室中央に魔法映像が浮かび上がった。
光で作られた立体映像は、8つの塔が一つの巨大な魔法陣に接続された構造であるアクノスを表している。
8つの塔すべてが一つの魔法陣で接続されるアクノス魔法陣は、ロデンミルが内人国と外人国に分かれる前の本来の姿である。
そしてこの魔法陣だけが、8つの塔を最大の魔力効率で稼働させることができた。
「アクノスを稼働するとした場合、期待できる魔力量はどの程度ですか?」
セルベインは水晶板に表示される魔力数値を確認しながら賢者たちに尋ねる。
「8塔が独立して稼働している今の魔力生産量の100倍です。」
6塔の賢者が自信を持って言う。
「100倍であれば優秀な数値ですね。」
セルベインが肯定の意味で頷く。
「実は100倍でなくても、今の10倍にさえなれば都市拡張による魔力枯渇問題は100年以上心配する必要がありません。」
7塔の賢者の言葉には切実さが込められている。
「だとすると、やはり内人国の反対が問題なのですね。」
テーブル中央のアクノス映像を見ながらセルベインが静かに口を開いた。
セルベインの言葉に3人の賢者全員が頷く。
「ご存じのように、内人国の賢者たちは前にも後ろにも融通の利かない石頭たちです。」
「広い世界でさらに多くの研究をすべきなのに、中に閉じこもって一体何をしているのか分かりません。」
「賢者という名前が恥ずかしい限りです。」
3人のロデンミル外人国の賢者たちはそれぞれ一言ずつ不満を漏らす。
「そのお気持ちは私もよく分かっています。」
セルベインはそう言うと苦笑を浮かべる。
「それでも現在の状況を見ると、内人国を説得する必要性は十分にあるようです。たとえ内人国が今の状態を良しとしていても、それによって外人国の事情が悪化するのもまた望ましい方向ではないでしょう。」
セルベインは政治的な問題については発言を控えてきた。
セルベインの意見が国家間の問題にも大きな影響力を持っていたからだ。
たとえこれまでセルベインの意見によって誤った結果になったことは一度もなかったとしても、だからといって今後も良い結果ばかりになるという保証はなかった。
そうした理由から、セルベインはセルベイン自身で慎重にしようとしている。
「アクノス魔法陣に戻ることは、ロデンミル内人国と外人国の双方が発展する良い方法です。ただ、内人国を説得する良い方法はおありでしょうか?」
セルベインが尋ねる。
「実は……内人国は何も望んでいないので、交渉の余地すらありません。まるで『話しかけるな』と言わんばかりに、何一つ望んでいないのです。」
8塔の賢者が交渉が不可能な根本的理由を語る。
「むしろ内人国は、自分たちが提供している4塔の魔力供給さえも、何か口実でも見つけて中断しようという気持ちでいっぱいです。」
7塔の賢者の言葉だ。
「切羽詰まっているのは外人国の方なので、内人国の賢者たちに事情をいくら説明しても、内人国の賢者たちはまったく関心を示しません。」
6塔の賢者がもどかしさをあらわにする。
「セルベイン様に何か方法を見つけていただきたいのです。」
三人の賢者が同時にセルベインへ頼み込む。
セルベインは手に持っていた水晶板を静かに置く。
セルベインが水晶板から手を離すと、会議室中央の魔法映像が消え、会議室に静寂が漂う。
「幸い、今回の高原会議の前に一つの可能性が生まれました。」
しばしの沈黙の後、セルベインが先に口を開く。
「おお。そうなのですか?」
三人の賢者が嬉しそうな表情でセルベインを振り返る。
「魔族国のナルゼオス王が今回のロデンミル高原会議に関心を示され、私に二人の人物を推薦してくださいました。」
セルベインはビティアとベルマウルを思い浮かべながら微笑む。
「そうですか。ナルゼオス王がこのように気を配ってくださるとは、感謝するばかりです。」
三人の賢者たちはセルベインの言葉に喜ぶ。
「ロデンミル高原会議はいつなのですか?」
セルベインが尋ねる。
ロデンミル高原会議は、内人国の賢者たちと外人国の賢者たちの双方が出席するロデンミル最高会議である。
セルベインも出席はするが、ロデンミル最高会議では自ら政治的発言を慎んでいる。
「一週間後です。」
8塔の賢者の言葉だ。
「それなら、今はこれ以上会議を続けても意味がなさそうですね。魔族の方々の調査結果を検討し、三日後に再び会議を行うことにしましょう。」
セルベインが席から立ち上がる。
「セルベイン様。今回は良い知らせがあることを願っております。お願いいたします。」
三人の賢者も同時に席から立ち上がり、丁重に頭を下げながら見送る。
セルベインは言葉の代わりに微笑みで答え、会議場を後にする。
ロデンミル外人国議政機関を出ると、セルベインとアイオレンは余裕を取り戻し、ゆっくりと歩き始める。
「師匠。幸い三日間は稼げましたね。」
アイオレンが慎重に口を開く。
「ほほほ。本当にそうですね。私たちはこれから内人国を説得する方法を探さなければなりません。ビティアとベルマウル将軍に何か良い方法があるといいのですが。」
アイオレンの言葉にセルベインは笑いながら頷く。
「魔族の目から見たルクナスはどのような姿なのでしょうか。」
アイオレンが興味を示す。
「内人国は、自分たちが見ているものだけが真実だと信じています。その信念に傷を付けられる人物が必要です。ビティアとベルマウル将軍は、きっとルクナスについても私たちとは異なる考えを持っているでしょう。」
セルベインはビティアとベルマウルに希望を託してみる。
「師匠。二人は今ごろルクナスに到着しているでしょうか。」
アイオレンが尋ねる。
「ええ。ビティアが少し買い物をしたでしょうが、それでも今ごろなら到着しているのではないかと思いますね。」
セルベインはビティアとベルマウルの現在位置を推し量る。
「まさか。ルクナスの門を調査しに行きながら買い物をするだなんて。そんなことがあってはならないと私は思います。」
アイオレンは信じられない様子だ。
「ほほほ。今説明するよりも、後でビティアに聞いてみる方が早そうですね。」
セルベインはルクナスの門の前にいるビティアとベルマウルを思い浮かべてみる。




