↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/20

プチ歓迎会2

愛嬌でなんとか乗り切ろうとする転校生。さすがにこれ以上追及する気にはならない。


「俺らも無理に聞こうとはしてねえよ、な?」


飛鳥(あすか)は笑いながら樹(いつき)の背中をぱん!と叩く。

樹はその反動に体を揺らしながら、気まずそうにこくこくと頷いた。


「じゃあさ、できればこれは答えて欲しいんだけど」


飛鳥が続ける。座っていた腰を上げ、いまだ体が強張っている宵(よい)に近付いた。

飛鳥の指が宵の髪に触れ、彼の左耳を露出させる。


「この中のやつさ、どこで開けた?」


宵の耳の中。真ん中に、ハート型の金属が鈍く光っている。


「あ、これ、ダイス…?」

「ダイスっていうのかここ!」

「うん、これは原宿で開けたよ」

「やっぱ原宿か。人多そうでだるいんだよな〜」 


答えを聞いて、飛鳥の口は嫌そうに曲がる。


「そうだね……あともしかしたら耳の形によっては開けられないかも」

「そうなのか!?」

「ここの、出っ張りが短いと駄目だった気が」

「まじか。せっかく行っても開けられなかったら嫌だな」

「でも、飛鳥の耳は……」


宵はおそるおそる飛鳥の髪を上げ、飛鳥の耳を見る。


「ダイスが出来るかはわからない……けど飛鳥の耳の形だったらインダスが似合うかもだから、駄目だったらそっちはどう?」

「インダス?」

「こっちとこっち、2つ一気に開けて、長い棒で繋げるの。これこれ」


宵はスマホで検索し、出た画像を飛鳥に見せる。


「えー!こええ!」


画面を見た飛鳥は驚いて震える。蓮(れん)と樹も見る。2人とも飛鳥と同じような顔をした。


「怖いかもだけど可愛いよ、宵は耳の巻きが浅いから出来ないんだよねえ」


宵はうっとりするようにスマホの画面を見つめた。


「うーん、考えとくわ」


自分の耳を触りながら、飛鳥はまんざらでもない顔に変わった。


「宵、服とかファッションきっと好きだろ?ピアスとかアクセとか結構俺も好みでさ。

 ずっと話してみたかったんだよ」


思わぬ告白を聞いて、宵の顔がぱあっと輝いた。

それから2人はお互い身につけている物を褒め合い、知識を語り合う。

宵が化粧道具を持っていることを聞き、飛鳥が身を乗り出した。

そうこうしているうちにその話題になり、見せてもらうことになり。2人は宵の部屋へと旅立った。


残される蓮と樹。


「……」

「……」


室内が静まる。


「えっと、樹はピアス空いてる?」

「いや……」

「奇遇だね、僕もだよ……」


会話は続かなかった。蓮は何か話題に出そうとし、思いつかない。

飛鳥に反して着飾っていない樹。彼が何が好きなのか検討つかない。

あまりの沈黙の長さに、さすがにまずいと思い出した。


「あのさ」


先に口を開いたのは樹だった。


「宵がクラスで1人だって、わかってたんだ」


ぽつりと続ける。


「声をかけるかずっと悩んではいたんだけど、1人でいたいタイプなのかな、とか色々考えてたら結局1学期が過ぎちまった。もっと早く声を掛けていれば、お前もわざわざこんな遠くの学校に転入せずに済んだんだよな……すまなかった」


樹は目を伏せ、俯いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。