↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/20

初日2

午前中の授業が終わり、生徒が一斉に席を立ち、皆楽しげに廊下へ出ていく。

ざわざわとした教室の中、蓮(れん)の近くの席のクラスメイトが数人、気を遣って声をかけてきた。


「瀬戸口(せとぐち)くん、一緒に食堂行かないか?」

「家族から着信入ってて……もしかしたら長くなりそうだから今日は大丈夫。

 ありがとう」


蓮は申し訳なさそうに苦笑し、スマホを振ってみせる。お互い手を振り合い、クラスメイトたちは賑やかに廊下へと出ていった。生徒たちが去り、静まりかえった教室。そこには蓮と宵(よい)だけが残っていた。

自分の席から蓮は宵の背中を見ている。宵は体を強張らせたまま動かない。


「宵」


蓮がその静寂を破り、その背中に声をかける。

宵はびくっと反応し、ゆっくりと、恐る恐る振り返った。


「蓮……?」


宵は前髪も長い。顔にかかった前髪の間、その隙間から大きく目を見開いている。

信じられないと言うように左右に首を振り、たちまちその瞳からは涙が溢れた。


「蓮、やっぱり蓮だよね!?」


宵は勢いよく立ち上がった。

身長が190センチ近くあるため、誰もが威圧感を覚えるほどの長身。でもすらりと細身の宵は、内股で、まるで大好きな人に縋る乙女のように駆け出す。

そして、狂おしいほどの力で蓮を強く抱きしめた。


「どうして……どうしてここに……!?」

「宵を支えたくて、助けたくて来たんだ」


蓮は少しも動じず、包み込むように優しく答える。

そして自分より遥かに大きな宵の背中に腕を回し、あやすようにぽんぽんと撫でてやった。宵の大きな体が、子供のように小さく震える。しゃくり上げ激しく嗚咽しながら、宵は蓮の肩の上に顔を埋め、とめどなく涙を流し続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。