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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

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第184話「消失(ロスト)」

『自由の国』アーリントン州、リングレー。CIF(Central Intelligence Freedom-country)本部。


「日本国として、あなたの論理に付き合う義理はないわ。『新人民中華共和国』を国家として承認しないし、『自由の国』で展開中の魔法少女も引かない」


佐藤ゆりあの言葉に紅青が即座に反応する。


『そう答えると思っていたわ。いいのよ「我々は共同防衛の相手国として、第3国として扱われている」と主張できるから』


その答えに、一瞬だけスマホを見たゆりあが笑って言う。


「10秒よ。10秒で後悔させてあげる」


魔女に相応しい毒を存分に含んだ微笑みだった。


「9。8。7。……」

『な、何を?』

「4。3。2。1!ゼロ!」


通信が途絶えた。


「『SANA』からエマージェンシー!日本の放棄した宇宙ステーション『おりひめ2号』が隕石に衝突!静止軌道上から落下!東シナ海に墜落しました!」


オペレーターが信じられないと叫ぶように言う。


「落下地点は……日本の長崎県五島市『鋭角諸島』です」


そこにいる誰もが偶然とは思わない。


「『おりひめ2号』は宇宙ステーションとして建造された。メインタンクとフレームだけでもチタン合金製、1.5トン。これは大気圏突入でも残るわ。自由落下のスピードだけでも島4つぐらい消せるわ。これで紅青の建国しようとした『新人民中華共和国』は承認前に『国土』を失ったわ」


ゆりあの言葉に全員が言葉を失った。


♦︎♦︎♦︎


その45分前。

日本、埼玉県越谷市郊外、『シオンモール・越谷』


日本のどこにでもありそうなショッピングモール。実はここにしかない設備があった。


『量子コンピュータ・スーパーセル』


日本が災害シミュレーション用に開発した設備だった。それがショッピングモールにあるのはテロや国外へ向けての偽装である。また、埼玉県越谷市という立地も関東方面・東北方面・新潟や中部地方からと電源が複数系統で用意でき、関東大震災や東日本大震災でも比較的被害が少ない地域というのもこの地になった決め手である。


だが、その膨大な建造費は国税ではなく、ゆりあの個人資産で賄われた。なのでここは魔法少女達には別の言葉で呼ばれる事が多い。


『テンペスト・データセンター』


と。その制御室に3人の人影……と言うか家族連れがいた。


「佐藤ゆりあ大臣からの指令を確認」

「了解。『おりひめ2号』の諸元の入力は終わっているぞ」


スマホを見て言うのが水田マリ私立明王義塾学園理事長であり、コンソールを操作しているのは、この施設の所長・小田圭吾。マリの夫でもある。


二人の娘・実花は、椅子に座ったまま船を漕いでいた。


「さくらちゃん。『スーパー・セル』の計算結果は送ったわ。指示通りに当たって減速させて」


♦︎♦︎♦︎


同時刻。地球上空。


「さくら。了解。宇宙服問題なし。通常飛行と同じ感覚で行動可能です」


地球は青い。


『さくらちゃんいい?地球の自転と反対向きに周回して「おりひめ2号」の頂点部分にキックを決めて。これで地球に降下させる予定だったヒドラジン燃料に誘爆して降下推力が得られるわ』


言うは易し、行うは難し。相対速度は秒速14キロ。時速50,000キロになる。


「……了解」


加速していく。


『規定速度到達。それ以上加速すると宇宙服が持たないからキープして』

『進行方向を右側に0.2度修正』


マリさんと圭吾さんの指示が飛ぶ。


見えた!


その瞬間、脚に凄まじい衝撃が走る。

ブースター部分に見事に右脚が突き刺さった。


もちろん右脚は魔法で鉄のように硬化させ、全身も限界まで強化している。


燃料の爆発が起こり、『おりひめ2号』全体がガタガタと震える。


『「おりひめ2号」秒速7.4キロ。計算通り再突入軌道へ入ったわ。成功よ』

『楕円軌道コース問題なし!これで「鋭角諸島」に落下するぞ』


だが、トラブルが起こる。


『マズい!シミュレート結果によると大気圏突入時の減速で右側太陽光パネルが破断するぞ!』

『重心がズレる可能性を含めて再計算……落下予測地点、北に50キロ「月島」近海!』


その直後に大気圏に突入し、予測通りに太陽光パネルが片方だけ折れ曲がり、吹き飛んだ。


「もう片方も切ってみます!『切断』!」


風魔法はこのスピードでは切断できない。瞬間移動のは応用で無事な方の太陽光パネルを切断した。


『楕円軌道変わらず!』

「軌道修正します。ストップかけて!『エアーシュート』!」


風魔法を横向きに噴射して軌道を修正する。切断には使えないが微修正にはこちらの方が向いている。


『あと3秒よ!3、2、1、停止!』


指示通り魔法を止める。


『OK!あと5分で地表よ。離脱して!』


マリさんの指示が飛ぶ。


「おつかれ、『おりひめ2号』……」


手を離してゆっくりと私は減速していく。

おりひめ2号はそのまま落ちていく。


♦︎♦︎♦︎


「死ぬかと思ったわ。あの魔女め!」

「やはり、方法が回りくどかったのではないか?」

「エレン、それは短絡的過ぎるわ。日本側に動きを読まれたのが問題なのよ」

「エマ。だが失敗はどこかに原因が存在するはずだぞ。日本に読まれようが途中までは計画以上の成果だったはずだ」

「あの魔女とて、そう何度もこんな攻撃はできないはずだ。資金はある。拠点をまた作ればいいだけだ」

「イルアナ=マルコシアスはつくづく優秀だったな。資金を使うだけの紅青と違って」


『20世紀からの使者』は健在だった。

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