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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

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第175話「正気か?」

自由の国、首都近郊。アーリントン州、リングレー。CIF(Central Intelligence Freedom-country)本部。


「正気か?」


私のいきなりの登場に現職長官のポーター=コールマンをはじめとした幹部達は目を剥く。


「オペレーター、誰でもいい。連合王国『7:MI』とコンタクトをとってくれ」


本来ならそんな権限は私にはもうない。

だが、私のただならぬ様子に押され、1人が部屋の外へと急いだ。


「ルーザー前長官、何が問題なのでしょう?」


メタボ体型の黒人男性が聞く。リチャード=キング、サイバー部門の責任者だ。


「知っての通り、20州で選挙がリ・カウントになった訳だが?」

「それは民主主義が完璧に作用しているからでしょう?」

「他国から、民意を誘導されたとしても?」

「そんな兆候があれば僕が見逃しませんよ!」


プライドを刺激したのか、リチャードが語気を強めて言った。


「リチャードが有能なのは知ってるさ。だが今回の敵は、人間ではない。だから見逃した」

「どこかのSFみたいに、AIが人類を洗脳したとでも?」

「その通りだ。具体的にはSNSのおすすめ機能だがな」

「そんな!それならどちらかの党が圧勝するはずでしょう?」

「敵の狙いはこの異常な均衡状態にあったとしたら?君は確かに外部のサイバー攻撃から、ネットワークを守った。しかし、そのネットワークこそが今回の敵だったというだけだ」


リチャードは絶句する。


「方法は単純だ。SNSを一般利用者と同じように使っただけだ。サーバーへ侵入もしない。投票システムにも触れない。外部からネットワークへ攻撃もしない」


周囲も黙って聞いている。

特にポーターなど、憔悴しきっている。


「君が守っていたのは『ネットワーク』だ。奴らが攻撃したのは『人間』だった」


こう結んだ私に、リチャードがヘッドセットとノートPCを開く。


「『ライブラ』起動」


『ライブラ』はリチャードが作ったAIでCIFが長年に渡り蓄積してきたデータを保存・整理・分析するのに特化していた。


「SNSで中間選挙に関する投稿、海外IPのもの」


『検索結果200万件以上、更なる絞り込みを求めます』


メインモニターにそう表示が出る。


「投稿数の推移を棒グラフ化できるかね?」

「簡単です。『投稿数を日別の棒グラフに』」


即座に結果が表示される。


「投票日、4日前の土曜日だな」


そこから爆発的に投稿数が増加している。


「お言葉ですが、我々に気づかせない優秀な工作員がいたとして、海外IPを使う愚を犯すとは思えません」

「もっともだ。だが、拡散させるにはボットが最適だろう?何万ものアカウント全てを国内IPにするのは現実的ではない。結果、海外IPが増えるという事だ」

「なるほど、それで投票日4日前、この爆発的増加は何が?」

「私の中で仮説はある。だが、それこそ君の『ライブラ』の出番だ」


リチャードが『ライブラ』に指示を出す。


『ワールドカップ・優勝者の藤原さくら、訓練中に負傷を負い、全治1ヶ月』


モニターに出た情報に私以外の者は訝しむ。

無理もない。選挙へのディスインフォメーション(世論誘導)と日本の魔法少女の負傷、全く結びつきが見えないからだ。


そこへ、先ほど飛び出したオペレーターが戻ってくる。


「連合王国側と繋ぎます。メインモニターに出します」


誰の許可も得ずにそうする様子に少し違和感を抱く。だが、その違和感はすぐに解消される。


メインモニターに映し出された人物を見て、その場の全員が息をのんだ。


そこにいたのは、連合王国君主・エリザード2世。


「すまんな、『7:MI』は全員忙しくてな」


連合王国らしく皮肉たっぷりに女王はそう言った。

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