表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

227/232

第158話「道化師」

長崎県大村市、『月島』。


「ようこそ日本へ。あなた達を訓練する指導教官の高野舞よ。よろしく。そして、11人もいると目が届かない事もある。だから副教官がいます」


そう紹介されて、私はみんなの前に出る。


「藤原さくらです。よろしくお願いします」

「知っての通り、彼女は今年2月に行われた。魔法少女ワールドカップの優勝者よ。けれど今は魔法が使えない。空を飛ぶ事や身体強化すらね。だから任務ではなく育成で力になる事にしたそうよ」


私の簡単な自己紹介と舞先生の補足で、生徒達は背筋が伸びた。


私が一礼する。

留学生達の視線が刺さった。


疑問、困惑、同情ーー


その全てを受け入れる。

それが私の今日の仕事だから。


♦︎♦︎♦︎


2週間前、水戸市近郊。


「『チーム・スプリング』現着!」


あやめちゃんが『テンペスト』で報告する。


『本部了解。引退魔法少女の報告だと、老人ホーム内に数体のビーストが発生した模様。移動中に増えた可能性もある。十分注意されたし。以上』


「あやめ。南部の新館に逃げられるやつは逃げてるらしい。そっちの記憶操作を頼む。ビーストはこっちで引き受ける」

「ワカバちゃん、OKよ」


軽い業務連絡の裏で、テレパシーによって別の会話が行われている。


(『ここ、理想的な現場だな』)

(『そうね。出来るだけ強力な魔石をお願いね』)

(『ああ、ビーストの数を1体少なく報告して、魔石の数を誤魔化す。さくらのためだもんな!』)


『テンペスト』は常時本部と音声がつながっている。それでこんな回りくどい方法が取られた。


あやめちゃんとワカバちゃんによって難なくこの現場でのビースト発生はおさまった。


その夜。


(『さくらちゃん、この魔石を使って見て』)


あやめちゃんから5cm程のビー玉のようなものが差し出される。何度となく見てきた、魔石だった。


受け取った瞬間、いつも通りの感覚が戻る。身体強化が起こり、身体が軽くなる。


特に意識せずともフワリと宙に浮く。


(『つまり、「使えなくなった」訳じゃなく「使えないようにされた」。それが真相ね)


あやめちゃんがこちらを真顔で見る。


その時だった。寮の玄関扉が開き、誰かが入ってくる。


「……やっぱりね」


部屋に入るなり、ため息混じりに言ったのはゆりあ大臣だった。


「大臣。説明してもらっても?」


あやめちゃんが普段のおっとりさを引っ込めて質問する。


一瞬だけ遅れて理解する。


そうか、これが出来るのは限られる。ゆりあ大臣か学園の上層部だ。どちらにせよ、ゆりあ大臣につながる。


「辻あやめちゃんは6年目か……さすがに気づくわね。いいわ、話してあげる。だから、ワカバちゃん、影から狙うのはやめなさい」


こちらを向くゆりあ大臣の背中側、天井からふわりとワカバちゃんが着地する。


「知った以上、あなた達にも協力してもらう事になる。どうする?」

「私は知りたいです」


私の言葉にあやめちゃんもワカバちゃんもうなづく。


「今、さくらちゃんが装着している『テンペスト』には『魔石』が入っていないわ」


前にテンペストが壊れた時と一緒だ。これでは魔法は使えない。


「さくらちゃんはワールドカップでやり過ぎた。『欧州3大魔女』の魔法をコピーしてみせて、決勝戦すらあの広井夏樹を『誰にでも再現可能』な形で倒した。だから政府はあなたの一時的『凍結』を決めた」


そこに関しては納得はできないけれど、理解できる。核兵器だって、ミサイルだって『持っているけれど使わない』のは選択としてある。


「ところが今度は、あなたの『凍結』が原因でテロ未遂が起きた。しかも、この後も起こる可能性がある。だから『凍結解除』を政府は決定した」

「テロ未遂ってユウちゃんがやった事ですか?」


あやめちゃんが聞く。

私が眠っている間に何があったのだろう。


「端的に言えばそうよ。椎葉ユウが政府関係者の殺害未遂を起こして、東京タワーも倒そうとした。だから国外に追放処分となった」


知らなかった。

ユウ君がそこまで思いつめたなんて。


「勘違いしないで。ずっと国外って訳ではないわ。別のテロ事件の捜査で1年のレンタルよ。私を出し抜いてテロを起こせる才能を放っておく訳ないわ」


ホッとする。


「さて、知った以上、もう後戻りはできないわ。さくらちゃんには『道化師』になってもらう。世界中にあなたが『魔法を使えない』とアピールしてもらう事になる」


♦︎♦︎♦︎


現在。長崎県・月島。


寮代わりのトレーラーハウスがグラウンド脇に並ぶ。その奥に体育館みたいな建物がある。いや、この島が現役だった時は小・中学校の体育館だった建物で、教官用の宿舎や食堂に改修されている。


私の副教官としての役割は2つ。

文字通りに『副教官』として、ここにいる生徒を導く事。


そして、もう1つは『道化師』としてここにいる世界中の魔法少女を欺く事だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ