カルバルオンの魔族の女性
風がローデンミル外人国を広く循環し、都市全体を快適に保っている。
ビティアの隣にいるベルマウルは、すでに両腕いっぱいに十個を超える包みを持っている。
「あと一つだけ。」
ビティアは笑いながらベルマウルの腕に包みを追加する。
「母上、今の私たちにとって重要なことは何でしょうか?」
ベルマウルは目に力を込めながら尋ねる。
ベルマウルの忍耐心はすでに限界突破状態だ。
「だから今ルークナスへ向かっているじゃないの。」
ビティアは答えながらも、行動は相変わらず買い物の最中だ。
「ただ融通を利かせて少し回り道をしているだけよ。それに、ローデンミル外人国に来て買い物をしないなんておかしいでしょう。」
するとベルマウルは深く息を吸い込む。
「買い物はまず任務を終えてからなさったほうがいいと思いますが。」
そして吐き出す息をできる限り抑え、自分の怒りを鎮めながら、機械的な声でビティアに尋ねる。
「ほほほ。ベルマウル。一つを知って二つを知らないのね。買い物を先延ばしにすると、今日は未練が残り、明日は後悔が残るのよ。」
ビティアは笑いながらそう言い、ベルマウルの方へ体を向ける。
「だからもう一度元気を出して出発よ!」
ビティアは再びベルマウルを引っ張り始める。
もちろん魔族国の首都カルバルオンにもローデンミル外人国の出張店はある。
しかし、ローデンミル外人国の本店で売られている物は、その品質において他の店とはくらべものにはならない。
エノル最高水準の品質を持つ商品、希少な魔法結晶を繊細に加工して作った織物、圧縮した魔法で鮮度を保つ果物、そしてローデンミル外人国でのみ生産される限定版の独占作品や高級品は、他の地域にはなく、ローデンミルのみ購入できるものだった。
ローデンミル外人国の商店街は、いくら買っても、まるで手が軽くなる魔法にかかったように、見るもの、買うもの、見物するものがあふれている。
「少し前までは抱っこして歩いていたのに。」
ビティアはそう言うとともに、懐かしい思い出を思い浮かべる。
ベルマウルが赤ん坊だった頃、ベルマウルを抱いてカルバルオンの商店街を見て回った記憶が昨日のことのようだ。
「もうこんなに大きくなるなんて。」
ビティアの言葉どおり、ベルマウルの身長はすでにビティアの身長をはるかに超えている。
「私もあの頃の記憶はおぼろげながら残っています。」
ベルマウルにもかすかな記憶が残っている。
「ですが、母上が大切な息子にこんなにたくさんの荷物を持たせるとは思いませんでした。」
ベルマウルの言葉にビティアは吹き出す。
「ほほほ! でもあなたがいなければ、このたくさんの荷物をどうやって持てというの?」
「正確に言えば、すでに私が持てる数量を超えています。」
ビティアの言葉に、ベルマウルは万歳をするように両腕を左右へ広げてみせる。
その時、正面から魔族の女性が近づいてくる。
ローデンミル外人国が他種族の出入りを認めているだけに、街で魔族に会うことも珍しくはない。
魔族の女性が親しげにビティアとベルマウルへ近づいてくるのは、ビティアとベルマウルが誰なのか知っているからだった。
「ビティア王女。」
魔族の女性はそう言いながら礼を尽くそうとする。
するとビティアはすばやく魔族の女性へ駆け寄り、うれしそうに抱きしめた。
「はい。私もここで魔族の方に会えるなんてうれしいですね。」
ビティアはわざと周囲に聞こえるよう大きな声で言った。
そして相手の耳元でささやく。
「今は身分を明かせないんです。ですから一般人のように接してください。」
「あ……はい、王女。いえ、分かりました。」
魔族の女性はうなずきながら小さな声で答える。
「はい!お会いできてうれしいです。ところで見物はもう終わりましたか?私は一次ショッピングの後、荷物を宿に置きに行くところです。」
魔族の女性は商店街を回って得た戦利品を見せる。
魔族の女性の後ろには、浮遊式の魔法荷馬車五台が彼女について回っている。
「そうでしたか。私たちはまだもう少し見るものが残っています。」
ビティアと魔族の女性は自然に買い物の話を交わす。
「それならちょうどよかったですね。あちらにも良い物がたくさんあります。今お持ちの荷物は、私が行く途中で宿へ届けて差し上げますが、いかがですか?」
魔族の女性はベルマウルが持っている包みを指し示した。
「はい。ありがとうございます。それでは私たちの荷物はアイテルノスへ送ってください。」
ビティアは魔族の女性の提案を素直に受け入れる。
「はい。では最後の荷車に荷物を積みます。」
ビティアの言葉に魔族の女性はうれしそうに手招きすると、最後の荷馬車が列から離れ、魔族の女性の横へ来て止まる。
「お手伝いいただきありがとうございます。」
そう言いながらベルマウルは自分が持っていた荷物を荷馬車に積む。
「将軍もお疲れさまです。」
魔族の女性はベルマウルにだけ聞こえるほどの小さな声でベルマウルをねぎらう。
「ははは。」
だがベルマウルはただ笑うだけだった。
魔族の女性はビティアだけでなく、ベルマウルの正体もすでに知っていた。
「私はこれで失礼いたします。お預かりした荷物は必ずアイテルノスに立ち寄ってお届けいたします。」
「はい。ありがとうございます。ではお願いします。」
魔族の女性の言葉にビティアはうなずきながら感謝する。
「ほほほ。ところで荷物を空けられましたから、これでもっと買えますね。」
「はい。本当にそうですね。」
ビティアは笑いながらうなずく。
「よかった。これで手ぶらになったじゃないか。」
魔族の女性と別れた後、再び道を歩きながらビティアが尋ねる。
「ですからルークナスへ行きましょう。」
ベルマウルはビティアへ心からの視線を向ける。
「さっき言ったのを聞いてなかったの? あちらの通りにも良い品物がたくさんあるって言っていたでしょう。」
ビティアの目がきらりと輝く。
そしてビティアはベルマウルの進行方向を強引に変える。
ベルマウルはうなだれる。
なぜか敵と戦う時よりも体力がさらに簡単に、さらに速く、さらに多く消耗していた。
このままでは今日中にルークナスへたどり着けるかどうかさえ、だんだん心配になり始める。
だがそうだとしても、ビティアが浪費をしているわけでは決してなかった。
そもそも魔族国は土地こそ貧しいが、金に困っている国ではない。
むしろその反対で、積み上げる場所がないほど金があふれていた。
魔族領で魔法変異によって生まれたものは魔族だけではなかった。
実際に最も多く生まれたのは竜である。
そして今では魔族領はエノルで最も多くの竜が住む生息地となっていた。
しかも毎年、竜たちは鱗が生え変わるため、竜の鱗である竜鱗が等級別に大量に出てくる状況だった。
地域によっては竜そのものがないところもある。
そのような地域では竜鱗は非常に高価な素材であり、価値が高かった。
このような事情のため、もし魔族を守護する灰色の古代守護竜マルジャルドの竜鱗を何枚か差し出せば、一生農村で育った美男子でさえ一夜にして冷たい都会の男になれるほどだった。
竜鱗があふれているため、魔族国では子供たちがさまざまな等級の竜鱗でメンコ遊びをしているのを見ると、魔族の女性に対するローデンミル外人国の商人たちの評価はそれほど大げさではないのである。
ローデンミル外人国の商人たちの言葉を借りれば、カルバルオンの魔族の女性たちは力が足りなくて買えないことはあっても、金が足りなくて買えないことはない。




