表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

230/232

第161話「『森林の国』の魔法少女 その3」

「今解いているその熱化学方程式、ただ数値を並べて満足してない? 『なぜ』そのエネルギーが放出されるのか、分子の一つひとつがどう動いているのかを頭の中で描いてみて。公式を振り回すんじゃないわ、公式を使いこなすのよ」


マイ先生が隣の席のセラフィナさんに言った。そのまま、こちらに身体を向けて私の止まっている問題に目を移す。


「ちょっと、そこ。また傍線部だけ見て固まってるわね?」


そう言いながら私の背中側に移動する。


「いい?『読解』っていうのはね、『筆者との対話』なのよ。 傍線部の前後に、筆者が『一番伝えたいこと』への鍵が必ず隠されているわ。それを見つけずに答えを書くなんて、地図を持たずに山に登るのと同じくらい無謀よ。難しい言葉が出てきてもビビらなくていいわ。その言葉を自分なりの日常語に噛み砕いてみて。そうすれば筆者の声がちゃんと聞こえてくるはず」


マイ先生の用意したプリント。全員が違う課題になっている。しかも11人分の母国語・個々人のレベルに合わせているようだ。


昨日は夕方からの『制服』と『テンペスト』の受け渡しとオリエンテーション。

今日は9時からこのプリントと向き合っている。


「終わった者から休憩だ」


そう言われると、速やかに終わらせたくなる。

だが、プリントのレベルがそれを許さない。


スピーカーからチャイムが鳴る。


「休憩だ。15分後は『魔法』の座学だ」


ここまで1度も日本に来て魔法を使っていない。島に渡る際にホウキで空を飛んだぐらいだ。


「まさか、日本に来て『余白の国』のキンベル国立大学の過去問をやらされるとは思わなかったわ」


セラフィナさんが自動販売機で紅茶のペットボトルを買いながら言った。ちなみに『テンペスト』をかざせば、支給されたお小遣いで買えるようになっている。


「こっちは苦手な関数だったよ。隣のハルちゃんは文字の書き取りだった。内戦で学校はここが初めてだって言ってたよ」


会話に加わったのは『人民の国』・黄=リンシャンさん。連合王国の旧租借地、『香江』出身の魔法少女だ。


「つまりは、マイ・ティーチャーは我々11人のレベルに合わせたプリントを用意したって事よね?」


セラフィナさんの言葉に周囲にいた数人の魔法少女がうなづく。


「でも、どうやって?」


私の素朴な疑問に誰も答えない。


やがて、次の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。


この授業は講義形式のようだ。


「まず初めに聞こう。『魔法』とは何だ?黄」


マイ先生の言葉にリンシャンちゃんが答える。


「神から与えられた不思議な力です」


その答えにマイ先生が首を横に振る。


「違う。コルホネン」


リンシャンちゃんの後ろの席だから当てました。みたいな感じで指名された。


「自然法則を変える力?」

「近くなったな。だがまだバツだ。それでは知っていそうなシルバーフォックス」


ゆっくりとセラフィナさんが立ち上がって答える。


「『魔力』を使って、通常起こり得ない現象を起こす事です」

「惜しい。80点だ。例えばそこにいる、ロームフェラは藤原副教官とワールドカップで戦った時に自国の第2艦隊を派遣してきた。これも『魔法』になるだろう?」


まあ、それもサクラ副教官は第2艦隊ごと叩き潰したけれど。


「だから模範解答は『魔力を使って物理法則を越える現象を起こす事』となる。ここで大事なのは2つ。1つは『魔法』はイメージを具現化する事。もう1つ、こちらの方が大事だが『魔力』と『魔法』を分けて考える事だ」


いつのまにか、全員がマイ先生の言葉を真剣に聞いていた。わたしも聞き逃すまいと集中する。


「『魔力』はこの世界に溢れるエネルギーの事だ。ガスを使って湯を沸かす。だが、コンロから放出されたエネルギーは100%はケトルにいかない。必ず大気中に逃げる。他にも太陽光、風力もエネルギーだ。目には見えないがな。それらを総称して『魔力』と呼ぶ」


少しの間。

この棟の奥にある食堂で昼食の準備している音すら聞こえる程、教室は静かだ。


「これを体内に取り込める者。それが魔力中毒者だ。つまりは我々、魔法少女や魔女も広義では魔力中毒者だ。だが、我々は『魔法』が使える。だからビーストにならずにすんでいる」


知らなかった。

当たり前に発生する魔力中毒者がわたしと同じ者なんて。


「その差は意外と簡単だ。『魔法を使える』というのは『出口がある』という事だ。入口から入った『魔力』が出口から出て『魔法』となる。出口のない者が魔力中毒者なのだ」


そして、この講義の最後の質問が放たれた。

それはここにいる各国がどうしても知りたい事だった。


「では。どうして、日本の魔法少女や魔女は優秀だと思う?」


誰も答えない。

当たり前だった。それがわかるならこの場にいないだろう。


「答えは簡単だ。皆に昨日渡した『テンペスト』。これがあるから先程言った入口も出口も拡張される」


先程まで静かだった教室がざわめく。


「さあ、昼食後はいよいよお待ちかねの実技だ。『テンペスト』をつけたらどう変わるか、それを自分の身で確認するといい」

できれば、いいねとかお気に入り登録していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ