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17.親方、空から女の子が

翌日、再びウカの屋敷に訪れた天狗の親子たちに、ミサキが見た夢の内容を話す。信じられないのか、それとも別の要因かは分からないが、しきりにミサキの顔と臍の緒を見比べる紅と朱。納得顔で頷く紅燕にウカは不満気であった。


「それで、誘拐された子供たちと関係があるか分からないけど、この夢であった人に会いに行きたいんです」


 どうぞお力添えをお願いしますと、深々と頭を下げるミサキ。それに対して紅燕よりも先に反応したのは、紅と朱だった。


「反対は致しませんが、危険は無いのでしょうか?」


「既にこの世に居ない人。そんな方と会えるのでしょうか?」


 不安そうな紅と朱がウカを見ながら問いかける。まだ、ほんの少しの時間だけしか一緒にこうどうしていないが、既にこの2人はミサキを気に入っていた。無邪気ながらも優しく強い心を持っているミサキを。

 だからこそ、心配だった。何かあったらどうしようかと。まだ幼く力もない紅と朱は、有事の際、自分たちを守るだけで精一杯なのだ。ミサキを守ってあげたくても出来ない。だから、何よりもミサキを大事にしているウカに2人は問いかけた。

 そんな2人の心情など知らないウカは、何を言っているのだ?というような顔を向ける。


「危険?我が行くのにあるわけがなかろう。それと、会えるかどうかなぞ我は知らん」


 ウカらしい言葉にミサキは苦笑いを浮かべ、紅と朱は本当に大丈夫なのだろうか?と余計不安になっていた。


「心配せずとも大丈夫だ。いざとならば私が何とかせむ」


「お父様は、余計なことをしないよう気をつけてくだされば結構です」


「ご迷惑をかけないよう、大人しくしていてください」


 元気づけ、安心させるように言う紅燕だったが、2人の容赦ない……本当に容赦ない言葉が刺さり、ガックリと項垂れてしまった。

 ウカはそんな紅燕を見て、ここまで信用が無いのかこの天狗は…と可哀想なものを見る目をしていた。


「えっと、紅燕様も頼りにしています!よろしくお願いしますね!」


 必死にフォローしようと声をかけたが、悲しそうな顔を上げミサキを見るだけだった。

 そんな紅燕を放っておいたまま話は進んでいく。


「ミサキ、縁は辿れそうか?」


「多分ですが、大丈夫です!」


 前回、ウカが繋いでくれた縁とは違い、赤い糸は全く見えないが、自分の縁と相手の縁が繋がっているのが何となく分かる。


「それなら良い、お前たちさっさと行くぞ」


 言うやいなや、ウカは立ち上がり外へと歩いていった。ミサキたちも慌てたようにウカについて行く。

 門へと辿り着くと、ウカはミサキの方を振り返り跪く。ミサキの手を取り、真っ直ぐミサキの美しい紫色の瞳を見つめる。


「今回は縁が可視化されておらん、我にも見えん。だから念じろ。その縁の先を」


「はい!ウカ様!」


 いきなりそんなことを言われても戸惑うはずだが、ミサキはなんの戸惑いもなく頷いてみせた。


 (ウカ様が居れば、きっと大丈夫)


 ウカは立ち上がり、ミサキの手を引き門扉へと誘導する。右手はしっかりとウカと繋がれているのを確認すると、大きく深呼吸をした。何度かの深呼吸のあと、左手を門扉へとかざし目を瞑る。

 夢で繋がった縁の先を思い描き、強く、強く念じる。淡い光の糸が人差し指から伸びていく。きっとこれが繋がれた縁なのだろう。

 ミサキは目を開けゆっくりと門扉を押す。


「さてみなさん!行きましょう!」


 そして、1歩門の外へと踏み出した。


 ……が、門の外に地面はなかった。正確に言うと、座標が曖昧だったため、地面ではなく上空に投げ出されたのであった。


「きゃーー!!!」



 少年は学校帰りであった。友人と別れ、家に帰ろうとした時、遠くの方から悲鳴が聞こえた。現代日本で、そんな悲鳴を聞く事などある訳がなく、空耳だと思いそのまま帰ろうとした時、自分の影とは別の影が足元に見えた。

 不思議に思い、上を見るとそこには真っ白な綺麗な髪に、赤と白の袴を着た少女が上から降ってきているのが見えた。


「よ、避けてください!!」


 そんなことを言われて、すぐに避けれたら苦労はしない。人間驚くと声も出ないし体も動かないのだ。

 だが、このままではぶつかるしこの少女は怪我をしてしまう。咄嗟に受け止めようと手を伸ばす。

 突然大きな風が吹くと、落ちてきていた少女の体がふわりと浮いた。そして、先程までの勢いを弱めゆっくりと少年の腕の中へと収まった。

 何が起きてるのかわかっていない少女は、目を回していた。そんな少女を見て、少年は思わず呟いてしまった。


「親方、空から女の子が……?本当にあるんだ」


 あるわけが無い。だが、そんなツッコミを出来る者は今は何処にもいなかった。

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