23.子供たち
微ホラー注意
歩いても歩いても一向に辿り着くことが出来ない。かと言って、階段へ戻ることも叶わず、1度立ち止まって策を練ることになった。
「さて、どうしましょうか?」
「このまま歩き続けても意味は無さそうですね」
「逆に体力を消耗してしまうので、今は少し休憩しましょう」
「ウカ様、この窓から飛び降りたらどうなりますか?」
「しても良いが、異界から出ることは出来んだろうな。最悪、下手なところに飛ばされて一生囚われるだろう」
「絶対やだ!」
「出るためにはこの階の1番奥に行くしか無さそうですね」
良案だと思い提案したが、ウカの怖い返答を聞き全力で首を振った。この病院でも怖いのに、他のところに飛ばされたらと考えると、今は出ていないしっぽが股の間に入ってしまう。紅の言う通り、1番奥の部屋に辿り着くしかないのだが、それがとても難しく困ってしまった。
「何をしている天狗」
ミサキたちの会話を静かに聞いていた紅燕がおもむろに立ち上がり、1番近くの部屋の扉を開け中へと入って行った。
「お父様?」
「何をなさっているのですか?」
慌てて後を追うと、壁を軽く叩きながらミサキたちへ問う。
「此の垣、壊ちて進むは如何かな?」
どうしてそうなった。
多分、今ここにいる全員が思ったことだった。たしかに正攻法で辿り着けないならと、少しほんの少しだけ思っていたが、壁を破壊して進むことを提案するとは…
困った顔を見合せて、どうするべきか考えていたが今にも壊しそうな紅燕を見て慌てて止めた。
「待って!待ってください!」
「お父様、1度離れて!」
「まだ壊さないでください!」
「ウカ様!この壁壊した場合なにか怖いこと起きますか!?」
ミサキの必死の言葉に少しだけ思考を巡せる。少しの間の後、あるかもしれないが大丈夫だろうと結論付けた。
「天狗、壊してみろ。お前たち此方へ来い、巻き込まれるぞ」
紅と朱は少し心配そうに紅燕を見てから離れ、ウカの元へと駆け寄る。その様子を見てから、紅燕は力いっぱい拳を振り上げ壁へ叩き付けた。
壁がピシリと音を立てて、亀裂が入る。その亀裂に追い打ちをかけるかの如くまた拳を叩き付ける。すると、盛大に壁が崩壊した。
「え、こわ……」
思わず心の声が漏れてしまい、慌てて口を塞ぐが両隣で紅と朱も頷いていた。
ちなみに、紅燕の手は無傷であり、その事実もまた恐ろしかった。
「思いのほか、脆きものよな」
なわけあるかー!!と叫びたかったがグッと飲み込んだ。
「これにて通れよう」
「あ、ありがとうございます」
「お父様、お怪我は?」
「無い」
「さ、左様ですが…」
「戯れてないで行くぞ」
少し引いた目をしながら会話している紅と朱の横を歩いていく。続くように足元に注意しながら壊された壁から隣の部屋へと入る。
同じ造りをした部屋で、先程と何ら変わりはない。紅燕はまた容赦なく壁を破壊して行った。
次の部屋の壁もまた同じように破壊しようとした時、子供の声が部屋に響き渡る。
あそぼ、あそぼ
なにしてあそぶ?
かくれんぼ?
おにごっこ?
じゃあ、ぼくがおに
わたしがおに
はやくかくれて
はやくにげて
10〜、9〜、8〜
幼い子供たちの声が響き渡る。カウントダウンをするかのように、どんどん秒数が減っていく。
「これは、一体」
「ど、どうしましょう!?」
隠れるところなど無いに等しいこの部屋で、いったいどこに隠れろというのだろう。1度戻ってバラバラに隠れるかと考え後ろを振り返ったが、先程まで壊れていた壁は壊れたことが無かったかのように戻っている。
紅燕が扉を開けようとしているが、紅燕の力を持ってしても開くことがない。
「閉じ込められたか」
2〜、1〜、0〜!
つかまえよー!
つかまえよー!
どこにいるかな?
そこにいるかな?
あ!
「みーツけタ」
耳元で声がした。
幼い子供の声が、子供たちの声が。
「ミサキ!!」
「ミサキ様!!」
ウカの腕の中に居たはずなのに、今はウカが遠くに見える。必死に伸ばされる手を取ろうとするが届かない。暗闇に引きずり込まれていく。
いっしょにあそぼ




