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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第126話「潜入調査」

千葉県某町役場。


「そう。旦那さんがDVを。安心して、そういう人達を支える団体があるの」


談話スペースでミネラルウォーターを片手に、20代の女性の話を聞く。


「住むところは?決まってるの?」

「……はい。でも保証人がいないと保証会社は私の場合、日雇い派遣で審査、通らなくて」


ポツポツと言った感じで話す20代女性を、その中年女性はゆっくりと整理するようにさらに聞く。


「ごめんなさい。……最初に聞いてなければいけない事だったわ。お名前は」

「……椎葉ユウです」

「ユウさんね。ワタシ、これでもこの町の議員なの。これが名刺。都留留美子よ」


ユウと名乗った女性は名刺を受け取る。


「『世界調和協会』って団体があるの。まあ、ワタシもお世話になったの。今回はワタシがチカラになってあげる」


そういって、都留議員は笑った。


♦︎♦︎♦︎


「……入れたわ」


スマホで連絡を取る。


『お疲れ様、伊都子さん。それで首尾は?』


電話の向こうは本物の椎葉ユウ。


「……『椎葉ユウ』って偽名に引っかかるけど、大丈夫。都留留美子に近づけたわ」

『それじゃあ、引き続き頼むね』

「……了解」


都留留美子に保証人になってもらい、アパートで横になる。


「……静かで、いいところだわ」


家具も何もない、空のアパートの一室でつぶやいた。


♦︎♦︎♦︎


同じ頃。渋谷区渋谷、『蛍光出版社』。


伊都子さんとの通話を切る。


「田中管理官、1つ質問いいですか?」


資料に目を通していた、田中警視が顔をあげる。


「なに?」

「『世界調和協会』、調べれば調べる程、『善意の組織』じゃないですか?長田洋子率いる『シークレット・ヘブン』に資金提供していた以外に何か違法性はあるんですか?」


田中警視が笑顔で言った。


「『ない』わ。……だから厄介なのよ。これを見て」


そう言って、1冊のファイルをキャビネットから取り出した。


「『医療法人・ハピネス会 財務諸表』?」


ボクはそれに目を通していく。


「なんだよ……これ?」

「ハピネス会は『世界調和協会』の構成組織の一部よ。気持ち悪いでしょ?」

「人件費が異様に安い。人は雇っているみたいなのに」

「そう。介護っていうのは人手がかかるビジネスなのにね?それが他の1/3なら当然ボロ儲けよ。ここ20年で広島から伊豆・蓼科・軽井沢・由布院と観光地に高級老人ホームを運営してる」


その説明に、今度はボクが続ける


「そこに『世界調和協会の生活保護受給者』を送り込んで人件費を浮かしている。ボランティア扱いにすれば、違法にはならない」


『世界調和協会』の代表が宮本孝子に変わった後、このハピネス会は飛躍的に成長している。


「もう1つ、これは『表沙汰』にできない事があるの。『ハピネス会』は伊豆に老人ホームがあるの、そこで昨年7月、『入居者消失』事件が起こってる」

「ひょっとして、『魔法少女』絡み?」

「カンがいいわね。これは確証がないけれど、入居者を殺していたら、死体の運搬で相当目立つ。でも『魔石』なら?」


背筋がゾクっとした。一般人に魔石の微細な粉末を吸引させると『魔力中毒』になり、その後ビースト化する。それを倒すと『魔石』が得られる。そこに『死体』は残らない。


ずっと疑問だった。ボクが『シークレット・ヘブン』にいた時、魔法を使うために渡されたのが『テンペスト・レプリカ』だった。当然、内部に『魔石』が内蔵されていて、魔法が使えた。


では、その『魔石』はどこから来たのだろう?

ーー考えたくなかった。


ボクは長田さんの『狂気』に触れた気がした。


「表向きは台風避難の際の『事故』として処理されたわ。犠牲者は42名。『あのカルト教団』の記録をそれだけで更新しているわ」


その言葉にボクは少しだけ笑ってしまった。

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