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01.友達

満開に咲いていた桜も全て散り、梅雨入りとなった。

 ジメジメとした空気が纏わりつき、不快感が襲う。この時期はどうしても湿度が高い。日本は湿度が平均して高い国のため仕方ないのだが、夏は平均よりももっと高くなる。除湿機もあまり意味を成していない。


「あっつ……」


「梅雨入りは良いけど、暑さは変わんねぇよな」


「むしろ湿度で余計暑い」


「ほんと、それな〜」


 黎は同級生4人と図書館へ向かっていた。もう少しで夏休み!と浮かれたいところだが、その前に期末テストが行われる。この前、中間テストをしたばかりだと言うのにまたテスト。学生であるため仕方の無い事だが憂鬱でしょうがない。少しでもやる気を出すため、みんなで勉強をすることとなった。

 初めは誰かの家でとの話だったが、絶対勉強になんて手が付かなくなると思い、無難に図書館で行うことになった。

 図書館にはグループ学習室がある。個室になっている為、気兼ねなく教え合いをしながら勉強が出来る。


「うわ、涼し〜!」


「生き返るわ」


「ここに住みてぇ」


「お前ら、少し静かにしろ」


「早く学習室行こ」


 4階にあるグループ学習室につくと、全員椅子に座って脱力した。


「このまま寝たい」


「いや、ダメだろ。勉強すんぞ」


 澤田の声掛けに気の抜けたような返事をしながら、ノロノロと勉強道具を取り出す。

 澤田は生徒会長を務める優等生。茶髪で目つきが悪い為、初見ではヤンキーに間違われてしまうのが1番の困り事だと言う。茶髪は地毛であり、目付きが悪いのは生まれつきである。話してみると普通に面白いし、優しい。黎が1番初めに仲良くなった長年の友達でもある。

 隣に座っているのが、本田。黒髪に黒縁メガネで如何にも勉強できます風であるが、そうでもない。一番得意な教科は家庭科と美術である。本田が作る料理はどれも絶品で、調理実習の時は優しく教えてくれながらも手つきはプロのよう。美術も風景画などの絵もコンクールで賞を取るほどの出来栄えである。ただし、普通教科は赤点以上平均未満の点数を取っている。

 澤田の前に座っているのが清水。バスケ部のエースで、中学生にして身長が180を超えてるらしい。その為、高校生や社会人に見られるそうで、この前は部活で遅い帰宅だった時に職質されたらしい。澤田と二人して職質について笑いながら話していた。

 清水の隣に座っているのが森。柔道部に入っているため、体ががっしりとしている。あだ名は熊。体つきと言い、性格的にも熊っぽい為そう呼ばれているが、本人は「熊肉美味しいよな」とか言ってる。

 この4人がいつも遊んでいるメンバーである。黎の家の事情も分かってくれて居るし、気を使わなくていいからとても安心出来る。


「姑山、ここどう解くんだっけ?」


「どこ?」


 清水に呼ばれ教えていると、本田や森も呼んでくる。


「いや、俺1人しか居ないから。わかんないとこ飛ばして他やってて」


「全部分からん」


「同じく」


「……なんでだよ」


 いつも通りのやり取りに苦笑いしている澤田が、思い出したように声を出す。


「そうだ、お前ら夏休み暇な時あるか?」


「僕は暇だよぉ」


「祖父母の家には行くけど、時間は取れるよ」


「塾に通わされそうになるかもしれないが、阻止するから暇だな」


「いや、行けよ。黎は?」


「いつも暇だよ。どうして?」


「いや、良ければ俺ん家来ねぇかなって」


 その言葉に全員の目がキラリと輝く。


「それってお泊まり!?」


「澤田くんのお家に行けるの?」


「良いのか?遠慮なく行くけど」


「お泊まり会するの?行きたい!」


 思ったよりも好感触の返事に、照れたように笑う。ずっとしてみたかったと、目を逸らしながら言う姿に思わずキュンっとしてしまった4人。これがギャップか…とアイコンタクトで会話をしていた。


「じゃあ、全員来れるってことで良いな?」


「勿論!」


「手土産って何いるんだ?」


「気が早いだろ。じゃあ、母さんに伝えておくわ」


 初めての友達の家にお泊まりということもあり、とてもワクワクしていた。全員、勉強のことを忘れてお喋りをしているが、夏休みを無事に過ごせるかは期末テストの結果次第なのである。赤点が1個でもあると補習があり、夏休み中に学校に行かなければならない。それを改めて伝えると、そうだったと頭を抱えながら黎に泣きつく。


「首席!ここ教えて」


「え、僕も教えて」


「首席にかかっている。塾に行かなくて済むように教えてくれ」


「…悪い、俺も教えてくれ」


「す、少しは頑張ってよ…」


 困ったように笑いながらも、黎は1人1人丁寧に教えてあげていた。

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