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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第38話「首都突入」

ルマニア共和国・サウスルピアール州ミーチェ港。


戦車部隊もAMFGドローンも殲滅し、静寂そのものとなった。1キロ先で戦車の残骸が煙を上げている。


梓が再合流したピエール中将に声をかける。


「残党は任せるわ。旧ソ連製T-72から弾薬を取れば、その戦車だってまだ戦えるはずよ」

「了解です。それと通信は後1時間程で復旧すると北部軍令部経由で情報が入りました」

「それとバーリン軍曹は借りていくわね。ルピアールに戻るけど、向こうにも『ヒロイ型AMFG』がいる可能性が高いもの」


そう言い残して3人は首都・ルピアールへ転移した。


♦︎♦︎♦︎


首都・ルピアール、ルピアール・ヌーヴォー国際空港。


「なぜ、空港なんだ?」


張が言った。


「『ヒロイ型AMFG』があった場合、大統領官邸から身動きできなくなるわ。ここなら、大統領官邸まで10キロ程、転移可能地点で最適だったの」


張もバーリンも納得した様子で、次の行動を決める。


「まずはドローンの有無の確認ですね」


周囲を確認するが、どうやらミーチェ港に全機投入したようで、ドローンは1機たりとも飛んでいなかった。


「……いないわね。とりあえず大統領官邸へ転移しましょうか。『ワープ』!」


伏兵の可能性もあるが、狙撃可能な人員が2人もいるので転移した。


♦︎♦︎♦︎


大統領官邸・大統領執務室。


「状況は?」


転移するなり、梓はユーリ大統領に聞いた。


「予想より悪いぞ。何と少年・少女兵だけだ。引率兵もいなければ、少年兵達にトラックまで運転させてここまで来た」


本来の計画では、引率する兵士を圧倒的に倒し、少年・少女達を解放する手筈だった。


「さすがスィープ将軍、俺の指導官だっただけある。『こうすれば撃てないだろ?』って言われてるみたいだ」


ユーリが付け加えて言う。


「どうする?殺さない程度に痛めつける?」


梓がさも当然のように言った。


「殺さなければ、政権へのダメージは最小限で済むわ」


そこへ。


「それはあまり『冴えたやり方』とは言えないね」


音もなく、突然2人が現れた。


「沙織ちゃん!それにハルちゃんも!」

「アズサ!久しぶり!」


ハルも元気いっぱいに言った。


張は突然現れた2人を警戒する。

それも当然ではある。少年・少女兵1200人に囲まれた状況で、2人の10歳ぐらいに見える少女が転移して来たのだから。


「それで、この状況打破なんだけどさ、こういうのはどう?」


沙織が軽く指を立てる。

その場の空気が、ほんの一瞬だけ変わった。


数秒。


誰も言葉を発さない。

やがて、梓が小さく息を吐く。


「……なるほどね。準備に時間がかかるわね。でも実行は可能か……ユーリ大統領、あなたが決めて」


梓がそう言って、イニシアティブを譲る。


「……そうだな、沙織の案を採用しよう」


沙織は精神感応系の魔法少女である。この手の作戦はお手のものであった。


「それでは、転移可能なハルちゃんと日本に詳しい沙織ちゃん、それからユーリ大統領が買い出し担当ね」

「俺もか?」


ユーリが短く質問した。


「この2人だけだと、1200人分の食材調達は無理よ。小学生に見えるから」

「……なるほどな。じゃあ、いくか!」


その瞬間、3人は転移して消えた。


張は戦慄する。この国に来て2ヶ月、梓は何食わぬ顔で後進を育てていたのだ。改めて、梓の恐ろしさを実感する。


「張大臣」


梓にいきなり指名され、思わずビクッと反応してしまう。


「ここで戦闘指揮をお願い。バーリン軍曹には守備隊と合流。先程の内容を共有して。守備隊は北部軍令部出身だから、あなたの顔は知ってるはずよ」

「岸本補佐官はどうするのだ?」

「決まっているじゃない」


梓は一歩、外へ向かう。


「『元指導官』を止めに行くのよ」


誰に向けたものでもない笑みだった。

ただ、その場にいた全員が理解する。


——この戦いは、もう終わる。


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