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24.幽世の夏祭り

微ホラー注意

特殊な道を使って訪れた幽世は、この世のものとは思えないほど幻想的だった。


 あの後、ミサキに呼ばれた黎は沢山の浴衣の中から頑張って選んでいた。時折、ミサキや式神からアドバイスを貰いながら何とかコーディネート出来たのだった。

 黎が選んだ浴衣は、花菱が描かれたグレーの浴衣。帯は黒いレースの兵児帯で、鼻緒が黒で白の模様が入っている下駄を合わせた。

 初め選んだ時は、角帯だったのだが可愛らしい顔立ちの黎には少し厳つ過ぎた。その為、兵児帯に変更。そのままの兵児帯だとヒラヒラしすぎて少し恥ずかしいということで、レース生地にすると、とてもよく似合っていた。これにはミサキもニッコリ。

 姑獲鳥は黎とリンクコーデにした。花菱が描かれたライトグレーの浴衣に黒いレースの兵児帯。その上から白いレースの兵児帯を巻いてパールの帯締めを付ける。下駄は鼻緒が白で黒の模様が入ったものを合わせる。そうして完成したリンクコーデは、とても可愛らしかった。

 親子(仮)なのだが、姉弟や恋人と言っても違和感がないほど、お揃いの装いはとてもよく似合っていた。


 そして大事な狐面。黎は目元が赤で縁取られた狐面を手にした。魔除けの意味合いが強いものなので、黎にはピッタリである。

 姑獲鳥は、黒い狐面を手に取った。黒い狐面は平和を願うものであるため、黎を想う姑獲鳥にピッタリだった。


 準備が出来た一行は、ウカの案内で幽世へ足を踏み入れた。

 

「黎くん、お面は絶対外しちゃダメですよ?外すとしたら、口を出すくらいです。目は隠してくださいね」


「うん、わかった」


「もし何かあったら、この鈴を鳴らしてください。必ず助けます」


 そう言って黎に渡したのは赤い組紐で結ばれた木で出来た鈴。少し横に振って鳴らしてみたが、音がしない。


「ミサキちゃん、これ音鳴らないけど大丈夫?」


「ちゃんと鳴ってますよ」


 くすくす笑いながら黎の左手首に巻いていく。

 痛くないか、動かしにくくないかを確認しながら巻いていくミサキを、黎は不思議そうに見ていた。



「さて、ぐるーっと回りましょうか!黎くん、お手手繋ぎましょ」


 ミサキが黎の左手を右手でそっと握る。優しく手を繋がれた黎は、そのまま引かれるように歩き出した。

 後ろからウカと姑獲鳥がゆっくりとした歩みで着いてくるのを確認して、慣れない下駄をカランコロンと鳴らしながら歩き始めた。


 大規模なお祭りと聞いていたが、想像の倍は賑やかだった。

 色とりどりの提灯が頭上に吊られている。時折、不自然に揺れていること以外は、普通の提灯だ。


「黎くん、あの提灯の火はここに集まっている方々の魂が入ってるんですよ」


「え?」


「来場者が増える度に提灯が増え、帰る度に消えていくんです」


「危なくないの?魂って」


「うーん、むしろ安全ですよ?あの提灯の中にあれば誰も手出しは出来ないし、魂だけ迷子になるなんてことも無いので」


 実際起こった事件や事故がある。昔のこのお祭りでは、提灯お化け等が明かりの役目を果たしていた。だが、肉体に魂が入ったままだと、酔ってタガが外れた者が他の方を襲い、魂を抜き取ってしまったという事件や、黄泉が近いこともあり、魂だけがふよふよと迷子になったという話もある。

 その為、この祭りに来る者たちの安全を確保するために、提灯お化けたちに手伝ってもらい、提灯に魂を預け、保護することにしたのだ。


「悪いようにはされないし、させないので安心してくださいね」


 そう言われて安心できるものではなかったが、ミサキやウカがいるなら大丈夫だろうと自分を納得させ、もう一度上を見上げた。

 

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