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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

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第160話「『森林の国』の魔法少女 その2」

「まずはみんなに支給するものがある。『制服』だ。服装は自己表現と考える文化は認めるが、ここは日本だ。日本では、この制服を着ている者が『魔法少女』であるというルールだ。すまないが従ってもらう。着用の仕方は各国の母国語翻訳付きの動画があるからそれを見ておくように」


マコトと別れて、月島に来て2日目。

今日から『日本版、ホグワーツ』ともいえる、授業が始まった。


11人の留学生の前で話すのは主任教官である、マイ=タカノ先生だ。

ワールドカップ準優勝だったナツキ=ヒロイや最近、魔女になったアズサ=キシモトの教官だった人物である。どこかに雷神トールの様な『怒り』とか『激しさ』を感じる人だった。


一方で、ロキにあたるのがサクラ=フジワラだろう。最初の説明で今は魔法が使えないと聞かされた。彼女は黙って教室の後ろで授業を眺めている。


周囲の生徒も気になるのか、チラチラと後ろを盗み見ている。


「それからもう1つ、『テンペスト』だ。皆は指輪やネックレスで魔石を媒介に魔法を使っていると思うが、ここでの訓練期間はこれを使ってもらう。呼ばれたら、前に取りに来るように」


マイ先生がそう告げて、名簿が載っているのだろうタブレットに目を移す。


「『自由の国』、ケリー=ロームフェラ」

「はい」


呼ばれたブロンドの少女が立ち上がる。

さっきまで後ろにいたサクラがケリーに何か渡している。


「『余白の国』、セラフィナ=シルバーフォックス」

「はい」


同じだ。マイ先生から『テンペスト』を受け取り、席に座る前に何かをサクラから受け取っている。


「『森林の国』、ノーラ=コルホネン」

「は、はい!」


勢いよく立ち上がって前に行き、『テンペスト』を受け取る。自分の席の近くにサクラが移動している。


「これ。人によっては身内の形見だったりするから……」


そういって、空のケースを受け取った。

結婚指輪でも入っていそうな手のひら大のケースだ。なるほど、これを渡していたのかと納得する。同時にこれが、サクラと最初の会話だった。


「『人民の国』、黄=リンシャン」


次の名前が呼ばれ、やがて全員に行き渡る。


「今日、到着の者もいるからな。本日は以上だ。明日は制服と『テンペスト』を着用して、9時にこの教室に集合する事」


こうして、初日のオリエンテーションは終わった。


♦︎♦︎♦︎


トレーラーハウスは2人1部屋だった。

真ん中が出入り口で両サイドにそれぞれの個室があった。出入り口を含む真ん中はリビングダイニングのようにソファーとテレビが置かれ、端にトイレとシャワーブース、更には簡単な調理ならできそうなミニキッチンまであった。


「ねえ?どう思う?フジワラ=サクラの事」


そう聞いてきたのは同室になったセラフィナ=シルバーフォックスさん。18歳で、11人の中では1番年上になる。


「まだ、何とも」

「そうよね……」


それだけ言って、セラフィナさんはシャワーの後の髪を乾かす続きに戻った。


ドライヤーの音が部屋に響く。

わたしは少しだけテレビのボリュームを上げた。


しばらくして彼女が鏡越しにこちらを見た。


「でも私は信じてない」

「何を?」

「魔法が使えないって話」


思わず顔を上げる。


「だって変じゃない?」


セラフィナさんは肩をすくめた。


「ワールドカップ優勝者よ?それも史上最年少クラスの」

「そうですね」

「そんな子を副教官にする?」


確かに。


魔法が使えないなら、もっと他に適任者がいる気もする。


「それに」


セラフィナさんは言葉を続ける。


「彼女、おむつしてた。私と同じく」


セラフィナさんはシャワー上がりで薄着だ。部屋着の少しタイトなワンピースから嫌でも身体のシルエットが浮かび、それが嘘ではない事を教えてくれる。


「魔力を取り込む時、どうしても大気中の水分を体内に取り込んでしまうの。その結果、常人を上回る異常な尿が生成される」


セラフィナさんがそう説明した。


「だから、彼女もまた魔力を取り込んでいるんじゃないかって思ってる」


その時の私は知らなかった。


セラフィナさんの推理が正しかった事も。

そして、日本側の説明もまた間違っていなかった事も。

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