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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第131話「最後の魔法少女」

2ヶ月前、東京都港区、羽田国際空港第2ターミナル。


「さくらちゃんはメディカルチェックね。決勝まで『魔力』をフル活用したのだから、キチンと1度見てもらいましょう」


連合王国で行われた『魔法少女ワールドカップ』の後、帰国してすぐにさくらが言われた。


(ここで止めるべきだった)


後悔が襲う。しかし、無情にも現実の通りに夢は続いていく。


東京都文京区明王義塾学園、魔法少女用医務室。


「さくらちゃん、CT撮るから『テンペスト』は外してね」


廊下で待つボクにもその声は届いた。


ーーそして、それは起こった。


「『強制睡眠』!」


ゆりあ大臣の声。


それから、さくらは眠り続けている。


♦︎♦︎♦︎


現在、東京都渋谷区、某ホテル。

夢から醒める。

強烈に『夢を見た事』を覚えていて、

心臓が跳ね続け、呼吸も浅い。


(そうだ。ボクはーー)


守るべき人は、もういない。


いや——


最初から、

守れてなんていなかったのかもしれない。


どうやら照明もテレビもつけたまま眠ったらしい。女性アナウンサーの天気予報を告げる明るい声がやけに耳についた。


ミネラルウォーターをホテルの備品のポットにセットして、軽くシャワーを浴びる。上がる頃にはお湯ができているのでアメニティーのコーヒーを淹れ、スマホをタップする。


(伊都子さん、凄いな。もうトップに会えたのか……)


化粧水と日焼け止めを塗る。日に焼けるとリサがうるさい。それにもう習慣になりつつあった。


ホテルを出て、湘南新宿ラインで大宮駅まで出てから、山形新幹線に乗る。ボクは大きなターミナル駅が苦手だ。高確率で迷う。だから東京駅を避けて大宮駅を使う事にした。


♦︎♦︎♦︎


山形県天童市、特別養護老人ホーム『天童高原の里』


「面会を予約していました、椎葉ユウと申します」


インターホンに向かって言うと、職員が丁寧に対応してくれる。「職員のみなさんでどうぞ」と手土産を渡しておく。下手をすると数回、来なければいけないかもしれないからだ。


「誰だい、アンタは?」


そう言って談話室に入ってきたのはベリーショートの高齢女性だった。


「はじめまして、椎葉ユウと申します。上田ヨネさん」

「ーーアンタ、『公安』か『魔法少女』か『どっちも』だね?」


さすがだと思ってしまう。

目の前にいるのは、長田さんの母親ーー

いや、『長田洋子』は公安での偽名にあたるから、『上田理子』の『戸籍上』の母親だった。


そして、最後の『戦前世代』の魔法少女でもあった。


「理子の事だね?誰かに聞かれても困る。喫煙所に行こう」


そう言って、庭に設置された東屋まで歩く。ヨネさんは今年で3桁の年齢になる割にしっかりとした足取りでボクを案内した。


「それで理子の何が聞きたい?」


どこからか煙草を出して火をつけた。


「上田理子が長田洋子になるまでです」


それを聞いて吹き出すように笑った。煙草の煙が一緒に出ていた。


「はは、それはワタシにしか聞けないね。いいだろう」


そう言って、また笑った。


「まずは上田理子はどこにもいない。そこから理解する必要ある……」

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