夜のディベート2
▼ちょっとだけお下品な内容が含まれます▼
「お!宵と蓮じゃーん!」
飛鳥は上機嫌で挨拶をした。ふらふらと左右に揺れている。
完全に出来上がっているようだ。
「何してたの……?」
宵は訝しげな顔で聞いた。
飛鳥は何故か誇らしげに堂々としている。
「ディベートしてたんだよ」
「ディベート?」
「そう、それで俺が勝った」
これ以上ないくらいのドヤ顔で、飛鳥は答える。
一方、目の前の樹は疲れ切っていた。
「討論じゃなくて勢いで押し通しただけだろうが……」
「いや!どう見ても正論だった!」
「もうなんでもいい……」
樹はぐったりとしている。
入室直前の時、話が聞こえていなかった蓮が顔を出した。
「何について話してたの?」
「俺が胸で、樹が腰!」
「飛鳥がトークテーマこういうのがいいって譲らなくてね……」
亮悟は小さく笑っていた。さすがに呆れているようだ。
居心地が悪い蓮。ははは……と乾いた笑いで流す。
「下ネタ話したいだけじゃねえか。俺もうやだよ。
亮悟先輩の前でこんな話題……」
本当に恥ずかしいらしく、樹は亮悟から顔を背けた。
「でも見てて楽しかったよ?本当に練習にもなるしね」
「練習になるとしても、俺は辛いです……」
「まあまあ、よく頑張ったね」
ますますうつむいて小さくなる樹。
亮悟はその背中を、笑いながらぽんぽんと叩き慰めていた。
「せっかくだからたまにはこんな話も、ね?」
樹は立ち直らない。
ただの置物と化した彼を無視した飛鳥は、2人に近付いた。
「そうそう!せっかくだから2人もやろうぜ」
「まだ仲良くなってそんなに経ってないのにその話題なの……?」
「だからいいんじゃん!ほらほら」
飛鳥は返事を聞く前に宵の腕を掴んで自分の前に座らせた。
「えっえっ?」
宵は完全に混乱している。飛鳥はにやりと笑って切り出した。
「俺は胸派なんだよ。宵は?」
「えっ、えーっとね、うなじ……」
意外とスッと普通に答える宵に、一同は内心驚く。
「わかるー!うなじいいよね」
亮悟が応援するように声をあげる。
宵は自分に同意してくれたのを聞いてそれにびっくりした。
「じゃあ2人とも頑張れ!スタート!」
亮悟は楽しそうに審判を始めた。
「やっぱ!胸がいいよな!」
「う、うーん……」
宵は横をちらりと見た。
亮悟の前でだけでなく、蓮の目の前でこのような話をするのもとてもやりにくい。
だが自分がやらないと蓮に火の粉が散ると思うと、なんとか食い止めるしかない。
宵は決心した。
「でも、うなじも良いよ。
ポニーテールとか、お祭りで浴衣着てまとめ髪も素敵だよね」
言葉を選びながら、とにかく思いついたことを言っていく宵。
果たしてこれは討論出来ているのかなんて、気にしている余裕はなかった。
飛鳥は不満そうに返す。
「でも、いざそういうとき、うなじは駄目だろ?見えないし」
「いざ……?」
「だってさ、胸は見ても良いし触るのもいい。あれをこう挟」
「うわああああああああ!飛鳥!降参!!」
瞬殺された宵は、下品であろうジェスチャーをしかけた飛鳥の手を封じた。
どうしても下世話な話を蓮に聞かせたくなかった。
その爆発したような宵の反応を見て、亮悟は声をあげて笑っている。




