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10.失言

待ちに待った調査の日!のはずなのだか…

 遠い目で外を見つめるミサキと、後ろから抱き込んで離さないウカ。それを呆れた目で見つめる(実際は面布で覆われているため見えない)式神と困惑する天狗の親子。さてどうしたものか…


 話は昨日に遡る。と言っても、そこまで遡り話すことも無いのだが…

 ウカはとても機嫌が悪かった。それもそのはず、先日来た天狗が、ウカの大切な宝物を危険に晒そうとしているのだ。機嫌も悪くなる。しかもその宝物は意外と乗り気。余計に機嫌が悪くなる。


 本当に行くのか?お前は我と屋敷に居た方が…などと、ちょっと、いやかなりウザイくらいに言ってきた。その度に、大丈夫ですから!ウカ様が一緒なら問題ありません!と伝えているのだが、響いてはいない。むしろ、日を追うごとに悪化している。

 式神たちも往生際が悪いです。とか、腹を括ってください。とか言っていた。完全スルーではあったが。


 そして、調査日当日。天狗の親子、紅燕、紅、朱が来てもウカはミサキを離さず、本人たちが居る前でブツブツと文句が絶えない。

 紅と朱からは、そちらも大変なんですね。という同情の目で見られている気がするが、見えてないったら見えてない!


「ウカ様ぁ、いい加減離してくださいよ…」


「嫌だ」


「ウカ様ぁ…」


 このやり取りも何回やった事だろう。多分、10回はやった。やり過ぎである。


「そろそろ、時間なのだが」


 申し訳なさそうに声をかけてくれる紅燕。紅燕たちが来て、既に一刻半は経った。せっかく集まってもらったのに、これでは待たせすぎである。痺れを切らしたミサキは大きな声を出す。


「もう!ウカ様いい加減にしてください!」


 そう言って、無理やりウカの腕(少し緩めてくれた)から脱出して顔を正面から見る。捨てられた子犬のような瞳(ミサキにはそう見えているだけ)で見つめられ、思わず抱きしめそうになったがグッと堪える。


「早く調査して、終わらせましょ?そしたら、いっぱいギューってしてあげますから!それと、終わったらなんでも言うこと聞いてあげます!」


「……なんでも」


「なんでもです!」


 真意を問うかのように見つめてくるウカに、にっこりと笑う。


「信じられないなら、約束しますか?」


「否、それは良い」


 神との約束は命よりも重くなる。それを分かって言っているのか怪しいところだが、そこまでしなくてもミサキなら大丈夫だろうと納得して、薄く笑いながら


「その言葉、努努忘れるでないぞ」


 と言った。その言葉に、ちょっと早まったかもと思うミサキであったが、時すでに遅し。口から出た言葉はもう飲み込むことは出来なかった。

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