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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第148話「2つの塔」

「……役目を終えても残るわ。長田洋子も宮本孝子も東京タワーもね」


それを聞いてユウが笑う。


「『スクラップ・アンド・ビルド』で成り上がってきた国じゃないか?」


その時だった。


「それを決めるのは『政治家』の仕事だな」


初老の低い声。山岡幹事長のものだった。

さらにそれだけではない。


「全く、厄介な事を考えたものね。伊都子ちゃんが阻止しなかったら西側に倒壊していたじゃない。『北の大国』の大使館が巻き込まれでもしたら、あわや国際問題よ」


佐藤ゆりあの声だった。

2人は同じホウキに乗って東京タワーの上に降りたつ。


「さて、ユウちゃん。何か申し開きはあるかしら?」


ゆりあが腕を組んで聞く。


「ありません。どんな罰でも受け入れます」

「へぇ〜。それが『さくらちゃんの再封印』でも?」


底意地が悪そうにゆりあが笑って言う。


「佐藤大臣、そのくらいにしておきたまえ。いくら『出し抜かれた』のが悔しいとしても。だ」


笑ってたしなめる山岡幹事長はユウによって、生死の境を彷徨っている。


「山岡幹事長、お加減は…?」


流石に聞きにくそうにユウが言った。


「悪運だよ。前田医師によれば年寄りで胃酸の濃度が薄かったのが幸いしたらしい」

「流石、日本初の『スタンピート』から生きて帰った人間よね?」


少しゆりあが茶化す。

だが、「こほん」と咳払いをして一度仕切り直して言う。


「さて、冗談はこれくらいにして、椎葉ユウ。あなたには国外出向を命じます。場所は東アジア、ルマニア共和国」


ユウからすれば『甘い』ような気もしている。


「私から補足させてもらうよ。今回の件、実はあの上田理子。いや、長田洋子も成し得なかった、『佐藤ゆりあを出し抜く』という偉業をやってのけた。そこを加味してだ」


山岡幹事長が補足し、一拍置く。


「君のレポート通り、これから『長田洋子の再来』があるかもしれない。その時に優秀な『模倣犯』は温存しておきたい」

「了承しました」


ユウが即答する。『目的』は達成したのだ、異論はなかった。


「伊都子ちゃんもありがとう。あなたを指名してよかったわ」


黙って聞いていた伊都子にゆりあが声をかける。


「……いえ」


短くそれだけ伊都子が言った。


「『世界調和協会』はこれからもあなたが導いて。無論、そこで得た利益はあなたのもの。こちらとしては『カルト』に転ばなければいいだけだから」

「そうか、『宗教』は文部科学省の管轄だからな」


ゆりあの言葉に山岡幹事長が重ねて言う。


雑談が続いたその時だった。


「雪ね」


ヒラリと粉雪が舞っている。

11月の東京にしては珍しい早い初雪。


「佐藤大臣、帰ろう。年寄りにこの寒風は堪える」

「わかりました。2人とも、風邪には気をつけてね」


そう言ってホウキにまたがる。


「東京タワーも還暦を越えたか。昭和はこれが未来だったーー」


誰に言うでもなく、ゆりあの後ろに乗った山岡幹事長が言った。


「ーー新しいものが出来ても残り続ける」


そういって遥か先に輝くスカイツリーを眺める。


4人でしばらくその灯りを見つめた。


やがて。


「行きます」


最初に動いたのはユウだった。

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