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13.古民家探索

引き摺られながら辿り着いた古民家は、近くで見ると余計にその古さが伺える。

 既に半泣きのミサキと朱は、手を取り合って震えている。仕方がないと言う風に近づき、目線を合わせるようにウカが跪く。


「これ、泣くでない」


「だ、だってぇ!」


 ポロポロと流す涙に耐えきれず、周りを確認してから抱き上げる。近くに人間の気配もないため、見られる心配はないだろう。


「朱、貴女もお父様に抱き上げて貰ったら?」


「……それは嫌だ」


 袖口で口元を隠しながら、名案とばかりに朱に提案する紅だが、とても嫌そうな顔をしながら断った。紅燕は、抱きしめようと伸ばしていた腕を静かに下ろしていた事は2人は知らない。

 グズグズと肩口を濡らしているミサキの背を優しく撫でながら、ウカは古民家を見上げる。確かにミサキと繋いだ糸はこの家を示しているが、人又は妖怪が居る気配が一切ない。それどころか、居た気配もない。

 普通、少しでも滞在していれば、痕跡が残る。縁を繋ぐことが出来るウカが、どんな小さな痕跡だとしても見逃すはずがない訳で……となると、ここに誘拐されてきた者はおろか、ここ近年誰もこの民家には来ていないという事になる。


 (どうしたものか…)


 縁を繋いだのにも関わらず、その相手が居ないという事は稀にある。その為、特に問題は無いのだがそれにしたって不自然すぎる。


「中に入るぞ」


「え!?」


 ミサキを抱き上げたまま、古民家へと向かうウカに驚き顔をあげる。涙に濡れた顔に思わず笑うが、何も言わず歩みを進める。

 ミサキはウカの首に腕を回し、絶対に離れないぞと力を込めながら後ろを見ると、紅に手を握られながら歩く半泣きの朱と双子の後ろを歩く紅燕が見えた。行きたくない、とまたグズり始めたミサキはウカの肩に顔を埋めてしまった。


「宇迦之御魂神様、不法侵入ですがよろしいのでしょうか?」


 紅の質問に数秒足を止め考え込むウカだったが、大丈夫だろと言い玄関の引き戸を開けた。良い子のみんなは例え誰も住んでいないであろう古民家でも、勝手に入ったりはしてないけないぞ!


 引き戸は、滑りが悪くなったのか建付けが悪くなったのか分からないが、とても固く片手で開けるのに苦労した。

 引き戸を開け、中に入ると薄暗く、埃が舞っている。天井付近には蜘蛛の巣が張り巡らされ、床を見ると動物の死骸や糞が至る所に散乱していた。後ろを歩く天狗の親子に気をつけるように言い、履物を履いたまま奥へと進む。

 所々、床が腐り抜け落ちそうになっているが歩けないことは無い。廊下を歩き、居間へと向かう。居間は、がなくガランとしていた。てっきり、荒れているかと思ったが、と1人思考を巡らせていた。隣の部屋は和室になっている。こちらも物は無く畳が全て外されて空っぽになっていた。他の部屋も手分けして見たが何も残っていないようであった。

 庭に降りてみると、不自然な箇所が3箇所あった。土が盛り上がっているところ、掘り返された跡、そして……


「天狗、それはなんだ」


「桐箱のようですが」


 紅燕が拾った手のひらサイズの桐箱、ウカは怪訝な顔で、ミサキと紅、朱は不思議そうな顔で紅燕の手元を覗き込む。


「定かならず、開けてみんか」


 紅燕の問いかけに全員顔を見合わせる。ウカが頷くと、紅燕は桐箱の蓋を開けた。中には紙がはいっており、何かが包まれているようだ。

 ゆっくり、慎重に紙を開く。

 そこには"人間"の"臍の緒"が入っていた。

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