第4話:もし彼が試合に勝ったら、彼女になる
翌日、学校で林一寿と顔を合わせたとき、私たちはどちらともなく気まずかった。でも先に口を開いたのは、やっぱり彼の方だった。
「今朝、學校代表チームの陳先生が言ってたんだ。昨日シュート練習してるのを見て、チームに入らないかって。最初の公式戦が來週うちの學校であるんだ」
彼は肝心なことを全然言わない。だから私は畳みかけた。
「シュートの練習以外に、何か見られてない?」
「多分見られてたみたい。でも先生は言ってた。自分は生活指導の先生じゃないから、スポーツ以外のことに口出しするつもりはないって。」
気まずくなって、私は彼の胸を思い切りポンと叩いた。
「他の女の子に、スポーツ以外のことをしちゃダメだからね! いい?」
林一寿はよけもせずに、逆にニヤッとして言った。
「じゃあ、君にだけならいいの?」
この林一寿、どんどんタチが悪くなってる。でも……嫌いじゃない。
「もし来週の試合に勝ったら、僕の彼女になってくれない?」
なんでいつも条件をつけるんだろう。もし負けたらどうするの?
でも女の子って、素直じゃない生き物なんだ。
「……わかった。約束する。もし勝ったら、あなたの彼女になってあげる。」
「覚えてる? 小学校五年生のとき、君が僕に算数の問題を聞いてきたことがあったろ。その時僕は『解いてあげたら、彼女になってくれる?』って聞いて、君はうなずいた。でも僕が解き方を教えた後、君はそれっきりだった。ずっと、僕のこと好きじゃないんだと思ってた。」
このバカ!
あの時私はちゃんと承諾したのに、彼はそれを忘れてただけ。女の子から「ねえ、彼女になるって約束したよね」なんて言えるわけないでしょ! それでそのまま流れてしまっただけ。
私はずっと彼に片思いしてたのに。
つまり……この数年、私たちは両片思いだったってこと?
「……当然でしょ。そんな簡単に彼女なんかになってやらない。」
「じゃあ、今度は約束を破っちゃダメだ。なかったことにもしない。僕が勝ったら、君は彼女になる。」
「でも……勝てる自信、あるの?」
「コーチが戦術を考えてくれてる。言われた場所に立って、ボールをもらって、シュートを打つ。それだけすればいい。」
どうかその作戦が本當に効きますように。もう待ちくたびれなんだから。





