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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第6章「勃発?第3次世界大戦」編

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第150話「復活の高野舞」

東京都千代田区霞ヶ関、文部科学大臣室。


『正午のニュースです。 来月、東アジアの「ルマニア共和国」のユーリ・シトロエン大統領と結婚を控える日本人の岸本梓氏が、大統領特使として来日し、佐藤ゆりあ文部科学大臣と会談しました。

ルマニア共和国は、昨年まで深刻なハイパーインフレに苦しんでおり、今回の来日は国内の「教育分野への支援要請」が主な目的です』


佐藤ゆりあと岸本梓がテレビのニュースを見ていた。


「一躍、『時の人』ね。ネットニュースにもなっていたわよ」


ゆりあが笑って言う。関係者以外は締め出され、外務省職員やSPは困惑しているだろう。


いや、困惑しているのは大臣室の中にもいた。


椎葉ユウと斉藤フミである。


そちらの方をチラリと見て、梓が口を開く。


「やめてよ。この2人のために『正規ルート』で来るしかなかったのよ。それでこの2人が『支援内容』で間違いないの?」


ゆりあがコーヒーカップを口から離して言った。


「ええ、1人が戦闘向き、もう1人が工作員向きよ」


その時、1人の少女が声を上げる。


「こんなの人身売買じゃない!」


この部屋は防音で叫ばれても痛くも痒くもない。


「光栄に思うべきね。ゆりあさんに支払う対価はコレよーー」


そう言って、梓は黒く濁った石を3つポケットから取り出す。


「ーー『古代魔石』よ。前回の取引では3つで50億円だった。つまりはあなた達にその価値をゆりあさんも私も見出している」


そして今度はハンドバッグから冊子を取り出す。それにボールペンで数字を書き込んでいく。


「あなた達にも『無料で』なんて言ってないわ。コレ。二刀流のメジャーリーガーには負けるけど」


小切手だった。10億円と記載されている。


「先付けよ。来年の今日。つまりは1年の期限付き出向。しかも臨時ボーナス付き」


ニヤリと梓が笑う。フミはそれを受け取り、少し後ろに下がった。


「交渉成立ね。あなたは?」


ユウも黙って受け取った。


「それじゃ、明日。羽田でね」


そう言って2人を部屋から追い出す。

入れ代わりに2人の女性が入って来る。


1人は車椅子に乗った女性で、もう1人が幼い見た目でその女性の車椅子を押している。


「高野先生!」


先程まで冷静沈着だった梓はどこにもいない。座っていた応接椅子から立ち上がり、車椅子の女性の方へ近づく。


「梓ちゃんも止めてよ。舞先生ったら、危険な賭けに出ようとしてるの!」


後ろで車椅子を押す水田マリがそう言った。


車椅子に乗っている女性は高野舞。公安所属だが、『天才を作る天才』であった。代表作が目の前にいる岸本梓と現在は行方不明の広井夏樹である。


「こん…な…、から、だじゃ……なにも…で…き……ない」


必死に声を紡ぐ。こうなった理由は昨年12月1日の大阪支部襲撃事件である。そこで舞は長田洋子の銃撃を受け1ヶ月も生死の境を彷徨い、ここまで回復していた。いや、ここまでの回復が現代医学の限界だった。


この場の全員の視線が舞に集まる中で、舞はゆっくりと立ち上がるために杖を車椅子の脇から取り出した。


刹那。


「パン!」という乾いた音と共に杖の先端から何かが発射され、大臣席の机の上に置かれたままだった古代魔石の1つに命中した。それが割れ、微細な粉末が空気中に漂う。


高野舞はそれを大きく呼吸をして吸い込む。


「……まさか……嘘でしょ?」


残された3人には、舞がどうなるかなど身に沁みてわかっている。


魔力中毒。


たちまち、舞の身体から霧のような黒い煙が出てくる。


だが。


「『浄化』!」


梓が舞から魔力を吸収拡散させる『浄化』を行う事で急性中毒で『ビースト化』するのは防がれた。


「もう!しょうがないわね!」


頭をガシガシと掻きながら、ゆりあが机からスマートウォッチを取り出す。


『テンペスト』。魔法少女や魔女が魔法を行使するための触媒である魔石が内蔵されたスマートウォッチである。厳密には市販されているものが『テンペスト』で、魔法少女用が『テンペスト・カスタム』であるが今はどうでもいい。


舞にそれを装着すると青白く発光した。


「ふぅ〜。『賭け』に勝ったわ」


何事もなかったかのように立ち、声を出す高野舞。


「魔法少女……魔法中年……魔女!はダメか……」


梓が独り言のように呟く。


「引退魔法少女扱いよ。言っとくけど」


ゆりあがそう言った。


「でも、どうして?」


梓が不思議そうに言った。


「長田洋子が率いた『シークレット・ヘブン』の本拠地だった、『汐留インターシティー』をあの事件の後、捜索したの。そしたら、コレが残っていたわ」


スマホを操作して再生する。


『結論。魔法少女は『作れる』。生まれ持っての性別が女性の場合は魔石粉末で。1/2の確率。男性の場合は先程の手術によって。確率は要検証。現状5体目で初成功』


「長田洋子のボイスメモよ。こうして『シークレット・ヘブン』では『人工的』に魔法少女を生み出した。さっきの2人もそう。ただし、女性でも1/2の確率よ。舞先生はその確率に『賭けた』」

「そして私は見事に50%の壁を越え、身体強化で一気に回復できたって訳よ。別に成人女性が魔法少女化するのは世界では珍しくない。『欧州3大魔女』の1人、『2代目・鉄の女』ユンゲラ=メルケンも大学生時代に覚醒したらしいし」


ゆりあの説明に舞が割って入った。


「さて、手始めに行方不明の夏樹ちゃんの『スペア』でも作りましょうか?」


ニッコリとそして、しっかりと舞は笑った。

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