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20.百基五物語4

微ホラー注意

「これで半分は話したね」


「もう終わりでよくなぁい?」


「良くない!森のは怖くない怖い話だし、澤田はガチの人怖じゃん!怖い話!幽霊系話せよー!」


 布団の上でジタバタとする本田を、全員が冷めた目で見る。流石に15歳の駄々こねは如何なものか…

 しかも、「本気を見たいか?」とか真面目な顔で言うもんだから、全員が首を横に振った。


「はぁ…次清水だよな?早く話して寝よう」


「そうだね。俺の次は姑山くんだから、すぐ話せるように考えておいてね」


 任せておけという風に親指を立ててgooサイン送っておく。


 百基五物語ひゃくもといごものがたり


 4人目、清水 健(しみず けん)


 本田、話すからジタバタやめなよ。埃立つから……

 よし、偉い。いや、お母さんじゃないからね!?


 まぁ、いいや…それで、怖い話か…

 無いことは無いんだけど、話したくもなくて……本田、勿体ぶってる訳じゃないからね?俺も怖いの苦手だから?わかってる?わかってるのか…それもそれで嫌だな。


 あー、それで怖い話か……俺って、祖父母の家によく行くじゃん?なんか、休みの日とかに?たまにみんなと遊ぶ日に被って、遊びに行けなくなる時があるのは本当にごめん。……みんな優しすぎる、頻繁にあったら普通は怒るって…

 それで、俺もこの日は友達と遊ぶから行かないって言ったことあるんだよ。そう、あるの。だって、俺だってみんなと遊びたいし…そんな頻繁に行かなくてもいいじゃんって思う訳でして…何その顔。みんなを優先できる時はしたいじゃん…


 わー!もういいから!続きね?ね?

 それで言ったの、お母さんにだったかな?その時はね、「そういう日もあるよね」って言われたんだけど、当日になったら「行くよ」って有無を言わさずに連れてかれたんだよね。車の中でどうして?なんで?って聞いたんだけど、答えてくれなかった。


 祖父母の家に着いたら、なんかやたらと深刻な顔した親戚たちが集まってて、無事でよかったって出迎えてくれたの。もう、訳わかんなくて、無事って何?って、そんなふうに出迎えたこと無かったじゃんって思ったんだけど、言える雰囲気じゃなかったんだよね。

 家に入ると、直ぐに閉めて「今日はこのお家から出ちゃダメよ」って、祖母が言うんだよ。玄関には盛り塩とか御札とかあって、ただならぬ雰囲気がしてた。


 結構大きい家だからさ、親戚全員いても狭く感じないから良かったけど、年始の集まりかってくらい人は居たね。

 夕ご飯は精進料理?ってやつ。初めて食べたよあれ。お風呂で身を清めるとかなんとかして、「今日はもう寝なさい」って言われたのが21時前くらい。え、もう?って思ったけど、みんな寝るみたいだから、俺も大人しく布団に入って寝たんだよね。あんなに早く寝たの小学生以来だった……


 え?怖くないって?今からだから!前置きだからこれ。

 それで夜、物音で目が覚めたんだよね。玄関を叩く音。

 ドンドンッて凄い叩かれてて、何事だろ?って思って起き上がろうとしたんだけど、体が動かなかった。金縛りって、なんか医学的には睡眠麻痺って言われてて、心霊現象とは関係ないとかなんとか?だけど、実際体験すると、怖いのなんのって。

 しかも、音は聞こえる目も見えるからまたそれも相まって怖かった。

 動けないから、耳だけで外の状況知ろうって思ったの。俺の寝る部屋は、いつも玄関入ってすぐの階段を上がった右側の2つ目の部屋なんだよね。隣は母さんと父さんの部屋だから。

 

 玄関がドンドンって叩かれて、何か言ってるのが聞こえたの。初めの方は聞き取れなくて、というかドンドンって叩く音がうるさすぎて聞こえなかったんだけど、だんだんと聞こえるようになったの。

「ごめんくださーい」って。こんな時間に?って思った。でも、誰も出る様子がないの。絶対聞こえてるはずなのに。うるさいなぁって思ってても動けないから耳塞げないし、早く出てよって思ってたら、だんだんと声が近づいてくるの。

 あれ?入ってきてる?とか思って。でもドア叩かれてるじゃんって。そこで、あれ?って思ったんだよ。

 さっきまで玄関が叩かれてたのに、今度は部屋のドアが叩かれてるって。

 ドンドン、ドンドン…ごめんくださーい


 もう、怖すぎて、でも体動かないしどうしようどうしようって思って目をぎゅっと閉じて音が止むのを待ってたの。そしたら、耳元で「ごめんくださーい」って


「結局その後、普通に朝迎えたよ」


 遠い目をしながら、怖いよね…という清水。完全に現実逃避しているようだった。

 森と澤田は身を寄せて怖がっているし、本田は目をキラキラさせていた。


「しかも、その後何が怖かったって言うと、みんなに会ったら普通に昨日遊んだことになってる事だよ。あの日、何があったんだろうね、本当に……」


 たしかに1度、清水では無い清水と遊んだことがあったことを思い出した。

 黎は見た目で違和感を持っていたが、ほかの3人は気付かず遊んでいて次の日学校で大騒ぎしたことがあった。


「ご両親には聞いたのか?」


「本田、ワクワクしすぎ。澤田と森は大丈夫そう?」


 全力で首を横に振っているのを見るに、ダメそうだ。


「一応聞いたけど、教えて貰えなかった」


 清水の言葉にあからさまにガッカリする本田だったが、気を取り直したのか質問攻めをしていた。

 そんな2人を横目に未だに怯えている2人の介抱に黎は向かった。

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