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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第132話「昭和18年の魔法少女」

昭和18年(1943年)、茨城県霞ヶ浦。


「上田中尉!新入りだ!」


『撫子少女訓練小隊』の司令官、今田幸次郎少佐がワタシに言った。傍らには15歳前後の少女がいた。


「自己紹介!」


今田少佐の言葉にビクつきながらも反応する。


「本日より配属になりました、北原理恵です。お願いします」


この子が後に上田理子の母親となる、北原理恵との初対面だった。


ーーー


「上田先輩、この隊って何をする隊なんですか?」


理恵が尋ねた。


「軍隊なんだから決まってるでしょ。戦うのよ。それと私は『上田中尉』よ。軍隊なんだから」


そう言ってワタシは理恵にホウキを渡す。


「それとコレね」


魔石の嵌った指輪。

魔法を使うために必要なものだ。


「さあ、まずは飛行訓練よ」

「え!ええぇ?」


昭和18年、8月。

海軍内部では戦況の劣勢が明らかであり、それを『魔法』で補おうとした。


それが『撫子少女訓練小隊』である。


♦︎♦︎♦︎


2ヶ月後。


「北原理恵の『能力向上』はどうだ?」


今田少佐がワタシに聞いた。


「現状で100キロ。『千里眼』には程遠いわ」

「1600キロは無理でも、『250里眼』は欲しいところだな」


魔法少女は飛行・身体強化とは別に固有魔法を持つ。ワタシは『加速』で北原理恵は『千里眼』だった。


「先輩!来ます!B25!21機!」

「距離は?」

「75キロ」

「了解。迎撃するわ!」


旭日旗の下、旗竿の押さえとして人間の頭部程の石が複数置かれている。


「角度は?」

「このまま現状で約10度」

「30度まで引きつける。合図、お願い」

「後15秒……10、9、8、7、6」


5

4


「『加速』!」


10個の石が「シュ!」と音を立てて消える。


2


1


「着弾!墜落4、損傷3……旋回を確認しました!」


理恵の声が弾む。


「2人ともよくやった。今日も帝都を守ったな!」


後ろで見ていた今田少佐も言った。


この時、誰も知らなかった。

はしゃぐ北原理恵のお腹に「理子」がすでにいる事、そしてワタシは今田少佐こそ、理子の父親だと思っている。他に男性がいなかったからだ。


そして、生まれる前から理子は『魔法』に触れて大きくなっていった。


翌年の7月、理子が生まれた。

母親である『理恵』から1文字とっただけの簡単な名前だった。理恵は尋常小学校も碌に通っておらず、そうなったのだった。


そして翌月には、『撫子少女訓練小隊』が『なでしこ少女小隊』として正式発足した。


同時に、隊の半分が沖縄防衛戦に投入される事になり、理恵は理子を置いたまま帰ってこなかった。ワタシが理子の父親だと思っている今田少佐も、一緒に。


ワタシは帝都防衛のために残された。


しかしーー


「またB29です!高度が高すぎて応戦できません!」


ワタシも同じだった。

『自由の国』はその圧倒的な技術力、工業力を持って日本を空襲し続け、軒並み焼け野原になった。


その後は知っての通り、昭和20年8月に敗戦した。玉音放送を聴きながら、理子は無邪気に笑っていた。今田少佐が残していった、訓練用の木刀にまたがってフワリと宙を飛んでいた。


(この子は隠さなければ!)


そう思った。じきに『自由の国』がやってくる。彼らに発見されてはいけないと『上田理子』として、戸籍原本が焼けた川崎で私の実子として届けを出した。


この日から、ワタシは『怪物』の母になった。

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