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『フルプレートの中はゲロゲロ、外は魔物の巣。~魔物酔い体質の女騎士、絶対に揺れてはいけない限界ダンジョン脱出劇~』  作者: イニシ原


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第三話 ドワーフの子供のようです

 大小の岩で不規則に作られた通路。

 天井は植物たちのお陰で崩れずに済んでいた。


 壁に寄りかかる鎧。

 その鎧に赤い触手が全身を纏わりついていた。

 微動だにしない。


 あ、いいえ。

 やっと動きました!


「……ふみゅ」


 ぎゅるるるる~


 彼女が立ち上がった途端に、お腹が騒ぎ始めた。

 キョロキョロしていますが、明かりはありません。


 真っ暗です。


 それでも彼女は自信満々に、胸を張って歩き出しました。

 実は、この鎧のお陰で、闇の中でも見えています。

 道は迷っていますけどね。


 この地下道はどこまで続いているのでしょう?

 誰も知らないのです!


 彼女は先ほどから、歩みを止めて天井を見つめています。

 滴ってくる樹液で更に真っ赤な鎧です。


 ごきゅ、ごきゅ。


 ど、どうやら喉が渇いたようですね。

 これも鎧のお陰なはずです!

 ……たぶん。

 彼女のお腹が強いだけかもしれませんが……。


 今度は、腰の鉄製ポシェットから手帳を取り出しました。

 出口なんて書いてないはずですけど、手帳を真剣に読んでますね。


 わかりました!

 どうやら手帳のページを一枚間違えていたようですね。

 この赤い花が薬の材料と似ていたのも、そのせいでした。


「はぁ、何か違う匂いだと思ったんだよねー」

「ジュースを作るために、一緒の手帳に書いたのが失敗か……」

「でもこれはこれで、たくさん飲めるかも。あはっ」


 何としても、地の底から日の当たる地上へ。

 彼女はガシャガシャと歩いています。もちろん、勘です。


 暫くすると、通路の雰囲気が変わりました。

 壁にも地面にも苔がびっしり。

 いかにも隙間から、粘液まみれの棘が飛んできそうな通路です。


「やった! ダンジョンならモンスターいるでしょ」


 ぎゅるるるる~


 おや?


 罠をじーっと調べています。

 いつ頃作動した罠なのか見ているようですね。

 そうすれば、どちらにモンスターがいるのか分かるみたいです。

 意外と考えています。


 彼女はモンスターがいそうな方へ向かいました。

 普通は反対なんですけどね。


 どうやら彼女の勘は当たったぽいです。

 岩の通路に無理やり付けた木製の扉。

 中は静かですが、何かいるのか?

 彼女はゆっくり扉を開けて入って行きました。


 ガシャガシャと鳴っていた足音は、もう一切していません。

 ゴブリンの部屋より、ずっと清潔感がありますね。


 鍋。

 ハンマー。

 金床。

 多くの鉄製の雑貨や武器が並んでいます。


「うーん、ドワーフ?」

「臭いから、もしかしてあってるかも」

「でも、いなかったか……」


 彼女は少し落ち着いたのか、今度はキッチンを探しています。

 部屋は分かれていますが、扉はありません。

 どうやら匂いを頼りに探しているようですね。


 早足になった所を見ると、どうやら正解だったようですね。

 いくつかの寸胴は倒れ、中のスープが床に零れています。

 でも、そんなことは気にならないようですね。

 すでにお玉を手に、しゃがみ込んでスープを飲んでいます。


 液体なら兜のまま飲めるのでしょうが……。

 見た目はなかなか不思議ですね。

 他にも不思議そうに見ているものがいますよ。


 樽の陰から、二つの目がこちらを覗いてます。

 壁にもたれ掛かった小さな体は、ぴくりとも動きません。

 どうやらドワーフの子供のようです。

 でも、だからと言って何もしません。


 よく見れば、血の跡です。

 大きな怪我をしているようですね。


 彼女の方は、それに気づいてはいるようですが……。

 あれ?

 もしかして、服の染みはスープだと思っているのかもしれません!


「誰かわかりませんが……助けて下さい」


 今にも消えてしまいそうな声で、彼女に助けを求めています。


「……無理」

「そんな怪我治せないよ」


「そ、そうですか……」


 それ以上、声が出せないのか俯いたままです。


「エリクサは?」

「なければ、妖精蜜とか月雫草でもいいけど」

「ンツとレケルを煎じても結構いけるかも」


 ドワーフの子供は頭を振ったようですが、誰にもわかりません。

 当の本人は、まだ天井を見上げたままスープを飲んでいますから。



 ーーーーーーーーー



 この物語はフィクションです。

 実況、憶測、個人の感想が含まれています。

 確認したかったのですが、迷子でした。

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