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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第5章「公安」編

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第113話「代打、椎葉ユウ」

東京都千代田区霞ヶ関、文部科学省・文部科学大臣室。


魔法少女ワールドカップから1ヶ月が過ぎた日の事。


「夏樹ちゃんの足取り、まだ掴めないの?」


この部屋の主である、文部科学大臣の佐藤ゆりあが言った。

それに対して、答えるのは水田マリ。魔法少女の隠れ家である『明王義塾学園』の理事長であり、ゆりあの右腕として知られた人物である。


「無駄ね。プロコトルごと偽装してる。これでGPSもWi-Fiからも居場所の探知は不可能よ」


結論を言いつつ、やれやれとマリは思う。普段は冷静なゆりあが、こうも取り乱すのは珍しい。それは広井夏樹を0歳からゆりあが育てたせいかもしれない。いわゆる『母性』というものだ。それでも1ヶ月経つのだから落ち着いて欲しいとマリは思う。


「はいはい。仕事は待ってくれませんよ?

特に『公安部』の件、情報は渡さずに人だけよこせって妙な話よね……」


マリは怒りを隠さない。学園理事長なんてポストに就いているが、これで結構人見知りだったりする。


「んー。その件ね。ユウちゃんなんてどう?」

「あら?悪くない線ね。決勝でも意外と解説役をやってたし。でもそれならもう1人、精神感応系をつけたいところね」


意外にも、まともな人選にマリは内心驚く。

元々、超がつく天才なのだ。心配しながらも、脳内では別タスクとして処理したのだろう。


「大阪の陸奥伊都子ちゃんは?」

「大阪支部に精神感応系魔法少女がいなくなるわ。東京から選ぶべきじゃない?」

「そこは引退して暇を持て余してる、沙織ちゃんを半年限定で復帰させましょう」


あっさりと決めていく。

マリも異論はないが確認だけしておく。


「どうしてこの2人?」

「きっと『公安部』は私達まで疑っているのよ。だから情報を渡さない。そして、こちらも情報は渡さない。あの2人なら、まだ魔法少女になって半年ぐらい。そもそも情報を持っていないのよ」


こうして、2人の出向が決まった。


♦︎♦︎♦︎


5日後。

渋谷区渋谷ーー


『渋谷』と言えば、誰もが思い浮かべるあのスクランブル交差点。


そこからJRを挟んだ反対側、宮益坂から1本路地を入ったところに目指す雑居ビルはあった。2階の表示は『蛍光出版』となっている。ここが指示された場所だった。


「ごめんなさいね。こんな場所を指示して」


3・40代ぐらいの女性が僕らを出迎える。

長い髪を団子状にひとまとめにして、紺と青の中間ぐらいの色のスーツ姿で身長が170cmはありそうな長身だった。ヒールのある靴を履いているので余計にそれが目立つ。


「私は田中菜津美、警視よ。ここはまあ、我々『サクラ』の拠点の1つよ。あなた達、中高生を桜田門で『ようこそ』って迎える訳にはいかないからここにしたの」


一見、どこにでもいそうな中年女性。でもボクの直感は違った。そして何より、隣の女の子がそれが正しいと判断している。陸奥伊都子さん、1つ年上の高1。大阪支部の精神感応系統の魔法少女だった。


「……あなた、元魔法少女ね」


伊都子さんが自己紹介もせずにそう言った。

場の空気が一瞬、止まる。


「ーーへえ……優秀ね。これは捜査の方も期待できそうだわ」


そう言って、菜津美さんが意味ありげにわらう。


「自己紹介はいいわ。資料で貰っているし、時間の無駄。こっちが事件の資料」


目の前に週刊少年漫画雑誌ぐらいの厚さのファイルが3冊置かれる。


それを読めという事らしい。


「1週間あげる。それなりにどれかの事件の目星をつけて」


ボクは直感でわかった。


これはウォーミングアップ。

いや、選抜テストだと。

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