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14.臍の緒

「どうして、臍の緒があるんですか!?」


 ミサキの叫びが屋敷全体に響き渡る。

 古民家の庭で臍の緒を見つけた一行は、一度ウカの屋敷へと戻ることにした。屋敷に着くと、式神たちがお茶を入れてくれて、やっと一息つくことが出来たようだった。そして、持ち帰ってきた臍の緒を見ての言葉が冒頭のミサキの言葉である。


「騒ぐでない」


「でもでも、ウカ様!あそこの古民家は長年使われていないし、人が来た形跡もないんですよね?なのになんで朽ちてない桐箱の中に、臍の緒、しかも人間のがあるんですか!?」


 机をバンバンと叩きながら、飛び跳ねて騒ぐミサキを嗜める。


「埃が立つ故、此方に座れ」


 ムッと頬を膨らませながらも、大人しくウカの膝の上に座るミサキを見てから、紅燕が口を開く。


「不可解なのはまた事実。いかにせむか」


「宇迦之御魂神様、臍の緒の持ち主と縁を繋ぐことは出来ないのでしょうか?」


「不可能ではないが、今回の誘拐事件とは関係あるまい」


 ウカの言葉にまた全員、黙り込んでしまった。


 今日はもう遅い時間と言うことで、解散となった。臍の緒はウカが預かることになり、その話でも1悶着あったがミサキが説得して事なきを得た。

 2人きりとなった部屋で、ミサキはウカに問いかける。


「ウカ様、なぜ嘘をついたのですか?」


「何を言う、神は嘘をつけないことくらい知っておるだろ」


「じゃあ、なんで事件と関係ないって言ったんですか?」


 ウカは、嘘をついた。が、ウカの言う通り神は嘘をつけない。そのため、回りくどい言い方をしたり誤魔化したりするため、正確には嘘では無いが……

 ウカがついた嘘(誤魔化し)は、『事件と関係ない』と言ったことだ。


「この臍の緒、すっっごく関係ありますよね!?」


 紅燕たちは見えていないが、ミサキはウカに繋いでもらった縁が見えている。その縁がこの臍の緒と繋がっているのだった。


「確かに縁は其れを示しているが、拐かされた者の臍の緒では無い。よって、関係はなかろう?」


「なんでわかるんですか?」


「その臍の緒の持ち主は、どちらも既にこの世には居ないからな」


 どちらもと言うことは、母子ということだろう。ミサキには見えていない、臍の緒から伸びる縁は、きっと無いのだろう。


「なら、なんで私と繋いだ縁がこの臍の緒を示しているんでしょう?」


「拐かした犯人、または拐かされた者が1度でも触ったのではないか?」


「……そんな適当な」


 どうでも良いという風に答えるウカに、思わずため息が出てしまう。確かに1度でも触ったら…とも思ったがそんなことあるだろうか?しかも、こんな都合よく。ピンポイントで特定の縁を繋ぐウカだが、どう考えてもおかしい。


「考えても仕方あるまい、もう我は休むぞ」


「あ!はい、ウカ様。おやすみなさいませ」


 ウカが寝殿に戻るのを見送ってから、ミサキも部屋へと戻る。

 部屋に戻り、布団に潜ってから少し考える。そもそも、この誘拐事件は本当に起こっているのか。これは、ウカの所に届いた願いにより、本当だということがわかる。白狐たちの情報によると、まだ見つかっていないらしい。既にひと月も経っているため、無事に家族の元へ帰ってくるのは難しいだろう。

 次に天狗のせいにされているということ。この噂はそもそも何処で聞いたのだろう?現世に降りて聞いたのか、あるいはほかの妖怪たちから人伝(妖伝?)で聞いたのか、わかっていない。

 そして最後に、ミサキと縁を繋いだ場所(物)が、長年人が訪れてもいない古民家だったこと。その庭に臍の緒が落ちていたこと。不可解なことしかなくて、首を傾げるばかりだった。


「もー!わかりません!」


 布団の上でジタバタとしてから、ぼんやり天井を眺めてると、数分もしないうちにウトウトと眠気が襲ってきた。


 (ウカ様なら、もう全部、わかったのかな…)


 そんなことを思いながら、ミサキは夢の中へと旅だった。

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