↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/20

予熱1

「おかえり、大丈夫だった?」


亮悟(りょうご)は戻ってきた蓮(れん)と樹(いつき)に問いかけた。


「大丈夫そうだけど、今日はもう寝かせておきます」

「それがいいかもね。じゃあ、僕ももう戻ろうかな」


んー、と伸びをして、亮悟は立ち上がる。


「飛鳥(あすか)寝ちゃったしね」


亮悟の目線を示す先には、黒いカバーのシングルベッド。この部屋の主、飛鳥がベッドですやすやと眠っていた。と、蓮ははっとした顔をする。


「ここの鍵どうしよう。開けっぱなしで出るわけにはいかないし、泊まるのはちょっと」

「僕が持って帰るよ。明日返しておくね」


蓮が戸惑っていると、亮悟がさらりと飛鳥の部屋の鍵を回収した。2人を待っている間に亮悟が片付け、綺麗になった部屋の照明を落とす。全員が外に出た後、亮悟はがちゃりと鍵を閉めた。


「じゃあ今日はありがとう。また遊ぼうね」


最後までにこやかに亮悟が去り、蓮と樹が残される。

樹が蓮を見下ろして声をかけた。


「戻るか?」

「うん、そうだね」


2人は並んで廊下を歩く。蓮と樹の部屋は、少ししか離れていなかったことがわかった。意外と近いんだね、と蓮が笑う。


「じゃあな、お疲れ」

「おつかれー。……あれ」


樹が自室に入ろうとした時、蓮が焦っている声がしてその動きを止めた。がさごそと、ポケットの中を漁っている。


「どうした?」

「鍵がない……飛鳥の部屋に忘れたかも」


樹は亮悟に電話を掛けたが、出ない。眼の前の蓮は困り果てていた。

寮のエントランスのソファを思い出した瞬間の蓮に、声を掛ける。


「俺の部屋泊まってくか?」

「えっ……いいの?」


迷いながらも、蓮は訪ねた。


「このまま廊下で立ってるわけにはいかねえだろ、ほら」


樹はドアを大きく開け、蓮を招いた。


「ごめんね、ありがとう」


蓮は促され、おずおずと入っていった。


樹の部屋には余計なものがほぼ置かれていなかった。

床はフローリングだが、ゴザや座布団が敷いてあり、和風だ。

よく見ると、ベッドの下に筋トレの道具が並んでいた。


「樹、筋トレしてるの?」

「あぁ、軽くだけど」

「いいねーちょっと借りていい?」


承諾を得た蓮はダンベルを持ち上げる。

自分が持っているものより遥かに重い。樹もやはり男性なのだな、と蓮は感心した。


「せっかくだし、いるか?」


樹は冷蔵庫を指差す。

飛鳥のところまでとは言わないが、色々な種類の飲み物が入っていた。


「ありがとう。これ貰うね」


座布団に座って缶を開けながら、蓮は部屋を見回した。

樹の部屋の床にはゴザが敷かれていた。その上に木製のローテーブル。その周りには座布団が3つ並んでいる。備え付けのベッドの近くに置かれている照明も、和紙で出来ている和風のものだった。

蓮はゴザの上にごろんと転がり、うーんと伸びをする。


「今週は疲れたなあ」

「転校してまだ2日だからな。お疲れ」


樹が蓮を労った後、


「俺も今日はすげえ疲れたよ……」


呟くように漏らした。


「あっはは!飛鳥やばかったもんねえ」

「本当だよ、今やっと落ち着けるわ」


まだ仲良くなって間もない自分がいるのに。樹の落ち着ける、という言葉を聞いた途端、蓮は嬉しくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。