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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

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第180話「テロVSテロ (前編)」

アーリントン州、リングレー。CIF(Central Intelligence Freedom-country)本部。


「情けないわね。それでも世界最高の諜報機関なの?」


ガチガチのキングス・イングリッシュを放ちながらその女は中央管制室の入口に立っていた。ネイビーのスーツにハイヒール。だが、見た目は完全にジュニアスクールの生徒。


「佐藤ゆりあ……文部科学大臣」


ポーター長官はCIF入職から殆どを東アジアの分析官としてやってきた。だから彼女が『魔女』である事も知っていた。


「ポーター=コールマン長官、あなたはこの一連のテロ事件、誰の仕業だと仮定しますか?」


それならば、答えは知っている。

だが確証はない。エリザード女王やルーザー前長官が『コイツらだ』と言っていただけだ。


「現時点では、エマ=ブラウンら『20世紀からの使者』が最有力だと考えている」


それを聞いてゆりあがニコリと笑う。


「よろしい。『安全保障条約』の『ガイドライン』に基づき、これから我々は『共同防衛』を実施します。異論は?」

「ない。だが、それなら大統領官邸では?」

「あの『白い家』は今、中間選挙のせいで真っ赤でしょ?それに家主にネットリテラシーがないのも困りものだわ」


その強烈な皮肉に苦笑する。ゆりあのキングス・イングリッシュと相まって、連合王国の人間だと勘違いしそうになる。


「それでどうするのだ?」


とポーターが聞いた直後だった。


ブンッ――


天井の照明が一瞬だけ落ちる。

非常灯が赤白い光を灯し、外部電源が喪失したことを告げていた。


モニター類は非常用電源へ切り替わり、そのまま稼働を続けている。


「東側14州で停電発生!ハブセンターで小規模火災が原因です。電力会社によると15分以内に復旧予定」

「西側17州でも停電です。こちらは送電システムのエラーです。こちらは1時間以内に復旧見込みとすでに発表されました」


「何が起こっている?」

「中央の南北の州は同時に行くわよ」


困惑するポーターにゆりあが予言するように言った。


「中央部、16州でも停電発生。東部・西部に電力を供給しようとしたところ、急激な需要増にブレーカーがダウンした模様」

「独立系のロンスター州も周波数維持を理由に自主遮断」

「これで本土48州は総停電したわね。フェイズ1、完了よ」


ゆりあの言葉にポーターは食ってかかる。


「アンタ!まさか!」

「日本にはね、こんなことわざがあるの。『目には目を、歯には歯を』。だから、『テロにはテロ』よ。それにまだ、『フェイズ1』よ」


ゆりあがいつのまにかヘッドセットを着けていた。


「待て、それは日本のことわざではないだろう」


ポーターのツッコミを綺麗に流して、ゆりあはヘッドセットの向こう側に指示を出す。


「電力を復旧させつつ、フェイズ2へ移行」


「マシントンDC・ニューヤーク州・アーリントン州で電力回復」

「各SNS、選挙から停電のトピック(投稿数)が上回りました」

「西部も7州で回復。それを受けて中央部も電力が50%程度復旧していきます」


その時だった。


「『ホライゾン』『T&E』『Fモバイル』『ダッシュ・ワイヤレス』のモバイル各社が通信停止。各社とも基地局再起動後にトラフィックが急増。コアネットワークが飽和したと発表しています」


ポーターも流石に違和感に気づく。


「おかしいだろ?まるで『そうなるように準備していた』みたいじゃないか?」

「その通りよ。これでフェイズ2も完了」

「なぜ、日本が我が国のインフラにテロを仕掛ける?」

「実際には火災も送電システムのエラーも起こっていないわ。ただ、各電力会社と通信会社の意思決定者を『説得』しただけよ。その結果、もっともらしい原因をでっち上げてるだけよ」


ポーターには信じられなかった。


「『説得』……と言う名の『精神感応』か?」

「それでもよかったのだけど、簡単よ。電力に関してはこの国は東部と西部、独立系のロンスター州の3系統しか電力網がない。東部を統括するあの会社の役員の『秘密』、CIFでも掴んでいるでしょう?彼は喜んで『協力』してくれたわ」


それを笑って言うゆりあにポーターは恐怖を感じる。おそらく各会社に1人ではない。役員会を開いても過半数が動くよう、必要な人数に工作を済ませていたのだ。


「さて、仕上げの『フェイズ3』行くわよ」


「まだあるのか」と言いそうになる。

だが、モバイル各社も何時間も通信を止め続けることはできない。株価も信用も吹き飛ぶ。つまり、ゆりあはその「限られた時間」で何かを終わらせるつもりなのだ。


そして、何かはすぐにわかった。


「モバイル各社、復旧率50%前後」

「各SNS、選挙の投稿が増えていきます。え?、旧『Blue Bird』こと『Z』。全ユーザー接続不能!」

「『Tok(トック)Tik(ティック)』と『Talegram(テイルグラム)』も機能停止しました!」


その報告を待っていたようにゆりあが言う。


「これで『フェイズ3』は完了よ。誰も銃撃事件を拡散はおろか投稿すらできなくなった」


ゆりあの目的はこれだと悟り、ポーターが静かに言った。


「解説をしてもらっていいか?」

「長くなるわよ?」

「それでも、ただでさえ頭に血が上った大統領に報告する義務がある。頼むよ」


苦笑してゆりあがうなづいた。

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