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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第121話「常套手段」

新潟県村上市、とある寺の境内。


銀色のセダンが駐車場に滑り込み、ボク達の真横で止まる。


「その子が犯人?」


現れたのは田中奈津美警視。


「遅かったですね。自白済みです。ただし、『魔法』が絡むので逮捕は不可能です」


ボクが淡々と報告した。


「……わかってて、やったわね?」

「スマホのバッテリーの減りが早いなと、思っただけですよ」


田中警視とボクの会話に伊都子さんが割り込む。


「……展開が早すぎて、理解が追いつかないわ」


その言葉にボクが解説する。


「多分、スマホに盗聴ソフトが入ってる。それでボク達の言動は、筒抜けだっただったんだよ。それとGPS機能も」


そこまでは田中警視もうんうんと聞いていた。ボクの次の言葉で顔色が悪くなる。


「それを確認したくてね。ちょうどいいタイミングでここで事件が起きそうだったから、利用させてもらった」


その言葉でこの場にいる、もう1人が叫んだ。


「『利用した』って何よ?」


犯人の由梨絵さんだ。


「1年前、あなたが殺人事件を起こしたのはあなたの責任だ。でも、今日『事件』を起こそうとしたのは、『誰の』意思だった?」

「そんなの!ワタクシの!……あれ?」


だんだんと自信がなくなったのか、声が小さくなる。


「何だか複雑ね……」


伊都子さんが腕を組んで俯きながら言った。


「簡単に言えば、田中警視が精神感応を含むなんらかの方法で、1年前の事件の犯人である由梨絵さんに今日『事件』を起こさせようと『誘導』した。その結果が今日のこの状況だ」

「……誘導?」


伊都子さんが小さく繰り返す。


「そして、多分ここまでが『試験問題』だったんだろう」


警官としては『アウト』な行為。ただ、公安部では『グレーゾーン』いや、『常套手段』かもしれない。


本来、盗聴もGPSも違法捜査なのだから。


ボクは田中警視の方を向く。

それまでの優しい笑顔が、嘘のように迫力を増す。笑顔の種類が変わったみたいだった。


「あのクソ大臣、半年のヒヨッコをよりにもよって送りやがって!と思っていたけれど」


そこで元の笑顔に戻る。


「想像以上に優秀なのね。僅か2日で、3事件とも解決してみせるなんて」


♦︎♦︎♦︎


銀色のセダンで由梨絵さんが東京に護送されていき、ボク達は田中警視の運転する別の車に乗る。


磐越道から東北自動車道に入り、東京を目指している時だった。


「そういえば、3つ目の事件。素晴らしい『安楽椅子探偵』だったわね。本部に匿名メールで情報提供するなんて」

「だってあの事件のマンション、カメラに映らずに出入りは不可能なんです。玄関に鍵がかかり、不審な出入りがないなら犯人は同じマンションの住民でしょ?」

「だから『付近の合鍵作成可能な店をあたって下さい』だったのね」

「ええ。とりあえず被害者の鍵で施錠して素知らぬ顔で防犯カメラ前を通って鍵屋に行き、合鍵を作る。そしてまた戻れば犯行現場に鍵をかけられる」

「本当に優秀ね。引退後はウチに入らない?」


チラリと横を見る。だけど、伊都子さんは疲れたのか舟を漕いでいる。


「それで『本命』の事件なんですけど……」

「聞きたい?『上田理子』を追ってる」


どこかで聞いた名前だと思った。


「あなた達、魔法少女にはこう言えばいいかしら?『長田洋子、およびシークレット・ヘブン』よ」


ドクンと心臓が跳ねた。


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