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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第26話「若者の特権 その1」

4年前、東京。羽田空港。


「スミダ トオルさん?」

「あ、スミタ!です」

「悪いね。老眼でね……

えっと、帰国でいいかな?」

「はい。これ、名刺です」

「お!朝売新聞の記者さん。取材?」

「まぁ、そんなところです」


入国審査をあっさりと抜ける。

しかも『日本人』として。


(まったく、日本は『スパイ天国』だな!)


(だが、仕事だ)


もう一度、資料を読み返す。


トヨサン自動車は2000年代に経営難に陥っていた。株式の30%を握る形で『美の国』のシャンゼリゼ自動車の傘下に入った。

ゴンザレス=カールはCEOに就任、コストカッターとしてトヨサン自動車はV字回復を遂げた。

最近になり、シャンゼリゼ自動車はトヨサン自動車を吸収・合併しようと画策する。

だが、そのタイミングでゴンザレスは背任・横領の容疑で逮捕された。

そして、事件は予想外の展開を辿る。保釈中だったゴンザレスはノンレバ国に逃亡。音響機器用ケースに入り、関西空港から出国(密航)したとされている。


神奈川県横須賀市。


トヨサン自動車の本社がある。


「ユーリ!久しぶりだね!」


早応大学の先輩である、藤井さんだ。卒業後、トヨサン自動車の開発部に勤務している。


懐かしい声に、一瞬だけ10年前に戻った気になる。仕事で日本に来た事にして、適当な居酒屋で話を聞く。


「ーーそういえば前の社長、海外でもニュースになってましたよ」


藤井さんは酒に酔うと口が軽くなる。

昔と同じだ。


「あの頃、足賀副社長と相当やり合ってたと聞いたね。ウチはEVの本家でノウハウもある。だから、シャンゼリゼにそれを取り込みたかったんだと思う」


(それは事前情報の通りだ)


「やり合うって具体的には?」

「シャンゼリゼが30%のウチの株式を持ってる。続いて『銀行連合』で25%、あくまで『連合』だ。その次に来るのが『社員持ち株会』これが20%以上持ってる」

「すると合併するにしても社員持ち株会がネックになる?」


(これは聞いた事のない情報だ)


藤井先輩に感謝しながら聞く。


「そう。そしてそれは足賀副社長が反対に回れば、『社員持ち株会』は反対になる。当時のゴンザレス社長は相当弱っていたみたいだね」


(いや、おかしい)


「え?それなら、何で社長は逮捕されたんですか?」

「ゴンザレス社長とシャンゼリゼは『銀行連合』にそれぞれ経営安定のためと称して、株式を買収しようと画策してたって話だ。あくまでウワサだけど、それで足賀副社長は横領の証拠を警察に持ち込んだと社内では言われてるね」


(見えてきたぞ『動機』が)


後から思い返せば、既にこの時点でボタンはかけ違えていた。



翌日。


関西空港まで行って現地で情報収集する。


日本に留学していた頃、こんな都市伝説を聞いた事がある。「公安にエスパーを集めた部署がある。その部署は全員が戸籍を隠蔽のために一度死んだ事になっている」


軍に入り、情報部署に配属されると、それは半ば正解だったと知る。『連合王国』のエリザード女王や『ロクライナ』のマリア=ティモシェンコなどだ。


(間違いない、これは『魔法少女』の仕業だ)


その確信を持って、翌日を待った。


次の日の取材相手は学校法人・明王義塾学園理事長、広井ゆりあだった。


広井ゆりあは日本の魔法少女の元締めとされる人物。ちょうど次の衆院選に出馬予定だったので、新聞記者を騙ってアポイントを取り付けた。

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