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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第122話「ブリリアント・カット」

半年前、12月2日。青森県弘前市。


昼間のボク以外誰もいない自宅。


突然、インターホンが鳴った。


「椎葉ユウ君だよね?お話があるの、ちょっといい?」


無視しようとしたボクにその声は届いてしまう。


「さくらちゃん。探せるかもよ?もう名前が変わっているかもだけど」


――疑う理由は、いくらでもあった。


それでも、手は勝手に動いた。

ガチャリとロックを解除する。


「はじめまして。私の名前は長田洋子」


第一印象は『小学校の先生みたいな人』だった。


♦︎♦︎♦︎


さらに半年前、修学旅行2日目、東京都新宿区、新宿中央公園。


視界が真っ赤に染まり、自分の身体から黒い水蒸気のようなものが滲み出る。


「ユウ君?!」


さくらの声だった。


(近寄るな!さくらまで巻き込んでしまう!)


内側から溢れ出そうな『何か』を必死に抑える。


だが。


視界の中で、佐藤ゆりあ大臣とさくらが話している。


「あなたには素質がある。あの男の子の変化に気がついたのだから。あれは魔力を体内に貯め込んだ状態。『魔力中毒者』よ。放っておくと『ビースト』になる。これは『テンペスト』。装着しなさい」

「えっ、ちょ、ちょっと待って!?私、なんの訓練もしてないし、魔法とか──」

「うるさいわね。……いいから着けなさい。時間がないの」


そうして、さくらは魔法少女になりーー


「『浄化』!」


ーーボクは『助けられた』。


♦︎♦︎♦︎


再び半年前、12月2日。青森県弘前市。


「思いだせた?」

「……はい。ハッキリと」


日中の誰もいない公園で2人でベンチに座っている。カイロの代わりに、長田さんが買ってくれた缶コーヒーが指先を温めていく。


「この国は『魔法少女』を管理してる。それは過去、魔法少女が別の国に拉致されたり、理解されずに隔離された歴史があるから」


(それがこの世界の『裏側』って事か……)


そう思ったボクを長田さんが否定する。


「違うわ。世界は『表と裏』なんて薄っぺらいものじゃないわ。経済的、合理的、政治的……見方の数だけ形は変わるわ。あなたはあなたの『正解』を見つければいい」


やっぱり、学校の先生みたいな人だった。


「あなたの正解を見つけに東京に来ない?『シークレット・ヘブン』ってグループなんだけど」

「そこなら、さくらを探せますか?」

「さっきも言ったわ。『あなた次第』よ」


その日のうちに、ボクは家を出た。


♦︎♦︎♦︎


現在、東北自動車道。車中。


「ここだけの極秘情報よ。ネタ元は言えない。すぐに返して」


そう言って田中警視が資料を渡す。


(これって、口座情報!……え?おかしいだろ。こんなの!)


「ええ、上田理子こと、長田洋子は1円も自己資金を使っていない」


田中警視がボクの思考を読んだように言った。

可能性は2つ。


「『使いたくても使えなかった』か『そもそも使う必要がなかった』か、どっちだと思う?」


(……違う。そうじゃない)


ボクは知ってる。

長田さんとさくらはDNAが同じ人間だって事。


それなら。


あの『長田洋子』はーー

『本物の長田洋子』ではなかったかもしれない。


フロントガラスから見える景色は、いつのまにか東京の高層ビルを映していた。

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