23.相談事
次の日、黎は学校があったにもかかわらず、ウカの屋敷へ姑獲鳥と共に来ていた。
ウカは今、出雲へ出ているため不在だが、いつでも来ていいと言われているので、遠慮なく訪れていた。
「ミサキちゃん」
「黎くん! いらっしゃいです! あ、ちょ、ちょっと待っててくださいね!」
「ナンカ、イソガシソウ」
「うん、来るの失敗したかな?」
くるくると動き回るミサキを見て、二人は顔を見合わせた。
ウカが不在のため、ミサキが代わりに色々な仕事をこなしているからか、いつもより忙しそうだった。そんなミサキの時間を奪ってまで話すようなことなのか、と考えてしまった。
入口に立ったまま中に入れずにいると、式神が黎の背を押してきた。
「え、え?」
「中でお待ちください」
「お嬢様もすぐに向かいます」
「お菓子もお出しします」
代わる代わる声をかけられ、背中を押されて目を白黒させているうちに、あっという間にいつも通される部屋に着いてしまった。黎や姑獲鳥が何かを言う前にお茶とお茶菓子まで出され、すっかりいつも通りのもてなしをされてしまった。
「サスガ、シキガミサンタチ……」
「止める暇もなかった」
大人しく出されたお茶を飲んでいると、廊下からパタパタという足音が聞こえた。
「お待たせしました! 黎くん!」
疲れなど微塵も感じさせない笑顔で、黎に声をかけた。
「待たせてごめんなさい」
先程までの笑顔とは一転して、しゅんとした表情で謝られ、黎は慌てて首を横に振った。
「大丈夫だよ。むしろ、忙しい時に来てごめん」
「それこそ大丈夫ですよ! 私も会いたかったので!」
パッと笑顔になったミサキに釣られるように、黎も自然と笑った。
「その噂話は、どこから流れたとか分かりますか?」
黎は早速、ミサキに噂話と昨日あった出来事について相談した。
するとミサキは、硬い表情で黎に問いかけた。
「俺も友達から聞いたから、それは分からない」
「そうですか……」
「何かやばかったりする?」
「あ、いえいえ、少し気になっただけですよ。それよりも、黎くんが無事で何よりです。夜は危ないですから、早めに帰ってきてくださいね」
ミサキは何かを誤魔化すように言った。黎は、何を誤魔化されたのか気になったが、ミサキの純粋な心配を感じ取り、素直に頷いた。




