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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第127話「一歩」

東京都渋谷区渋谷『蛍光出版社』。


長田洋子は、42人を消した。


その結果として、『魔石』が生まれ、『テンペスト・レプリカ』が作られた。


その事実に、ボクは思わず笑ってしまう。


善悪で言えば、もちろん『悪』だ。

でも——

もしそれで、1億2000万の日本国民が救われるとしたら?


ほんの一瞬だけ、考えてしまった。


ボクはその考えを振り払うように、口を開いた。


「でもこの事件も長田洋子こと、上田理子か『シークレット・ヘブン』がやった事で、『世界調和協会』や『医療法人・ハピネス会』は無関係の可能性が高い。ただ、42人も消されて誰も騒いでないって事は『選別』された可能性がある」

「そうね。その可能性は高い。しかも『世界調和協会』は家庭環境を知っている」


ボク達の間に、言葉にしづらい沈黙が落ちた。それを破るように田中警視が聞いた。


「長田洋子ってどんな人だったの?」

「簡単に言うと、……『小学校の先生』かな?」


第1印象からクリスマスイブのあの事件の朝まで、ずっとそんな感じだった。


田中警視は表情で補足を待っているとわかる。


「中学や高校みたいに教科じゃなくて、生活も体調も全部見る感じ」

「あー、下手な母親より『お母さん』って感じの?」

「そうそう!そして怒らせると怖い」


自分で望んだけれど、ある日目が覚めたら性転換が終わっている。平気な顔で『人を殺して来い』と命じる。ボクが出会う前にはさっき聞いた42人を無きものにしている。


正気を保ったまま、狂った人間。

ーーボクはそう思った。


「ふふ……お義父さんと同じ顔してるわ」

「山岡幹事長と?」

「そうよ。お義母さんが言っていたわ。『だから子供のできない身体の私と結婚した』って」


田中警視は窓の外、ビルの隙間から見える空に視線を移した。


「気づいていると思うけど、山岡龍馬衆議院議員は公安OBよ。その活動初期、長田洋子とコンビを組んでいたの『森恒一夫』と言う偽名で」

「森恒一夫・・・まさか、あの。『連帯赤軍事件』?」


だとすれば、山岡幹事長の長田さんへの『執着』も納得できる。


♦︎♦︎♦︎


千葉県某町


「椎葉さん、生活家電持ってきたわ。使って」


都留留美子が伊都子の部屋に上がりながら言った。


「近所のお子さんが地方の大学で1人暮らししていた時に使っていたものなの」


そうして留美子の手により、ある程度、生活ができるようにアパートが整えられていく。


「『催眠』!」


据えつけたばかりのベッドに、留美子がゆっくりと沈んでいく。


「……特段、普通の人生ね」


昨日会ったばかりだが、魔法で『優先度』を変更していく。

これで『古い付き合い』と留美子が認識するようになる。


「……さあ、『協会』へ案内してもらいましょうか」


静かに伊都子がつぶやいた。

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