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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

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第155話「ルマニアの花嫁」

アジア・ルマニア共和国、首都・ルピアール。中心部の教会。


「ゆりあさん、私には本当の事、教えてくれてもよくない?」


本日の主役と言っても過言ではない、花嫁である岸本梓が佐藤ゆりあに言った。


今日は梓の結婚式。両親がいない梓とヴァージンロードを歩くのは、後見人であるゆりあである。


「何の事?」


姿見で自分の服を確認しながら、ゆりあは聞き返した。


「さくらちゃんの事よ。『魔法が使えない』んじゃない。『魔法が使えない』ように『してる』んでしょ?」

「血のつながりはなくても、あなたは私の娘ね。隠し事はできないわね」


いたずらっぽく、ゆりあが笑う。

『欧州3大魔女』に堂々と嘘をついたのだ。


「理由はやっぱり、『こだわり』?」

「『信念』と言って欲しいわ。『他国』の命令で『日本人』が人を殺す。これが私には許容できない。その結果、『世界大戦』になってもね」


控え室に案内係がやって来て、そこで会話が中断される。


♦︎♦︎♦︎


『美の国』植民地時代に建設された教会。ゴシック建築がふんだんに取り入れられており、2019年のノートルダム大聖堂の火災からの復旧の際には、関係者が見学に来る程の規模・精巧さであった。


参列者は各国の王族・国家元首やその代理であり、その全員が梓の入場に困惑する。


梓の衣装が真っ黒だったからだ。


ウェディングドレスとしては申し分ないデザインで、ところどころに縫い付けられた宝石が光を反射して輝く。


パイプオルガンの演奏と共に、ヴァージンロードをゆりあと歩く。


新郎であるユーリ=シトロエン大統領は至って普通。白のタキシードである。


聖堂の中央でエスコートが変わった瞬間、今度は全員が度肝を抜かれた。


梓の衣装が変わったのだ。

真っ白なウェディングドレスに。


一拍遅れで拍手が巻き起こる。


不粋を承知でタネ明かしをすると、魔法でドレスを転移しただけだ。『魔法』を世間に知られない、ギリギリの演出。後に映像を見た舞台や映画の関係者が、演出家を探そうとしては騒ぎを起こす事になる。それぐらい誰も触ってもいないのに、衣装が変わる演出には結婚式を見慣れた参列者も大いに衝撃を受けた。


拍手で周囲に聞かれないのを逆手にとって、ユーリが梓の耳元で囁く。


「アズサは精神感応も使えたんだな。みんな見惚れているよ。もちろん、俺も」

「もう!バカ……」


大いに照れた梓を周囲が和やかに笑う。


そして歩みは祭壇前へとたどり着いた。


その時だった。


「妬ましいねぇ〜。『わたし』より綺麗なドレスや靴、宝石で着飾るなんてさ」


聖堂内にその声が響く。


「『ルマニアの花嫁』!いゃ『混沌の魔女』!その命、いただくわぁ〜!そのドレスや靴と一緒にねぇ〜!」


新郎新婦の白い衣装をステンドグラスを通した光がカラフルに染めている。


いや、それ以上に梓は怒りに染まっていた。


声の主はイルアナ=マルコシアス。『サン・ラザロ国』元・大統領夫人。いや『現大統領の母』。そんな女が礼拝堂の入り口に立っていた。


だが、イルアナの威勢が良かったのはここまでだった。


一瞬、視界が真っ赤になる。


目の前にステンドグラスの赤のガラスが目の前に現れたからだった。


「『鉄の(バタフライ・オブ・アイアン)』!」


カッターの刃のようなプレートが梓を襲うが、そちらに目を向けた瞬間、刃が消える。


「警告よ。その場に止まって、大人しく情報だけ渡しなさい」


怒りに身を任せたりしない。むしろ笑顔を向けられているのに恐怖を憶えるような梓の笑みがイルアナを貫く。


「『ピープル・パワー・レボリューション』!」


今度は参列した王族や政府要人がふわりと浮いた。


だが、それに構わず梓が瞬間移動で距離を詰める。


その恐怖にイルアナは背を向けて走ろうとする。


その時。

激痛と違和感。たまらずにイルアナが転倒する。


「あーあ、3000足の靴もこれで履けないわね」


足首から下がない。梓の言葉の意味を知る。


「さあ、大人しくしてもらうわ」


次の瞬間、梓のみぞおちに鋭い痛みが走る。

マリア=ティモシェンコがぶつかって来たのだった。


混乱しながらもイルアナを見る。

泡を吹いて倒れている。タイトなドレスに身を包んでいたそれは、胸が上下していない事で呼吸がないとわかる。


「多分、失敗したから『消された』のよ。硫化水素よ。あなたも危なかった」


マリアがそう言った。

ここにいるのは不思議ではない。彼女も招待者だからだ。


♦︎♦︎♦︎


『人民の国』東部、某島。


「イルアナ=マルコシアスがやられたわね」

「クク……奴は『四天王』でも最弱の存在。『四天王』の面汚しよ」

「テンプレすぎない?」


エレン=チャウシェと紅青のやりとりにエマ=ブラウンがツッコミを入れる。


「さて、これで我々は『世界』に認知される事になった訳だが?」


エマが気を取り直して言う。


「ええ、少なくとも『欧州3大魔女』は気づいたでしょう」

「問題ないわ。ここが発見されなければいいだけよ。その間に『訓練』ができる。『計画』が進められる」


紅青がそう答えた。


「『第3次世界大戦』か。今度は私達が起こすのよね?」


エレンがそう聞いた。


「そうよ。過去2回は『男』が起こした。今回は『女』の番であるべきよ」


エマがそう静かに告げた。

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