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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第34話「反撃開始」

ルマニア共和国・サウスルピアール州ミーチェ港。


梓がヒロイ型AMFG搭載ドローンから逃げ続け、張がそれをAK47落としていく。


「やはり、か」


10機目のドローンを撃墜した張が何かに気づく。


「どうしたの?」


進行方向前方に現れたドローンを回避するために梓のホウキは右に急旋回する。


そのドローンも梓を追跡しようとした瞬間、動きが止まる。


「あれ?」


梓もこれには違和感を覚え、張は引き金を引く。


「おそらくだが…」


言いながら、張はAK47弾倉を交換する。


「飛行用・追跡用のプログラムに癖がある」


端的に結論から言った。


「それでさっきから精度が向上してるの?」

「そうだ。多分だが、量産化の過程で機体バランスが変わっている。それを修正せずにワンオフ機のままのプログラムだから、動き続けたら数分に1回、その場でホバリングする」


その説明で梓は何かを思いつく。


「ホバリング!そうよ!なぜもっと早く思いつかなかったのかしら!」


それからの行動は早かった。


「おい!なぜ距離を取る?」


張の疑問をよそに反転。ピエール率いる戦車隊と合流する。


「ピエール中将。相手の戦車は『使える』?」


指名されたピエールはにこにこと笑って答える。


「厳しいでしょうな。おそらくあれは『エンブレムM1E』か『F型』でしょう。ガスタービンで燃料から特別です。

ところで何か思いついたようですな」

「ええ。巻き込むかもしれないから、港まで後退して。張大臣は討ち漏らしを掃討してほしいわ」

「それは構わんが……何をする気だ?」


言った張がゾクリとする。梓の笑顔に、である。そのまま笑顔のまま梓が答える。


「決まってるじゃない、反撃よ」


ピエールがそこで提案する。


「狙撃戦なら、こいつも連れて行ってください。バーリン軍曹、『聖女』をお守りするのだ」

「は!光栄であります」


バーリン軍曹と呼ばれた兵士は、感激しながらも敬礼した。本来なら戦場で敬礼は厳禁である。相手が上官だと知られるからだ。それすら忘れる程の『信者』という事だろう。


「バーリンはAK47で狙撃戦させたら、北部随一の狙撃の名手です。

では、戦車隊は港の入り口まで後退する!『聖女』に敬礼!」


全員がその場で敬礼して、その後、戦車3両が後退していく。


「さて、『狩り』の時間よ」


それから梓のした事は簡単だった。


「『ワープ』!、『ワープ』!、『ワープ』!、『ワープ』!、『ワープ』!………」


その場で棒立ちになっている張とバーリン軍曹には何が起こっているかわからない。


だが、それは目に見えない形で進行し、魔法のような結果をもたらす。いや、実際に魔法である。


「ドローンが!」


バーリン軍曹が気づく。狙撃の名手とあって視力が良いらしい。AMFGの効果範囲外のため、ドローンとは800m程離れているにも関わらず変化に気づいた。


ドローンが次々と落下していく。


張が何かに気づいた。


「ダウンバーストか!」

「さすが張大臣。空気中から二酸化炭素だけを相手の上空にワープさせたの」


バーリン軍曹にはわからない。


「二酸化炭素?いわゆる炭酸ガスですか?」


戸惑った様子で質問する。


「そうよ。空気より重いの。だから、転移された二酸化炭素は下降気流を作る」


だが、たまたま低空にいたドローンの破壊にまでは至っていない。3機がこちらに向かってくる。


パーン、パーン、ーーと発砲音が3度響く。


張は引き金を引いていない。3機ともバーリン軍曹が撃墜していた。張が驚きの表情でバーリン軍曹を見る。


「素晴らしい腕だな!」


それを見た梓が言う。


「仕上げね。『ワープ』!」


それだけで13両の残っていた戦車が10m程の空中に現れる。


一瞬の静止。


だが、重力はそれを許さない。落下して大破する。履帯が外れるものもあれば、砲塔がグニャリと曲がったもの、弾薬に火がついたのか爆発するものもある。


こうして、戦場は静まり返った。


「残党殲滅はピエール中将に任せましょうか。歩兵がいないところを見ると、港の占拠ではなく、破壊が目的だったのでしょう。つまり、本隊は首都ね」

「そうだな。『クーデター』を名乗る以上、それが必然だな」


梓の言葉に張が同意する。

すると、梓がスマホを取り出した。


「通信は止まっているのだろう?」

「それは国内ね。衛星通信の『スターゲイザー』は使える」

「『自由の国』の『ステラ自動車』などをやってるあの会社か……」

「こんな事もあろうかと、契約しておいたのよ」


そして、どこかに繋がる。


「こんにちは。例の件、そろそろ始めて下さい」


梓の反撃は始まったばかりだった。


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