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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第32話「ミーチェ港防衛戦」

ルマニア共和国・サウスルピアール州ミーチェ港。


「ここミーチェ港は大きさ4200ヘクタール。水深20m。旅客用パースが2、コンテナパース12、バルクパース12、多目的パースが3の合計31パースのアジアでも有数の港湾です。さらに周辺は未開地ですので将来的な拡張も可能。ここに『人民の国』へ直通する鉄道を作るのが今回の計画です」


張が交通大臣として説明する。自国の利益にもなるので若干熱の入った説明になっていた。


そこへ。


「張大臣、ちょっとよろしいですか?」


梓が音もなく現れて、耳打ちする。


「南部でクーデターよ。通信が遮断されて使えない。ここは後1時間で戦場になる。日本の鉄道関係者をそれとなく逃がせる?」


張が一瞬目を細める。

口の形だけで『任せておけ』と合図する。


「こちらにいる岸川大統領補佐官の計らいで、ヘリの用意ができました。ここから北東部ルンダオ鉱山まで空の旅をお楽しみください」


予定を変更して、日本の関係者をヘリに乗せ飛び立たせる。


「じゃあ、はじめましょうか?」


梓のその言葉で、真夏日だというのに周囲の気温が下がった。


「まずは敵を上空から確認しよう。部隊編成で破壊か占領か目的がわかるはずだ」


張は2ヶ月前まで軍人だったので、冷静に言った。


「了解」


だが、ここで2人は全く別の動きをする。

張は港湾のクレーンに登ろうとし、梓はホウキを手に持つ。お互いの行動を理解して、苦笑する。


「では梓補佐官のホウキに乗せてもらおう」


2人で上空へと飛び立った。


♦︎♦︎♦︎


ミーチェ港から南へ5キロ地点。


「戦車30。あとは戦闘指揮車と見られる車両が1台だけだな」

「おかしいわね。会計資料だと南部方面軍全軍で15両のはず。それに一部車両が違うわね」

「おい!ドローンがいるぞ?この国はまだ未装備のはずだ」


その時だった。梓達は発見され、戦車の砲塔がこちらを向く。


「とりあえず距離を取るわ。ワープ……ワープ……あれ?魔法が発動しない?!」


低い発射音からこちらに向けて発泡してきた。幸い、的が小さいので当たりはしない。だが、数発、風を切る音と共に砲弾が至近を通り過ぎた。


「マズイわね。あのドローン『ヒロイ型AMFG』だわ!」


初めて梓に焦りが浮かぶ。

張も事態の深刻さを受け止める。


「とりあえず逃げる!」


ジグザグに飛行して距離を稼ぎつつ砲弾をかわす。


「こんな状況下ですまないが、『ヒロイ型AMFG』とはなんだ?」

「魔法無効化装置とでも言えばいいかしら?多分アレ、強化タイプね。有効範囲が伸びてる!」

「こちらも悪い知らせがある。戦車のうち15両は『自由の国』製の『エンブレムM1F1』だ。最新型ではないが、旧ソ連製の15両より射撃性能が段違いだ」

「それでさっきから至近弾が多いのね」


そこへ、どこかから声がする。


『お困りのようですな?目標、南部軍戦車隊、撃て!』


火柱が上がる。2両が戦闘不能に陥ったらしい。


「ピエール中将!」


声のする方を見ればドローンが1機飛んでいて、どうやらそのスピーカーから声が出ているようだ。


『我らが「聖女」の敵は、我々が噛み砕きます』


ピエールの声と共に兵士たちの声が混じる。


クーデター軍はこちらからの反撃があると思っていなかったのか、進軍が止まる。


(戦車でもドローンでもない、『魔法が使えない』これが1番マズイわね)


炎上する戦車を見ながら梓は思った。


♦︎♦︎♦︎


「自由の国」、首都・マシントンDC、大統領官邸・通称『白い家』。大統領執務室。


「現地時間12:00、民間通信を遮断、クーデターがスタートしました」


CIF長官のルーザー=ブライトンが報告する。


「現地軍は『エンブレムM1F』を使いこなせるのか?」


大統領である、プラント=マクドナルが聞く。それに答えるのは国防長官のルイス=ジョンソンだった。


「4ヶ月、民間軍事会社のフォローの元で訓練させました。万が一、鹵獲されてもガスタービン車両です、フィルターや弾薬面で敵になる事は少ないかと。それに20年前のモデルです。こちらの技術を吸収される事は少ないでしょう」


「そうか…」と短く相槌を打った後、プラント大統領はさらに確認する。


「それで、『対魔法ドローン』は間に合ったのか?」

「はい、大統領。日本から購入した『魔石』を解析、いわゆる同位体結晶でしたので、工業的に量産できました。さらにスペックの向上にも寄与しました。ただし、コストは跳ね上がります。」


ルイスがそう結んだ。


「いいんだ。勝利が金で買えるなら安いもんだ」


プラント大統領は勝利を確信し、笑った。


「これで『人民の国』の好きにはさせんぞ」

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